(未公開/TV)ARCHER
消えた拳銃 WARNING SHOT

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米La-La Land Records / LLLCD 1490)

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アメリカの作曲家ジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)が1960〜1970年代に手がけた犯罪ドラマ/映画のスコアをカップリングにしたCD。

「(未公開/TV)ARCHER」は1975年製作のアメリカのテレビシリーズ(各60分×6話)。

監督は「(TV)刑事コロンボ/死の方程式」(1971)「(TV)刑事コロンボ/断たれた音」(1972)等の監督や「ブルーサンダー」(1983)「バイオレント・サタデー」(1983)等の編集を手がけたエドワード・M・エイブロムス(1935〜2018)、「大アマゾンの半魚人」(1954)「縮みゆく人間」(1957)「(TV)警部マクロード/潜入捜査」(1972)等のジャック・アーノルド(1916〜1992)、「栄光の野郎ども」(1965)「ジェリコ」(1967)「(TV)猿の惑星」(1974)等のアーノルド・レイヴン(1922〜2009)、「(TV)事件記者コルチャック/ナイト・ストーカー」(1971)「(TV)SF地球最後の危機」(1972)「(TV)ブラウン神父・恐怖のステージ」(1979)等のジョン・リューウェリン・モクシー(1925〜)、「(TV)権力と陰謀・大統領の密室」(1977)「ブラックホール」(1979)「キング・ソロモンの秘宝2/幻の黄金都市を求めて」(1986)「(TV)M&A/タイパンと呼ばれた男」(1988)等のゲイリー・ネルソン(1934〜)、「(TV)コンバット」(1962〜1967)「スパイ大作戦/薔薇の秘密指令」(1969)「(TV)アウトロー刑事・セルピコ」(1976〜1977)等のポール・スタンリー(1922〜2002)、「新・荒野の七人/馬上の決闘」(1969)「悪魔のワルツ」(1971)「(TV)残酷の愛・殺人放火魔の正体」(1974)等のポール・ウェンドコス(1925〜2009)が各話を担当。
出演はブライアン・キース、ジョン・P・ライアン、エドワード・アンドリュース、アラン・アーバス、ヴァル・アヴェリー、ソレル・ブック、アントワネット・バウワー、ドリ・ブレナー、デヴィッド・ブライアン、ウォルター・ブルック、ジョン・カルヴィン、キム・ダービー、アン・フランシス、マージョー・ゴートナー、ブライアン・G・ハットン他。
アメリカのハードボイルド・ミステリ作家ロス・マクドナルド(1915〜1983)による私立探偵リュウ・アーチャーのシリーズを基に、「(TV)弁護士プレストン」(1961)「追いつめて殺せ!」(1968)「(TV)ハリウッド殺人事件」(1973)等のデヴィッド・カープ(1922〜1999)、「三つ数えろ」(1946)「リオ・ブラボー」(1959)「エル・ドラド」(1966)「ロング・グッドバイ」(1973)等のリー・ブラケット(1915〜1978)、「(TV)最後のガンファイト」(1974)「(TV)ザ・ギャンブラー」(1980)等のジム・バーンズ「不思議な世界の物語」(1962)「(TV)妄執の館」(1969)等のデヴィッド・P・ハーモン(1918〜2001)、「(TV)オカルト殺人事件」(1971)「(TV)刑事コロンボ/攻撃命令」(1978)等のアンソニー・ローレンス(1928〜)、「アフリカ大空輸」(1967)「スター・トレック」(1979)等のハロルド・リヴィングストン(1924〜)、「北極の基地/潜航大作戦」(1968)「(TV)残酷の愛・殺人放火魔の正体」(1974)「(TV)大西洋を乗っ取れ!」(1979)等のダグラス・ヘイズ(1919〜1993)が各話の脚本を執筆。撮影はリチャード・A・ケリー。元警官の私立探偵リュウ・アーチャー(キース)が、友人のバーニー・ブライトン警部補(ライアン)の協力を得て様々な事件を解決していくシリーズで、「The Turkish Connection」「The Arsonist」「The Body Beautiful」「Shades of Blue」「The Vanished Man」「Blood Money」の全6話が製作されている。

ロス・マクドナルド原作のリュウ・アーチャーものの映像化作品としては、ポール・ニューマンが主人公を演じた映画「動く標的」(1966)とその続編「ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的」(1975)や、ピーター・グレイヴスが主人公を演じたテレビ映画「(TV)残酷の愛・殺人放火魔の正体」(1974/監督:ポール・ウェンドコス、脚本:ダグラス・ヘイズ)があるが、グレイヴス版の視聴率が良かったため、このブライアン・キース版のテレビシリーズの製作が決定した。

ジェリー・ゴールドスミスのスコアは、冒頭の「Main Title」がリズミックでヒロイックかつダイナミックなメインの主題で、いかにも1970年代犯罪ドラマ的なタッチ。「The City」「Shaving Lather」「Old Glory / Behind the Curtain」「More Facts」「The Tail」「Expenses」は、メインの主題のバリエーション。「A Dirty Porsche」は、ヒロイックなタッチ。「Hurry Up」「The Station / Two Enemies」は、メインの主題から後半サスペンス音楽に展開。「A Thousand Dollars」「Hard to Stay Alive」は、抑制されたサスペンス音楽。「Tear Drops」は、ダイナミックなアクション音楽。「A Matter of Judgment」は、ダークなサスペンス音楽。「End Title」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。最後にボーナストラックとしてメインのフレーズによるバンパー「Bumpers」、メインタイトルとエンドタイトルのステレオ版「Main Title (stereo)」「End Title (stereo)」を収録。
このスコアの初リリースだが、音源が古いせいかやや音に歪みがある。

「消えた拳銃(WARNING SHOT)」は、1967年製作のアメリカ映画。

製作・監督は「戦うパンチョ・ビラ」(1968)「暴動」(1969)「シェイマス」(1972)「愛のメダリスト」(1975)「ハンター」(1980)「(TV)ケインとアベル/権力と復讐にかけた男の情熱」(1985)等のバズ・キューリック(1922〜1999)。出演はデヴィッド・ジャンセン、エド・ベグリー、キーナン・ウィン、サム・ワナメイカー、リリアン・ギッシュ、ステファニー・パワーズ、エリノア・パーカー、ジョージ・グリザード、ジョージ・サンダース、スティーヴ・アレン、キャロル・オコナー、ジョーン・コリンズ、ウォルター・ピジョン、ジョン・ガーフィールド・Jr、ジョン・ミッチャム他。「黒い罠」(1958)「誘拐犯を逃がすな」(1963)等のホイット・マスターソン(1920〜2012)の原作『711番─警察が救援を求めている(711--Officer Needs Help)』を基にマン・ルービンが脚本を執筆。撮影はジョセフ・バイロック。張り込み中の刑事トム・ヴァレンス(ジャンセン)は不審な男に声をかけたが、男がヴァレンスに向けて拳銃を構えたので射殺してしまう。その男ジェームズ・ラストンは、メキシコ人たちに無料診療を提供していた慈善家として知られる医師だった。ところがラストンの持っていた拳銃は現場から発見されず、彼はアリス・ウィローズ(ギッシュ)という老婦人の治療に来ていたことが証明されたため、ヴァレンスは殺人罪に問われることになる……。

ジェリー・ゴールドスミスのスコアは、冒頭の「Main Title (Theme From Warning Shot) / Foggy Night」が、ダイナミックなイントロからジャズ・ベースでハードボイルドなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトルで、後半は抑制されたサスペンス音楽に展開。「Cornering the Suspect / The Shot」「Valens Gets Messed Up」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Damaging Testimony / Valens Suspended / Meeting With Ames」は、ピアノをフィーチャーしたサスペンス音楽。「Back to the Seascape」「Downtown Meeting」「Wealthy Widow」は、メインの主題のバリエーション。「Miss Alice」は、リリカルなタッチの曲。「Shari Sherman / Buttermilk Blues」「A Little More Time」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Joanie Walks Out」「Ruston's Office Locked」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Gasser」「Diggin' for Caesar」は、ダークなタッチの曲。「Finale」は、気だるいタッチからメインの主題のリプライズへと展開するフィナーレ。最後にボーナストラックとしてメインの主題のヴォーカル版「Tomorrow's World (Lyrics by Ben Raleigh)」「Alone on Lonely Street (Lyrics by Ralph Freed & Bob Roberts)」、別テイク「The Gasser, part 2 (stereo)」、『モナ・リザ』のビッグバンドジャズ版「Tel Aviv Brass (Mona Lisa)」を収録。18人構成のビッグバンドによる演奏。

このスコアは、公開当時に米Liberty Recordsレーベルからアメリカのトロンボーン奏者でジャズ・バンドのリーダー、サイ・ゼントナー(サイモン・ヒュー・ゼントナー/1917〜2000)の編曲・演奏による6曲とゴールドスミス作曲のその他の映画音楽等を収録したLP(LST 7498)が出ていたが、その後2012年にLa-La Landレーベルからサントラ音源16曲と上記ゼントナーのアルバムの内容を収録したCD(LLLCD 1204)がリリースされている。今回同じLa-La LandレーベルからリリースされたCDは、新たに発見されたサントラ音源から全19曲を収録したもので、1500枚限定プレス。
(2019年5月)

Jerry Goldsmith

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