(未公開/TV)LOUISIANE
作曲:クロード・ボラン
Composed by CLAUDE BOLLING
指揮:クロード・ボラン、ミシェル・ガノ
Conducted by CLAUDE BOLLING, MICHEL GANOT
(仏Music Box Records / MBR-150)
1984年製作のフランス=イタリア=カナダ=アメリカ合作テレビ・シリーズ(米HBOが52分×6話で放映し、フランス他では劇場公開された)。監督は「大盗賊」(1961)「リオの男」(1963)「カトマンズの男」(1965)「まぼろしの市街戦」(1967)「おかしなおかしな大冒険」(1973)「ベルモンドの怪盗二十面相」(1975)「(未公開)ソフィー・マルソーの愛、革命に生きて」(1988)「(未公開)愛と復讐の騎士」(1997)等のフィリップ・ド・ブロカ(1933〜2004)。出演はマーゴット・キダー、イアン・チャールソン、アンドレア・フェレオル、ロイド・ボックナー、ヴィクター・ラヌー、レン・カリウー、ヒリー・ヒックス、レイモンド・ペレグリン、ケン・ポーグ、アコスア・ブシア、コリンヌ・マルシャン、ジェームズ・ベアデン、ラリー・ルイス、ウェイン・ベスト、ロン・L・ルイス他。モーリス・ドゥヌージエールの原作を基にドニミク・ファブル、エチエンヌ・ペリエとチャック・イスラエルが脚本を執筆。撮影はミシェル・ブロー。1830年。パリから故郷であるアメリカ南部ルイジアナに戻ったヴァージニア・トレガン(キダー)は、亡き父が破産して家業の綿花プランテーション事業と土地を売却してしまったことを知る。一家の財産を取り戻す決意をしたヴァージニアは、土地の所有者である彼女の名付け親と結婚するが……。製作費は約1500万ドル。当初は「ツェッペリン」(1970)「八点鐘が鳴るとき」(1971)等のエチエンヌ・ペリエ(1931〜)が監督することになっていたが、原作を読まずに引き受けたペリエを原作者のドゥヌージエールが拒否し、次に雇われた「シェルブールの雨傘」(1963)「ロシュフォールの恋人たち」(1966)「ロバと王女」(1970)「モン・パリ」(1973)「ベルサイユのばら」(1979)「想い出のマルセイユ」(1988)等のジャック・ドゥミ(1931〜1990)は、制作現場の困難さから2週間で監督を降りてしまったという。監督のフィリップ・ド・ブロカは1983年8月に主演のマーゴット・キダーと結婚したが、1年3ヶ月後の1984年11月に離婚している。
音楽は「おかしなおかしな大冒険」(1973)でもフィリップ・ド・ブロカ監督と組んでいるフランスのジャズ/映画音楽作曲家クロード・ボラン(1930〜)で、ここでは19世紀のアメリカ南部(ルイジアナ、ニューオーリンズ)の雰囲気を再現するためにジャズとワルツをベースにしたジェントルなスコアを展開。CD2枚組となっており、1枚目の冒頭「Louisiana
Waltz」は、明るく優雅なワルツによる主題歌(ヴォーカルはアメリカのジャズ歌手ディー・ディー・ブリッジウォーター、作詞はフェリックス・ランドー)で、ボランらしいファッショナブルなセンスの良さが秀逸。「Dixieland」は、快活なディキシーランド・ジャズ。「Freedom」は、バトン・ルージュ・コミュニティ・コーラスによるメランコリックでドラマティックな歌曲(作詞はヴァレリアン・スミス)。「Quadrille」「Polka
louisianaise」は、明るく陽気なダンス音楽。「Virginie de Vigors」「Restaurant
Nouvelle-Orléans (piano solo)」「Virginie et Dandrige」は、ジェントルでリリカルな曲。「Bal
du coton」「High Life Waltz」は、優雅なワルツ。「Virginie concerto」は、ブランディーヌ・ヴェルレ(1942〜2018)のピアノ演奏による3パートから成るピアノ・コンチェルトで、「Part
1 (Ingénue)」はリリカルで美しく、「Part 2 (Romantique et grave)」はややメランコリックなタッチ、「Part
3 (Maîtresse de Bagatelle)」は躍動的なタッチ。「Incendie」は、ダイナミックで躍動的な曲。「Down
in Louisiana」は、大らかな男声による歌曲(作詞・作曲はヴァレリアン・スミス)。「Vocalises (Opéra
Comique)」は、ソプラノによる明るく優雅な曲。「Old New Orleans」は、バンジョーをフィーチャーした快活な曲で、ボランらしいタッチ。「Cotton
Balls」は、バトン・ルージュ・コミュニティ・コーラスによる快活な歌曲(作詞はヴァレリアン・スミス)。「Révolutionnaire」は、ストイックなタッチのミリタリーマーチ。「Louisiane
(Bagatelle)」は、サックスをフィーチャーしたジェントルで優雅な曲。「Dixieland (Glorieux)」は、マーチ調のディキシーランド。「Menaçante」は、サスペンス音楽。「Concerto
(Part 2)」は、ピアノとストリングスによるドラマティックで美しい曲。「Brent (Chasse à l'homme)」は、パーカッシヴでスリリングなタッチの曲。
CD2枚目の冒頭「Louisiane」は、サックスによるメインの主題。「Dixieland
(Harmonica)」は、ハーモニカによるディキシーランド。「Yankee Doodle」は、ヤンキードゥードゥル・マーチ(アメリカの民謡)。「Folk
Waltz」「Society Waltz」は、軽快なワルツ。「Dixieland (Suspense)」は、サスペンス調のディキシーランド。「Émancipation
de Brent」は、バンジョーをフィーチャーした軽快でリズミックな曲。「Virginie
parisienne」「Louisiana (Piano et Orchestre)」は、メインの主題のバリエーション。「Valse
du désir」は、ジェントルなワルツ。「Down in Louisiana (Chorus)」は、コーラスによるディキシーランド。「Tragique」は、ドラマティックな曲。「Concerto
funèbre」は、ドラマティックなピアノ・コンチェルト風の曲。「Drama」は、ダイナミックでドラマティックなサスペンス音楽。「Dixieland
(Final)」は、マーチ調のディキシーランドによるフィナーレ。「Louisiana Waltz (version
courte)」は、ディー・ディー・ブリッジウォーターのヴォーカルによる主題歌のリプライズ。
最後にボーナストラックとして、代替テイク9曲と、フランス語の歌詞による未使用の主題歌「Valse de Bagatelle」(ヴォーカルはシルヴィー・ヴァレイル、作詞はピエール・ドゥラノエとクロード・ボラン)を収録。アルト・サックスはピエール・ゴセ、バンジョーはレイモン・ジメネーズの演奏。
このスコアは公開当時の1984年に仏CBSレーベルから全16曲/約50分収録のサントラLPがリリースされており、同じ内容のCDが1991年に仏Hortensia/Milanレーベルから出ているが、このMusic
BoxレーベルのCDは35周年記念盤の2枚組でコンプリート・スコア(全50曲/約149分)を収録。350枚限定プレス。
(2019年7月)
Claude Bolling
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