カミーユ・クローデル CAMILLE CLAUDEL
作曲:ガブリエル・ヤレ
Composed by GABRIEL YARED
指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by HARRY RABINOWITZ
(仏Music Box Records / MBR-149)
1988年製作のフランス映画(日本公開は1989年10月)。監督は「ブロンテ姉妹」(1979)「ブルベイカー」(1980)「フォート・サガン」(1984)「愛と宿命の泉」(1986)等の撮影を担当し、本作が初監督作品であるブリューノ・ニュイッテン(1945〜)。出演はイザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデュー、マドレーヌ・ロバンソン、ロラン・グレヴィル、フィリップ・クレヴノ、カトリーヌ・ブーアマン、マキシム・ルルー、ダニエル・ルブルン、ジャン=ピエール・サンティエ、ロジェ・プランション、オールール・ドゥアザン、マドレーヌ・マリー、アラン・キュニー、ジェラール・ボーム、フランソワ・ベルレアン他。レーヌ=マリー・パリの原作を基にブリューノ・ニュイッテンとマリリン・ゴールディンが脚本を執筆。撮影はピエール・ロム。『地獄の門』『考える人』等で知られるフランスの彫刻家フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダン(1840〜1917)の弟子となり、愛人となったカミーユ・クローデル(1864〜1943)の半生を描くドラマ。1885年のパリ。才能を認められてロダン(ドパルデュー)の弟子となったカミーユ・クローデル(アジャーニ)は、やがて彼と愛し合うようになる。妊娠し、結婚を迫るが、ロダンは内縁の妻ローズ(ルブルン)と別れられず、失意のカミーユは彼の元を去る。流産し、それを振り払うように創作に没頭、次第に評価を得るも貧困は続く。愛を無くした心の隙間には猜疑心と憎悪が住み着き、徐々に精神のバランスを失っていく。統合失調症を発症したカミーユは、家族によってパリ郊外のヴィル・エヴラール精神病院に入れられる……。原作者レーヌ=マリー・パリは、カミーユの弟で劇作家・外交官ポール・クローデルの孫娘。
1989年度アカデミー賞の主演女優賞と外国語映画賞、同年のゴールデン・グローブの外国語映画賞にノミネートされ、同年のベルリン国際映画祭の女優賞(イザベル・アジャーニ)と、1988年度セザール賞の作品賞、主演女優賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞している。この映画自体がアジャーニの企画で、彼女は本作のエグゼクティヴ・プロデューサーにもなっている。
音楽はガブリエル・ヤレ(1949〜)が作曲しており、(CDのライナーノートで彼自身も言及しているように)これは彼のベスト・スコアの1つだろう。「Camille」は、重厚でドラマティックかつ情感豊かなメインの主題で、後半は躍動的なタッチへ。この印象的で美しいメインの主題は「Camille
et Paul」「Internement」「1er sextuor」でも登場する。「Rodin」は、ダークでメランコリックな曲。「Danaïde」「Portrait」「Lettre」「Rupture」「Seule」「2e
sextuor」は、繊細で美しい曲。「Folie Neubourg」「Enterrement」は、ダークで繊細かつドラマティックな曲。「Camille
et Rodin」は、ドラマティックで情感豊かな曲。「Banquet」は、優雅なワルツ。最後にボーナストラックとして変奏曲「Variation」4曲、ワルツ「Banquet」2曲を収録。
悲劇性を格調高く表現したクラシカルなスコア。弦楽器と打楽器で構成され、金管楽器、木管楽器を意図的に排除したオーケストラによる演奏で、第1ヴァイオリン奏者はマイケル・デイヴィス。ガブリエル・ヤレは、このスコアの作曲に当たりグスタフ・マーラー作曲の「交響曲第10番第1楽章」、アルノルト・シェーンベルク作曲の「浄められた夜」、リヒャルト・シュトラウス作曲の「メタモルフォーゼン〜23の独奏弦楽器のための習作」から強く影響を受けたという。
このスコアは公開当時の1988年に仏Virginレーベルから全13曲/約39分収録のサントラLP/CDが出ていたが、この仏Music
BoxレーベルのCDは新たにリマスターされた全21曲/約61分収録のエクスパンデッド盤で、350枚限定プレス。
(2019年9月)
Gabriel Yared
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