狙撃者 GET CARTER

作曲:ロイ・バッド
Composed by ROY BUDD

(英Cherry Red Records / CRCDBOX75)

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1971年製作のイギリス映画(日本公開は1972年2月)。監督は「電子頭脳人間」(1974)「フラッシュ・ゴードン」(1980)「死にゆく者への祈り」(1987)「(未公開)ルール・オブ・デス/カジノの死角」(1997)「(未公開)ブラザー・ハート」(2004)等のマイク・ホッジス(1932〜)。出演はマイケル・ケイン、イアン・ヘンドリー、ブリット・エクランド、ジョン・オズボーン、トニー・ベックリー、ジョージ・シーウェル、ジェラルディン・モファット、ドロシー・ホワイト、ローズマリー・ダンハム、ペトラ・マーカム、アラン・アームストロング、ブライアン・モズリー、グリン・エドワーズ、バーナード・ヘプトン、テレンス・リグビー他。「蛇男」(2006)等のテッド・ルイスの原作『Jack's Return Home』を基にマイク・ホッジスが脚本を執筆。撮影はウォルフガング・サシツキー。兄を殺された男の地下組織への徹底的な復讐戦を描く犯罪アクション映画。フレッチャー(リグビー)率いるロンドンの地下組織のメンバー、ジャック・カーター(ケイン)は、ボスの妻である愛人のアンナ(エクランド)と南米へ逃亡しようと計画していたが、故郷のニュー・キャッスルにいる兄のフランクが自動車事故で死んだとの報せを受ける。兄の死に疑念を抱いたカーターは、真相究明のためニュー・キャッスルに舞い戻り、兄の娘ドリーン(マーカム)や兄の同僚から情報を集める。競馬場で見かけた怪しい運転手エリック(ヘンドリー)を尾行したカーターは、地元の犯罪組織のボス、シリル・キニアー(オズボーン)の館へとたどり着くが……。イアン・ヘンドリーが1971年度英国アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされている。製作費は約75万ポンド。2000年に「追撃者(GET CARTER)」(監督:スティーヴン・ケイ、出演:シルヴェスター・スタローン、ミランダ・リチャードソン、ミッキー・ローク、マイケル・ケイン)としてリメイクされている。

音楽は「マーベリックの黄金」(1971)「ツェッペリン」(1971)「爆走!」(1972)「ドラブル」(1974)「太陽にかける橋/ペーパー・タイガー」(1975)「ワイルド・ギース」(1978)「シーウルフ」(1980)等のイギリスの作曲家ロイ・バッド(1947〜1993)で、これは彼がキャリアの初期に23歳で手がけた傑作スコア。このスコアは、公開当時の1971年に日本のOdeonレーベルより全22曲収録のサントラLP(Odeon Records / OP-80424)が出ており、その後1998年に英Cinephileレーベルが全25曲収録のCD(Cinephile / CIN CD 001)をリリースしているが、この英Cherry RedレーベルのCDは3枚組(豪華ブックレット付き)となっており、1枚目は日本盤LPの内容に「Hallucinations」を追加したもの、2枚目は未発表曲とメインの主題の異なるリミックス、3枚目はロイ・バッドのその他作品のスコアを収録。

1枚目の冒頭「Get Carter (Intro)」は、やや前衛的なタッチのイントロダクション。続いて劇中のセリフ(以降、スコアとセリフが交互に展開する)。「Carter Takes the Train (Main Title)」は、列車のSEが入ったメインタイトル。極めてドライでハードボイルドなタッチが素晴らしい。ロイ・バッドの演奏によるハープシコード(チェンバロ)とローズ・ピアノ(エレクトリックピアノ)、ジェフ・クラインの演奏によるダブルベース、クリス・カランの演奏によるタブラー(北インドの太鼓)のみによるミニマルな演奏が非常に効果的。「Looking for Someone」「Gettin' Nowhere in a Hurry」「Living Should Be That Way」「Hallucinations」は、ライトなタッチのヴォーカル曲。「Something on My Mind」は、ライトなジャズ。「The Girl in the Car」は、アップビートなジャズ。「Love Is a Four Letter Word」は、ダイナミックなヴォーカル曲。「Manhunt」「Goodbye Carter!」は、メインの主題のバリエーション。「Goodbye Eric」は、ピアノをフィーチャーした荘厳なタッチの曲。追加ギターの演奏はブライアン・デイリーとジャド・プロクター、ヴォーカルはミッキー・ギャラガーとジョニー・ターンブル。

3枚目には以下の作品にロイ・バッドが作曲したスコアの抜粋を収録(いずれも過去にサントラCDがリリースされている):
「(未公開)フォックス・バット/NATO CODE NAME MIG-25(Woo fook, aka Foxbat)」(1977)
「シンジケート(The Stone Killer)」(1973)
「マルセイユ特急(The Marseille Contract)」(1974)
「MR.ダイヤモンド(Diamonds)」(1975)
「ドラブル(The Black Windmill)」(1974)
「(未公開)スコットランドは死なず/戦場をかけぬけた男たち(Kidnapped)」(1971)
「太陽にかける橋/ペーパー・タイガー(Paper Tiger)」(1975)
「爆走!(Fear Is the Key)」(1972)
「シーウルフ(The Sea Wolves)」(1980)
「(未公開)囁く砂(Something to Hide)」(1972)
「ソルジャー・ブルー(Soldier Blue)」(1970)
「殺しのカルテ(The Carey Treatment)」(1972)


(2019年10月)

Roy Budd

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