スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け STAR WARS: THE RISE OF SKYWALKER

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

(米Walt Disney Records / D003183502)

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2019年製作のアメリカ映画。監督は「M:i:III」(2006)「スター・トレック」(2009)「SUPER 8/スーパーエイト」(2011)「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013)「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015)等のJ・J・エイブラムス(1966〜)。出演はキャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、アダム・ドライヴァー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、アンソニー・ダニエルズ、ナオミ・アッキー、ドーナル・グリーソン、リチャード・E・グラント、ルピタ・ニョンゴ、ケリー・ラッセル、ヨーナス・スオタモ、ケリー・マリー・トラン、イアン・マクディアーミド、ビリー・ディー・ウィリアムズ、ビリー・ラード、ハリソン・フォード他。デレク・コノリー、コリン・トレヴォロウ、クリス・テリオとJ・J・エイブラムスの原案を基にJ・J・エイブラムスとクリス・テリオが脚本を執筆。撮影はダニエル・ミンデル。ディズニーの傘下で再スタートした「スター・ウォーズ」シリーズの新たな3部作における「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(2017)に続く第3弾(エピソード9)で、1977年公開の「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」以来42年にわたって展開してきた「スター・ウォーズ」シリーズの完結編。カイロ・レン(ドライヴァー)は、祖父ダース・ベイダーの遺志を受け継ぎ銀河の圧倒的支配者となった。一方、類まれなフォースを覚醒させたレイ(リドリー)は、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(ハミル)の想いを引き継ぎ、生きる英雄レイア(フィッシャー)や天才パイロットのポー・ダメロン(アイザック)、元ストームトルーパーのフィン(ボイエガ)らわずかなレジスタンスの同志たちとともに立ち上がる……。2016年に他界したキャリー・フィッシャーは過去に撮影された未公開映像を使用しての出演となるが、締めくくりとなる本作にハミル、フィッシャー、フォードが全員顔を出すのは、1977年以来リアルタイムで観続けているファンとしては感慨深いものがある。製作費は約2億ドル、全世界興行収入は約10億3177万ドル。

音楽は本シリーズのエピソード1〜8を全て手がけているジョン・ウィリアムス(1932〜)。過去に本シリーズに登場した様々な主題と、本作で初めて登場する新しい主題の組み合わせにより展開。「Fanfare and Prologue」は、スター・ウォーズの主題(ウィリアムス自身の指揮によるサントラ盤の演奏はこれが聴き納めだろう)からダークなサスペンス調、皇帝パルパティーンの主題へと展開するプロローグ。「Journey to Exegol」は、パーカッシヴでダイナミックなアクション音楽から、カイロ・レンの主題、帝国のマーチ(ダース・ベイダーの主題)へと展開。「The Rise of Skywalker」は、初登場の新曲。本3部作の主人公3人(レイ、フィン、ポー)の関係性を描写したジェントルで温かみのある主題で、本作のメインの主題。名曲。「The Old Death Star」は、帝国のマーチを織り込んだサスペンス音楽。「The Speeder Chase」は、ヒロイックなタッチのビジーでダイナミックなアクション音楽。「Destiny of a Jedi」は、レイの主題、フォースの主題、荘厳なタッチの悪の賛歌の主題、レイアの主題、スター・ウォーズの主題、メインの主題と展開していき、最後はヨーダの主題が「帝国の逆襲」と同様の形で盛り上がる。このシーンの映像にヨーダは登場しないが、ウィリアムスは音楽によってその存在を表現している。「Anthem of Evil」も新曲。コーラスをフィーチャーしたダークで荘厳な“悪の賛歌”の主題で、後半ダイナミックに盛り上がる。「Fleeing from Kijimi」は、カイロ・レンの主題からビジーなアクション音楽へ。「We Go Together」は、メインの主題、レイの主題、フォースの主題へと展開。「Join Me」は、抑制されたサスペンス音楽からドラマティックなタッチ、悪の賛歌の主題、レイの主題、ダイナミックなアクション音楽へと展開。「They Will Come」は、メインの主題からレジスタンスのマーチへ。「The Final Saber Duel」は、ダークでダイナミックかつドラマティックなタッチからカイロ・レンの主題、フォースの主題、レイアの主題へと展開。「Battle of the Resistance」は、ポーの主題、スター・ウォーズの主題、フォースの主題を織り込んだビジーでダイナミックなアクション音楽。「Approaching the Throne」は、ダークなサスペンス音楽から悪の賛歌の主題、レイの主題、メインの主題、レジスタンスのマーチへと展開し、ダイナミックなコーラスで締めくくる。「The Force Is with You」は、幻想的なコーラスによるイントロからピアノによるレイの主題、コーラスをフィーチャーした皇帝の主題、フォースの主題、反乱軍のファンファーレへと展開。「Farewell」は、レイの主題、カイロ・レンの主題、コーラスをフィーチャーしたメインの主題へと展開。「Reunion」は、4分程度の曲だが、スター・ウォーズの主題、フォースの主題、メインの主題、ヨーダの主題、レイの主題、ルークとレイアの主題、メインの主題が次々とメドレーで展開していく。「A New Home」は、レイの主題による曲。「Finale」は、フォースの主題が盛り上がっていつものフレーズで始まるフィナーレへと移行し、スター・ウォーズの主題、メインの主題、悪の賛歌の主題、帝国のマーチ(フルバージョン)、レイの主題、メインの主題、スター・ウォーズの主題へと展開していき、最後は懐かしいオリジナルバージョンのエンディングで締めくくる。ファンにとっては実に感動的なフィナーレ。コーラスはロス・アンジェルス・マスター・コレール。

87歳のジョン・ウィリアムスが、40年以上にわたって作曲した20時間以上に及ぶ壮大なスコアが遂に完結。ウィリアムス自身がライナーノートのコメントでも述べているように、1つのプロジェクトに40年以上も継続的に音楽を作曲し続けるという「かつていかなるオペラや映画音楽の作曲家も成し遂げなかった」偉業だろう。尚、ジョン・ウィリアムスはオマー・トレス(惑星キジーミのバーテンダー)役で本シリーズに(初めて)カメオ出演している。また、ウィリアムスは本スコアで彼にとって52回目となるアカデミー賞のノミネーションを獲得している。
(2020年1月)


John Williams

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