コンコルド・マーチ CONCORDE MARCH

作曲・指揮:ロバート・ファーノン
Composed and Conducted by ROBERT FARNON

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(英CRD Records / CRD 6001)2019

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これは映画音楽ではなく、イギリスとフランスの共同開発による超音速旅客機コンコルドの、ブリストル近郊のフィルトンからイギリス空軍フェアフォード基地(グロスターシャー州)までの初飛行(1969年4月)から50周年を記念して2019年4月にイギリスでリリースされたCD。

この「コンコルド・マーチ」は、イギリスの大手航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)が、コンコルドの就航を記念してカナダ人の作曲家ロバート・ファーノン(1917〜2005)に作曲を委嘱したマーチで、当時(1975年)は7インチのシングル盤としてリリースされた。

このCDには、ファーノン作曲の表題曲「The Concorde March」と、彼が過去に作曲した明るく軽快なタッチのライト・ミュージック「Holiday Flight」の2曲のみを収録。

「The Concorde March」は、3分強の曲で、パワフルでダイナミックなファンファーレ風のイントロからヒロイックで格調高いマーチへ展開。中盤の英国的な優雅さも秀逸。イギリス人のバリー・グレイが作曲した一連のマーチにも通ずる、明快で高揚感のあるタッチが素晴らしい。

ロバート・ファーノンは、19歳でパーシー・フェイス率いるトロントのカナダ放送協会管弦楽団(Canadian Broadcasting Company Orchestra)の編曲者を務め、フェイスがアメリカに移った後、同オーケストラの監督に就任。22歳で最初の交響曲を作曲し、1941年にトロント交響楽団、後にフィラデルフィア管弦楽団によって演奏された。第二次大戦中にカナダ軍のバンドリーダーとしてイギリスに駐屯した際にライト・ミュージック(ムード・ミュージック)に触れ、この分野に傾倒。映画やテレビのスコアでは「艦長ホレーショ」(1951)「潮風のいたづら」(1957)「ミサイル珍道中」(1962)「(TV)プリズナーNo.6」(1967)「シャラコ」(1968)「(TV)コルディッツ」(1972〜1974) 「オーロラ殺人事件」(1979)「(TV)イントレピッドと呼ばれた男」(1979)等を手がけている。

コンコルドは、イギリスのブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション(BAC)とフランスのアエロスパシアルが製造し、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズとフランスのエールフランスが運用していた超音速民間旅客機で、1976年1月に運用開始され、2003年11月に退役した。高度5万5,000から6万フィートという、通常の旅客機の飛行高度の2倍の高度(成層圏)をマッハ2.2で飛行、定期国際運航路線に就航した唯一の超音速民間旅客機だった。ボーイング747がニューヨーク=ロンドン間をジェット気流に乗り4時間56分で飛んだ記録を有する(2020年現在)が、コンコルドは同区間を2時間52分59秒で飛行した。

(2020年3月)

Robert Farnon

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