コレクター THE COLLECTOR

作曲・指揮:モーリス・ジャール
Composed and Conducted by MAURICE JARRE

リサの瞳のなかに DAVID AND LISA

作曲:マーク・ローレンス
Composed by MARK LAWRENCE

指揮:ノーマン・パリス
Conducted by NORMAN PARIS

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 442)

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米Mainstreamレーベルが1960年代にサントラLPをリリースした2作品のスコアのリマスター盤CD。

「コレクター(THE COLLECTOR)」は、1965年製作のアメリカ=イギリス合作映画。監督は「ローマの休日」(1953)「必死の逃亡者」(1955)「大いなる西部」(1958)「ベン・ハー」(1959)「噂の二人」(1961)「おしゃれ泥棒」(1966)等のウィリアム・ワイラー(1902〜1981)。出演はテレンス・スタンプ、サマンサ・エッガー、モナ・ウォッシュボーン、モーリス・ダリモア、アリソン・エイムズ、ゴードン・バークレイ、ウィリアム・ベックリー、デヴィッド・ハヴィランド、エディナ・ロネイ。「怪奇と幻想の島」(1968)「フランス軍中尉の女」(1981)等のジョン・ファウルズの原作を基にスタンリー・マンとジョン・コーンが脚本を執筆。撮影はロバート・サーティース(スタジオ撮影シーン)とロバート・クラスカー。蝶の収集を生き甲斐とする若い銀行員フレディ・クレッグ(スタンプ)は、フットボールの賭けで大金を手に入れ、郊外に一軒家を購入する。そして美術学校に通う魅力的なミランダ・グレイ(エッガー)という娘を誘拐し、強制的に同棲生活を送りはじめる。ミランダが欲しがるものは何でも買い与えたが、決して監視の目は緩めなかった。ミランダの方は絶えず逃げる機会を伺っていたが……。ミランダの友人役でケネス・モアが出演していたが、登場シーンが全てカットされた。1965年度アカデミー賞の監督賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされ、同年のカンヌ国際映画祭の男優賞(テレンス・スタンプ)と女優賞(サマンサ・エッガー)、ゴールデン・グローブの女優賞(ドラマ)(サマンサ・エッガー)を受賞している。日本でのテレビ放映時の日本語吹替キャストは、テレンス・スタンプ(岸田 森)、サマンサ・エッガー(田島令子)、モナ・ウォッシュボーン(鈴木れい子)、モーリス・ダリモア(藤本 譲)他。

音楽は「アラビアのロレンス」(1962)「大列車作戦」(1964)「王になろうとした男」(1975)「砂漠のライオン」(1981)「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985)等のフランスの作曲家モーリス・ジャール(1924〜2009)。「The Collector」は、メランコリックかつリリカルで牧歌的なタッチのメインの主題で、この主題のバリエーションが繰り返し登場する。「The Catch」は、メインの主題のジェントルなタッチのジャズ。「Trapped」は、メインの主題を含む抑制されたサスペンス音楽。「Captive」は、躍動的なサスペンス音楽。「The Garden」は、ジェントルでリリカルなタッチから後半サスペンス音楽へ。「The Bargain」「Seduction」は、メインの主題のバリエーション。「Temptation」は、抑制されたサスペンス音楽からジェントルでリリカルな主題へ。「Last Day」は、リリカルかつ躍動的な曲。「Death」は、メランコリックな主題から躍動的なタッチへ。ハープシコード(チェンバロ)やシロフォン、オルガンをフィーチャーしたインティメートなタッチのスコアで、メインの主題にジャールの強い個性が感じられる。


「リサの瞳のなかに(DAVID AND LISA)」は、1962年製作のアメリカ映画(日本公開は1964年11月)。監督は「泳ぐひと」(1968)「ドク・ホリディ」(1971)「バチカンの嵐」(1982)等のフランク・ペリー(1930〜1995)で、これは彼の監督デビュー作。出演はケア・デュリア、ジャネット・マーゴリン、ハワード・ダ・シルヴァ、ネヴァ・パターソン、クリフトン・ジェームズ、リチャード・マクマレイ、ナンシー・ナッター、マシュー・アンデン、ジェイミー・サンチェス、コニー・ハダック、カレン・リン・ゴーニー、ジャネット・リー・パーカー、フランク・ペリー他。精神分析医セオドア・アイザック・ルービンの実体験による原作を基に監督の妻だったエレノア・ペリーが脚本を執筆。撮影はレオナード・ハーシュフィールド。製作費は約18万5000ドル。強度の潔癖症で他人との肉体的接触を極端に恐れる青年デヴィッド・クレメンス(デュリア)は、障害者向けの教育施設に入学し、担任のアラン・スウィンフォード博士(ダ・シルヴァ)から温厚な指導を受けるが、博士を嫌悪し軽蔑していた。ある日デヴィッドは、施設に来て3年になるリサ・ブラント(マーゴリン)という少女に出会った。彼女は解離性同一性障害で、いつも詩のような韻を踏んだ話し方をした。2人は互いに友を求め合う気持ちから親しくなっていくが……。1962年度アカデミー賞の監督賞、脚色賞、1963年度英国アカデミー賞の作品賞(総合)、男優賞(国外/ハワード・ダ・シルヴァ)、新人賞(ケア・デュリア、ジャネット・マーゴリン)にノミネートされ、1962年度ヴェネチア国際映画祭の新人監督賞を受賞している。

音楽はプロデューサー、作家、作詞家、広告コンサルタントでもあるアメリカの作曲家マーク・ローレンス(1921〜1991)が作曲しており、これは彼が手がけた唯一の映画音楽。「Theme from David and Lisa」は、不吉なタッチのイントロからサスペンス調のメインの主題へと展開するメインタイトル。「Muriel Theme」は、ややダークなタッチのワルツ調の主題。「Clock-Smash」は、躍動的なサスペンス音楽。「David and Lisa's Love Song」は、ジェントルでリリカルなワルツ調のラヴテーマ。「David's Nightmare」は、リズミックでサスペンスフルな曲。「Play with Me」は、静かにドラマティックでメランコリックな曲。「Lisa in Museum」「Self-Discovery」は、メインの主題のバリエーション。「Finale」は、躍動的なイントロからメインの主題へと展開するフィナーレ。最後にイギリスのジャズ・ミュージシャン、ヴィクター・フェルドマンの楽団の演奏によるスコアの主題のジャズ・バージョン3曲「Theme from David & Lisa」「David & Lisa's Love Song」「Paree, Paree, Paree」を収録。

いずれも公開当時に米MainstreamレーベルからサントラLPが出ており、1991年に同レーベルがCD化しているが、このIntradaレーベルのCDは第一世代ステレオマスターからリマスターされており(内容はLP盤と同じ)、限定プレス。

(2020年4月)

Maurice Jarre

Mark Lawrence

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