スウォーム THE SWARM
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH
(米La-La Land Records / LLLCD
1515)
1978年製作のアメリカ映画。製作・監督は「(TV)宇宙家族ロビンソン」(1965〜1968)「(TV)タイム・トンネル」(1966〜1967)「(TV)巨人の惑星」(1968〜1970)等のSFテレビシリーズや「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)「タワーリング・インフェルノ」(1974)「世界崩壊の序曲」(1980)等のパニック(ディザスター)映画を製作し、「失われた世界」(1960)等の監督も手掛けているアーウィン・アレン(1916〜1991)。出演はマイケル・ケイン、キャサリン・ロス、リチャード・ウィドマーク、リチャード・チェンバレン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、ベン・ジョンソン、リー・グラント、ホセ・ファーラー、パティ・デューク・アスティン、スリム・ピケンズ、ブラッドフォード・ディルマン、フレッド・マクマレイ、ヘンリー・フォンダ、キャメロン・ミッチェル、モーガン・ポール他。アーサー・ハーツォーグの原作を基に「いのちの紐」(1965)「夜の大捜査線」(1967)「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)「キラー・エリート」(1975)「テレフォン」(1977)等のスターリング・シリファント(1918〜1996)が脚本を執筆。撮影はフレッド・J・コーネカンプ。「ポセイドン・アドベンチャー」「タワーリング・インフェルノ」の興行的成功を再現しようと、プロデューサーのアレン自らが監督したオールスター・キャストのパニック映画で、突如発生した蜂の大群の襲撃を描いた大作。ブラジルから渡ってきた殺人蜂の大群がテキサス州東南部に襲来、昆虫学の権威ブラッド・クレイン(ケイン)は大統領の特命により現地に派遣された。蜂の大群はヒューストン近郊の空軍基地を襲撃、基地職員の無残な死骸だけが残された現場でクレインから説明を受けたスレイター将軍(ウィドマーク)と部下のベイカー少佐(ディルマン)は、事態の深刻さを悟る。基地の女医ヘレナ・アンダーソン大尉(ロス)、免疫学者のウォルター・クリム博士(フォンダ)、昆虫学者のハバード博士(チェンバレン)たちが、クレインとともに殺人蜂の撃滅を図ろうとするが……。1978年度アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされている。製作費は約2100万ドル。
音楽はジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。このスコアは公開当時の1978年に米WarnerBros.レーベルより全10曲/約36分収録のサントラLP(BSK
3208)が出ており、その後2003年にベルギーのPrometheusレーベルより全27曲/約71分収録の限定盤CD(CD Club PCR
517)がリリースされていたが、このLa-La LandレーベルのCDは2枚組で全40曲/約117分を収録したリマスター/エクスパンデッド盤。
CD1枚目の冒頭「Main Title (Film Version)」は、ストリングスとホルンにより蜂の大群を表現したイントロからダイナミックでサスペンスフルなタッチのメインタイトル、抑制されたサスペンス音楽へ展開。「Red
Two Reporting」「The Black Mass」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「What Happened?
/ The Picnic」「On Their Way」「Plastic Hives / Old Friends」「Exact Instructions
(Film Version)」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Bees' Picnic (Film Version)」は、ゴールドスミスが得意とするダイナミックでハイテンションなサスペンス音楽で、職人的な巧さ。「Get
Him Out」は、サスペンス調からピアノをフィーチャーしたリリカルでジェントルな主題へ。「Don't Take Him
(Film Version)」は、抑制されたサスペンス音楽から後半ドラマティックなタッチへ。「The Boys and the
Bees」「The Lollipop」は、ややとぼけたタッチのサスペンス音楽。「Oh Maureen / We'll Come
Back」「A Gift of Flowers」「Condolences」は、ジェントルなタッチの曲。「Bees on
Fire」「The Bees Arrive (Film Version)」は、蜂の大群を描写したフレーズを織り込んだサスペンスアクション音楽。「Toward
Marysville」「Train Attack」「No Effect」「Burn 'Em Out」「Get Reinforcements」「Bees
Inside (Film Version)」は、ダイナミックなアクション音楽。「A Boy's Story」「Empty
Town」は、静かにドラマティックな曲。「The Park」は、ダークで重厚なタッチ。「Tommy's
Death (Film Version)」は、ジェントルでリリカルな主題から後半抑制されたサスペンス音楽へ。「Departed
Friend」「The Glasses / Houston Headquarters」は、メランコリックなタッチの曲。ラストの「End
Title (Film Version)」は、明るく躍動的なエンドタイトルで、いかにもディザスター映画的なスケール感はジョン・ウィリアムス作曲の「タワーリング・インフェルノ」のメインタイトルに通ずるものがある。
CD2枚目は1978年リリースのサントラLPの内容(初CD化)と、追加音楽として「Main Title」「No Effect」の別バージョンを収録。
映画自体は製作費と豪華キャストにもかかわらず凡庸な出来で、興行的にも惨敗したが、ジェリー・ゴールドスミスは彼らしく職人芸的なサスペンスアクション・スコアを提供している。オーケストレーションはアーサー・モートン。3000枚限定プレス。
(2020年4月)
Jerry Goldsmith
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