(未公開)LE FILS PRÉFÉRÉ
マドモワゼル MADEMOISELLE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:ナット・ペック、デヴィッド・スネル
Conducted by NAT PECK (「LE FILS PRÉFÉRÉ」), DAVID SNELL (「MADEMOISELLE」)

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra (「MADEMOISELLE」)

(仏Music Box Records / MBR-175)

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フランスの作曲家フィリップ・サルド(1945〜)が、1994年と2001年に手がけたフランス映画2作品のスコアをカップリングにしたCD。いずれも初CD化で、500枚限定プレス。

「(未公開)LE FILS PRÉFÉRÉ」は、1994年製作のフランス映画(英語題名は「THE FAVORITE SON」)。監督は「愛と哀しみのボレロ」(1981)「ギャルソン!」(1983)等に出演したフランスの女優で「ヴァンドーム広場」(1998)「海の上のバルコニー」(2010)「愛を綴る女」(2016)等の監督・脚本も手がけているニコール・ガルシア(1946〜)。出演はジェラール・ランヴァン、ベルナール・ジロードー、ジャン=マルク・バール、ロベルト・ヘルリッカ、マルゲリータ・ブイ、ピエール・モンディ、カリン・ヴィアール、アントワネット・モヤ、フィリップ・デュクロ、ヴァレンティーヌ・ヴァレラ、ジャン=ピエール・ベッケール、マルク・ベルマン、マルク・サポルタ、オーレリー・タベ他。ニコール・ガルシアの原案を基にニコール・ガルシア、「夜のめぐり逢い」(1988)「ザ・マシーン/私のなかの殺人者」(1994)「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」(2003)等の監督・脚本を手がけたフランソワ・デュペイロン「愛を弾く女」(1992)「ココ・アヴァン・シャネル」(2009)「イヴ・サンローラン」(2014)等のジャック・フィエスキが脚本を執筆。撮影はエリック・ゴルティエ。ニースでホテルを経営するジャン=ポール・マンテーニャ(ランヴァン)は財政上の窮地に陥っており、ホテルを手放さざるを得ない状況にあった。彼の父で、かつてイタリアでボクサーだったラファエル(ヘルリッカ)は心臓病で入院していた。ジャン=ポールには2人の兄弟がいて、その1人フィリップ(バール)はミラノで裕福な暮らしをしていたが、過去にジャン=ポールが彼の妻アンナ・マリア(ブイ)を誘惑したことで、彼のことを嫌っていた。もう1人のフランシス(ジロードー)は、ラファエルがゲイであると知って家を出ていた。ジャン=ポールは父と2人の兄弟に財政的な支援を乞うが、誰も彼を助けようとはしなかった。彼は3人の息子の中で常に父から一番可愛がられていたが、それには理由があった……。主演のジェラール・ランヴァンが1995年度セザール賞の男優賞を受賞している。

フィリップ・サルドのスコアは、「Photos de famille」が繊細なタッチのストリングスによるジェントルなメインの主題で、この主題は「Ballade du souvenir」「Un boxeur」等にも登場する。「Jean-Paul et Anna Maria」は、ややメランコリックでドラマティックなタッチの曲。「L'accident」は、不吉で重苦しいタッチの曲。「Trois frères」「Le contrat」「Le silence de Raphaël」は、リー・コニッツのサックスをフィーチャーした静かにドラマティックな曲。「L'affrontement」は、メインの主題から後半ドラマティックかつ重厚に盛り上がる曲。「À la recherche du père」は、コニッツのサックスをフィーチャーしたジェントルでドラマティックな曲。「La révélation」は、ジェントルなタッチから後半重厚なサスペンス調に展開。「Le fils préféré」は、メインの主題のリプライズ。
ギターはジェラール・ガルシアの演奏。繊細で情感豊かなドラマティックスコアで、サックスの使い方がサルドらしい。サルドはサックスの音色に干渉するのを避けるためにヴァイオリンを排し、ヴィオラとチェロとベースによる演奏とした。

アルトサックスを演奏しているリー・コニッツ(1927〜2020)は、アメリカの作曲家・演奏家で、独創的な即興演奏により“クール・ジャズ”を追求した名手だが、2020年4月15日に新型コロナウイルス感染症の肺炎により92歳で亡くなっている。


「マドモワゼル(MADEMOISELLE)」は、2001製作のフランス映画(日本公開は2002年11月)。監督は、サウンドエンジニア(音響担当)出身で「パリ空港の人々」(1993)「灯台守の恋」(2004)「マイ・ファミリー/遠い絆」(2006)「君を想って海をゆく」(2009)等の監督作があるフィリップ・リオレ(1955〜)。出演はサンドリーヌ・ボネール、ジャック・ガンブラン、イザベル・カンドゥリエ、ジヌディーヌ・スアレム、ジャック・ブーデ、パトリック・メルカド、フィリップ・ベグリア、マリヴォンヌ・シルツ、ジェラール・ラルティゴー、ブランディーヌ・ペリシエ、オリヴィエ・クリュヴェイエ、アラン・コーシ、ピエール=ジャン・シェレ、エマニュエル・クールコル、オルガ・グランベール他。脚本はフィリップ・リオレ、クリスチャン・シニジェとエマニュエル・クールコル。撮影はベルトラン・シャトリー。クレール・カンスリエ(ボネール)は製薬会社に勤務し、夫と2人の子供と幸せに暮らしていた。ピエール・カッシーニ(ガンブラン)は即興劇団のメンバーで、公演の旅を続けながら妻と満たされた生活を送っていた。ある日、クレールは会社のコンベンション会場で、数日前小さな薬局ですれ違ったピエールと偶然出くわす。彼の劇団は余興のために雇われここに来ていた。2人は同じ車に乗り合わせることになり、いつしか互いに惹かれ合うようになる……。

フィリップ・サルドのスコアは、「Ar-Men」がピアノとストリングスによる静かに叙情的な曲。「À la gare」「Le mariage」「Mademoiselle」は、繊細かつドラマティックな曲。「Pierre et Claire」「Premier baiser」は、静かにジェントルな曲。「Vespa della notte」は、ジェントルなタッチのピアノ・ジャズで、演奏はモーリス・ヴァンデル(ピアノ)、ジャン=フィリップ・ヴィレ(ベース)、フィリップ・コンベル(ドラムス)。「Une rencontre」は、ピアノとストリングスによる静かに叙情的な曲。「Un phare au large」は、情感豊かでドラマティックな曲。
オーケストレーションはユベール・ブージス。ピアノはアレクサンドル・ガスパロフの演奏。既婚男女の1日間の恋愛を描いたドラマにふさわしい繊細で上質なオーケストラル・スコア。
(2020年6月)

Philippe Sarde

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