ワイルド・アパッチ ULZANA'S
RAID
作曲・指揮:フランク・デ・ヴォール
Composed and Conducted by FRANK DE VOL
(米Intrada / Intrada Special
Collection Volume 448)
1972年製作のアメリカ映画(日本公開は1973年5月)。監督は「ヴェラクルス」(1954)「キッスで殺せ!」(1955)「攻撃」(1956)「飛べ!フェニックス」(1965)「特攻大作戦」(1967)「北国の帝王」(1973)「ロンゲスト・ヤード」(1974)「合衆国最後の日」(1977)「カリフォルニア・ドールス」(1981)等のロバート・アルドリッチ(1918〜1983)。出演はバート・ランカスター、ブルース・デイヴィソン、ホルヘ・ルーク、リチャード・ジャッケル、ホアキン・マルティネス、ロイド・ボックナー、カール・スウェンソン、ダグラス・ワトソン、ドラン・ハミルトン、ジョン・ピアース、グラディス・ホランド、マーガレット・フェアチャイルド、エイミー・エクレス、リチャード・ブル、リチャード・ファーンズワース他。脚本はアラン・シャープ。撮影はジョセフ・バイロック。追いつめられたアパッチ族の最後の反逆と、彼らの討伐のために雇われた老練なスカウトとの闘いを描くウエスタン。西部開拓が終わろうとしていた1810年代半ば、アリゾナではアパッチ族が険しい山々の連なるインディアン居留区に押し込められていた。安穏な空気が流れるロウェル砦に、居留区を出奔したウルザナ(マルティネス)が仲間とともに南へ向かったとの報せが入った。長年インディアンと戦ってきたマッキントッシュ(ランカスター)が砦に呼ばれ、これが初陣となる若き指揮官のガーネット・デビュイン中尉(デイヴィソン)を彼が補佐し、20名の隊員とともにウルザナたちの追跡を開始した。一方ウルザナは、開拓者たちに危険を知らせるべく先発していた騎兵隊員たちをたちまち血祭にあげ、次々と開拓者の家を襲っていった。自決した者も容赦なく身を剥ぎ、心臓をえぐり取り、股間を焼くなど、その殺戮は凄惨を極めた……。主演のバート・ランカスターは(クレジットされていないが)本作の実質的なプロデューサーで、製作費を抑えるため自らの出演料も成功報酬ベースとしていた。製作費は約120万ドル。
音楽はロバート・アルドリッチ監督と「キッスで殺せ!」(1955)「(未公開)悪徳」(1955)「攻撃」(1956)「何がジェーンに起ったか?」(1962)「ふるえて眠れ」(1964)「飛べ!フェニックス」(1965)「特攻大作戦」(1967)「女の香り」(1968)「北国の帝王」(1973)「ロンゲスト・ヤード」(1974)「ハッスル」(1975)「クワイヤボーイズ」(1977)「(未公開)フリスコ・キッド」(1979)「カリフォルニア・ドールス」(1981)でも組んでいる常連作曲家フランク・デ・ヴォール(1911〜1999)。「Universal
Emblem / Main Title Pt. 1」は、静かなイントロから鋭いアタックに続いてトランペットによる大らかな主題、躍動的でスリリングなタッチ、ハーモニカをフィーチャーした軽快なマーチ調のメインの主題へと展開するメインタイトル。「Ulzana
Accordion - Version 1 (Main Title Pt. 2)」は、アコーディオンによるジェントルなタッチの曲。「Bads
(Main Title Pt. 3)」は、ダイナミックでサスペンスフルなタッチからジェントルな主題へ。「One Down」は、ダイナミックでパーカッシヴなアクション音楽。「Mount
Up」は、ハーモニカをフィーチャーした明るく勇壮なマーチ調のメインの主題。「Dead Shot」「Hide and
Seek」「Fire Power」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「One Dead Dog」「Secrets」も、サスペンスフルなタッチの曲。「Squatter's
Rights」「Trouble Time」は、ヒロイックな主題。「Apache Humor」「Fresh
Meat」「Ulzana's Plan」は、抑制されたサスペンス音楽。「Ulzana Harmonica No. 1
(Theme From Ulzana's Raid)」は、ハーモニカによるジェントルなタッチのメインの主題。「Mr. New」は、ややとぼけたタッチからヒロイックな主題へ。「Mac's
Plan」「First Trust」「Plenty Indians」「Con Man (Composite Mix)」は、静かにドラマティックな曲。「Ulzana
Harmonica No. 2」は、ハーモニカによるジェントルなタッチの曲。「Ulzana's Son」は、ダイナミックでヒロイックなアクション音楽からハーモニカによるマーチの主題へ。「Mrs.
Reardon (Film Version)」は、ヒロイックなタッチのメインの主題からサスペンス調へ。「It's
Wednesday」は、ドラマティックなタッチからメインの主題、ダイナミックなサスペンスアクション音楽へ。「End
Title」は、明るく勇壮なマーチ調のメインの主題によるエンドタイトル。最後にエクストラとして別テイク3曲を収録。
オーケストラによるオーソドックスなサスペンスアクション・スコアだが、映画がアルドリッチ監督らしい骨太でリアリスティックな演出のせいか、ウエスタン的な爽快さはあまりない。マーチの主題の明快な親しみやすさはデ・ヴォールらしい。限定プレス。
(2020年8月)
Frank De Vol
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