(TV)合衆国壊滅/M10.5 10.5
作曲:リー・ホールドリッジ
Composed by LEE HOLDRIDGE
(米Dragon's Domain Records / DDR706)
2004年製作のアメリカのテレビ映画(2エピソード/240分)。監督は「チャイルド・プレイ2」(1990)「(TV)モンスター再生」(1999)「(TV)デッド・ゾーン」(2002)「(TV)ラッツ」(2002)「(TV)合衆国壊滅
II/再襲来!M10.5」(2006)等のジョン・ラフィア(1957〜2020)。出演はキム・デラニー、フレッド・ウォード、アイヴァン・セルゲイ、デュレ・ヒル、ボー・ブリッジス、ジョン・シュナイダー、ケイリー・クオコ、レベッカ・ジェンキンス、デヴィッド・キュービット、ブライアン・マーキンソン、ジョン・カッシーニ、キム・ホーソーン、ジル・クロップ、マレット・グリーン、ダグマー・ミッドキャップ他。脚本はクリストファー・カナーン、ジョン・ラフィアとロニー・クリステンセン。撮影はデヴィッド・フォアマン。アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層で起きようとしている未曾有の連鎖地震の脅威と、それに立ち向かう人々の姿を描く。シアトルでマグニチュード7強の地震が発生し、その後北カリフォルニアで巨大地震が次々と起きる。ポール・ホリスター大統領(ブリッジス)の命を受けたFEMA(連邦緊急事態管理局)局長ロイ・ノーラン(ウォード)は対策本部を設置、アメリカ全土より優秀な学者たちを招聘した。シアトル地震の余震と思われたものが実は別の本震ではないかと考えた地質学者のサマンサ・ヒル博士(デラニー)は、震央はもっと深くに位置する未知の超巨大断層にあると推測する。そして今度はサンフランシスコをM9級の大地震が襲った……。製作費は約2000万ドル。
音楽は「(TV)エデンの東」(1981)「ミラクルマスター/七つの大冒険」(1982)「スプラッシュ」(1984)「私が愛したグリンゴ」(1989)「(未公開)ロング
ウェイ ホーム 遥かなる故郷 イスラエル建国の道」(1997)「(TV)アヴァロンの霧」(2001)等のリー・ホールドリッジ(1944〜)。「10.5
Main Title / Goodbye, Space Needle」は、ダークなイントロからダイナミックでサスペンスフルなタッチへ展開するメインタイトル。「Train
Wreck Sequence」「Goodbye Golden Gate Bridge」「The First Nuke」「Quake at Warhead
Site #6 / Losing the Nuke」「The Big Finish」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Heading
to Los Angeles」は、ドラマティックなタッチからリリカルな主題、ストイックなタッチの主題へと展開。「Hill's
Theory」「Governor and Rachel under Wreckage」「Doc Calls Home / Rachel Dies」「L.A.
Evacuation / Rachel Didn't Make It」は、ドラマティックなタッチの曲。「Aftermath」は、ドラマティックでサスペンスフルなタッチから後半リリカルな主題へ。「Fault
Search / Sinkhole」は、ストイックでドラマティックなタッチからダイナミックなアクション音楽へ。「Father
and Daughter on the Road」「Rachel's Message / Owen Finds His Family」は、ジェントルでリリカルな曲。「Let's
Use Nukes!!!」は、抑制されたサスペンス音楽から後半ドラマティックに盛り上がる。「Presidential
Order to Evacuate」は、ヒロイックでストイックなタッチ。「Presidential Speech」は、ホールドリッジらしい荘厳な主題。「Truck
Run」は、スリリングなタッチからドラマティックなサスペンス音楽へ。「I Never Got Over Your Mom /
The Camp」は、静かにドラマティックなタッチから後半大らかな主題へ。「Going Down the Drill Hole
/ Trapped by the Bomb」は、ダイナミックなサスペンス音楽から後半ドラマティックなタッチへ。「A
Father's Farewell」は、荘厳な主題から後半ドラマティックなサスペンス音楽へ。「Detonating the
Nukes / Wrong Way River」は、大らかな主題からドラマティックなサスペンス音楽へ。「The Big
One!!!」は、ダイナミックなサスペンス音楽から後半ジェシカ・リヴェラの荘厳なソプラノによる主題へ。「It's Over /
10.5 End Credits」は、ジェントルな主題、大らかな主題、荘厳なソプラノによる主題からストイックなタッチのエンドクレジットへと展開し、締めくくる。
リー・ホールドリッジには珍しいストレートにサスペンスフルなスコア。2004年製作のテレビ映画のため予算が限られており(今では劇場用映画よりネット配信ドラマの方が潤沢に予算があるが)、オーケストラではなく打ち込みによるシンセ・スコアとなっている(一部アコースティック楽器も使用)。ベテランらしく、ディザスター映画的スケール感をうまく出しているのはさすが。普段オーケストラによるスコアを手がけている作曲家がシンセ・スコアを書くと突然つまらなくなるケースは多いが、ホールドリッジのこのスコアはオーケストラで演奏されることを想定して作曲したものを打ち込みにより再現しているだけ、という印象で、ドラマティックなパワーは十分。このスコアの初リリースで500枚限定プレス。
(2020年8月)
Lee Holdridge
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