エノーラ・ホームズの事件簿 ENOLA HOLMES
作曲:ダニエル・ペンバートン
Composed by DANIEL PEMBERTON
指揮:アンドリュー・スキート
Conducted by ANDREW SKEET
(仏Milan Music / 19439789342)
2020年製作のイギリス映画(新型コロナウイルス感染症流行のために劇場公開は断念され、Netflixが配信権を獲得して2020年9月23日に全世界配信)。監督は「(TV)Fleabag
フリーバッグ」(2016)「(TV)キリング・イヴ/Killing Eve」(2018)「(TV)メサイア 血塗られた救世主」(2008)等のハリー・ブラッドビア。出演はミリー・ボビー・ブラウン、ヘンリー・カヴィル、サム・クラフリン、ヘレナ・ボナム・カーター、ルイス・パートリッジ、バーン・ゴーマン、アディール・アクタル、スーザン・ウォーコマ、ハティ・モラハン、デヴィッド・バンバー、フランシス・デ・ラ・トゥーア、クレア・ラッシュブルック、フィオナ・ショウ、ギャビー・フレンチ、ポール・コプリー他。シャーロック・ホームズの妹エノーラの活躍を描くナンシー・スプリンガーの原作『The
Case of the Missing Marquess: An Enola Holmes Mystery』を基にジャック・ソーンが脚本を執筆。撮影はジャイルズ・ナットジェンズ。1884年、16歳の誕生日を迎えたエノーラ(ボビー・ブラウン)の前から母ユードリア(ボナム・カーター)が暗号を残して姿を消す。エノーラは兄のマイクロフト(クラフリン)とシャーロック(カヴィル)のもとに預けられるも、母親を捜そうと単身ロンドンへと向かう。その途中で家族から逃げてきたテュークスベリー侯爵(パートリッジ)と出会うが……。
「(TV)ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016)「ゴジラ
キング・オブ・モンスターズ」(2019)等に出演したミリー・ボビー・ブラウン(2004年スペイン生まれの16歳)と姉のペイジ・ブランは原作小説のファンで、原作者のスプリンガーに映画化を提案し、この2人は本作のプロデューサーとしてもクレジットされている。アーサー・コナン・ドイル(1859〜1930)作のシャーロック・ホームズの原典では、1881年にホームズとワトソン博士が出会ったことになっているが、1884年が舞台のこの映画(及び原作)にワトソンは登場しない。一方、2020年6月にアーサー・コナン・ドイル財団はニューメキシコ州連邦裁判所に本作が原典の著作権を侵害しているとの訴えを提出。1923年以前のシャーロック・ホームズの物語のほとんどは著作権のないパブリックドメインとなっているが、1923年から1927年に出版された最後の10作品に関しては著作権が保護されていると主張している。
音楽は「コードネーム
U.N.C.L.E.」(2015)「キング・アーサー」(2017)「ゲティ家の身代金」(2017)「オーシャンズ8」(2018)「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)「(TV)ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス」(2019)「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒
Birds of Prey」(2020)等のダニエル・ペンバートン(1977〜)。「Enola
Holmes (Wild Child)」は、ミステリアスなタッチのイントロから明るく躍動的なタッチのメインタイトルへ展開する曲。西部劇調のノスタルジックなタッチのメインの主題が良い。「Gifts
from Mother」「Making a Lady」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Mycroft
& Sherlock Holmes」「Fields of London」は、躍動的なメインの主題。「Cracking the
Chrysanthemums Cypher」は、静かにミステリアスなタッチから女声ヴォーカルを織り込んで徐々に盛り上がる曲。「The
Game Is Afoot」「Messages for Mother」「Forest Clues」は、躍動的でミステリアスなタッチの曲。「Train
Escape」「Fight Combat」「Escaping Lestrade」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Nincompoop」は、抑制されたサスペンス音楽。「Marquis」「Tewkesbury's
Trail」は、ジェントルなタッチの曲。「London Arrival」「Basilwether Hall」は、躍動的でドラマティックな曲。「Dressing
Up Box」は、フィドルをフィーチャーした明るく快活な曲。「The Limehouse Puzzle」は、ミステリアスなタッチ。「Limehouse
Lane」は、メランコリックなタッチの主題からダークなサスペンス音楽へ。「Edge of a Cliff」は、ドラマティックなタッチ。「School
Escape」は、メインの主題から躍動的でダイナミックなタッチへ。「Tick Tock」は、時計が時を刻むようなリズムの不気味なサスペンス音楽。「For
England」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたドラマティックな曲。「Ha!」は、明るく快活なタッチ。「Enola
& Tewkesbury Farewell」は、リリカルなタッチのピアノをフィーチャーしたジェントルな主題からメランコリックなタッチへ。「An
Old Friend」は、メランコリックなタッチ。「Mother」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたジェントルな曲。「Enola
Holmes (The Future Is Up to Us)」は、メインの主題のリプライズによるエンディング曲。
お転婆なヒロインが活躍するドラマにふさわしい、明るく爽やかで躍動的なタッチのオーケストラル・スコア。
(2020年11月)
Daniel Pemberton
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