ヒックとドラゴン HOW TO TRAIN YOUR DRAGON

作曲:ジョン・パウエル
Composed by JOHN POWELL

指揮:ギャヴィン・グリーナウェイ
Conducted by GAVIN GREENAWAY

(米Varese Sarabande / VCL 1020 1205)

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2010年製作のアメリカ映画で、ドリームワークス・アニメーションによる3Dアニメ作品。監督は「リロ&スティッチ」(2002)等のクリス・サンダース(1962〜)とディーン・ドゥブルワ(1970〜)。声の出演はジェイ・バルシェル(ヒック/日本語吹替:田谷隼)、ジェラルド・バトラー(ストイック/田中正彦)、クレイグ・ファーガソン(ゲップ/岩崎ひろし)、アメリカ・フェレーラ(アスティ/寿美菜子)、ジョナ・ヒル(スノット/淺井孝行)、クリストファー・ミンツ=プラッセ(フィッシュ/宮里駿)、T・J・ミラー(タフ/南部雅一)、クリステン・ウィグ(ラフ/村田志織)、ロビン・アトキン・ダウンズ、フィリップ・マクグレイド、キーロン・エリオット、アシュレー・ジェンセン、デヴィッド・テナント。イギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェル(1966〜)の原作『ヒックとドラゴン』を基にクリス・サンダース、ディーン・ドゥブルワとウィル・デイヴィースが脚本を執筆。撮影はギル・ジマーマン。ドラゴンとヴァイキングが互いに憎しみ合い終わりのない戦いを繰り広げていた時代を舞台に、気弱な少年と傷ついたドラゴンの間に芽生えた友情と成長の物語を描く。遠い昔、バーク島に住むヴァイキングたちは村にたびたび襲来するドラゴンと戦い続けていた。村のリーダーであるストイックの息子ヒックは、気が優しくて非力な落ちこぼれヴァイキングだったが、ある日傷ついて飛べなくなったドラゴン「トゥースレス(歯無し/日本語版ではトゥース)」と出会う。みんなには内緒でこっそりエサをあげるようになったヒックは、次第にトゥースと心を通わせていき、やがてドラゴンが決して自分たちの思っていたような恐い存在ではないと気づき始めるが……。2010年度アカデミー賞の長編アニメ賞と作曲賞、同年のゴールデン・グローブのアニメーション作品賞、英国アカデミー賞のアニメーション賞と作曲賞、放送映画批評家協会賞の長編アニメ賞にノミネートされている。製作費は約1億6500万ドル、全世界興行収入は約4億9488万ドル。その後テレビシリーズ化されている他、劇場版の「ヒックとドラゴン2」(2014)「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」(2019)が製作されている。

音楽は「フェイス/オフ」(1997)「シュレック」(2001)「ボーン・アイデンティティー」(2002)「Mr.&Mrs. スミス」(2005)「PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜」(2015)「ジェイソン・ボーン」(2016)「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」(2018)等のイギリス出身の作曲家ジョン・パウエル(1963〜)。このスコアは公開当時の2010年にVareseレーベルが全25曲/約72分収録のサントラCDを出しており、同年にアカデミー賞の作曲賞選考用の2枚組全34曲/約82分収録のプロモーショナル盤もあったが、このVareseレーベルの“The Deluxe Edition”CDは、2枚組で代替テイクやデモを含む全42曲/約106分を収録。3000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「This Is Berk (Alternate Film Version)」は、荘厳なイントロからコーラスをフィーチャーしたジェントルな主題へ展開する曲。続く「This Is Berk (with Original Opening Version)」は、同じ曲の異なるバージョンでコーラス入りのダイナミックなイントロからジェントルな主題、マーチ調のヒロイックな主題、大らかな主題へと展開。「Anybody See That?」は、不気味なサスペンス調からコーラスを織り込んだダイナミックなマーチ調の主題へ。「Training Out There」も、コーラス入りの静かにドラマティックでジェントルな主題から不気味なタッチへ。「Dragon Training」は、荘厳なタッチからダイナミックでヒロイックな主題へ。「Wounded」は、コーラスを織り込んだ幻想的な曲。「The Dragon Book」は、静かなイントロから躍動的な主題、ドラマティックな主題へ展開。「Hiccup Focus」は、パーカッシヴでダイナミックなアクション音楽。「Offering」は、コーラス入りの荘厳なタッチの曲。「Forbidden Friendship」は、コーラス入りのジェントルでリリカルなタッチの曲。「New Tail」は、ドラマティックでストイックなタッチの主題。「Teamwork」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「See You Tomorrow」は、躍動的でエスニックなタッチの舞踏音楽風の曲。「Test Drive」は、躍動的でパワフルかつヒロイックな曲。「Not So Fireproof」は、静かにドラマティックな曲。「This Time for Sure」「Astrid Goes for a Spin」は、ダイナミックでヒロイックな曲。「Romantic Flight」は、コーラスを織り込んだジェントルで大らかな曲。「Dragon's Den」は。サスペンスフルなタッチからダイナミックでドラマティックな主題へ。「Let's Find Dad」は、ジェントルでリリカルな曲。「Kill Ring/Stop the Fight」は、大らかなイントロからビジーでダイナミックなアクション音楽へ。

CD2枚目の冒頭「Not a Viking」は、重厚なイントロから躍動的な主題へ展開する曲。「Ready/Confront」は、コーラスを織り込んだダイナミックでヒロイックな主題から荘厳な主題へ。「Relax/Stroke/Hell」は、コーラス入りの大らかな主題から重厚でダイナミックなタッチへ。「Over/Less Okay」は、躍動的でダイナミックなアクション音楽からヒロイックなマーチへ。「Wings」「Counter Attack」は、ダイナミックなアクション音楽。「Where's Hiccup?」は、コーラスによる荘厳で幻想的な主題からピアノ・ソロによるリリカルな主題。「Coming Back Around」は、ジェントルで大らかな主題から躍動的でヒロイックな主題へ。「Sticks & Stones (Written and Performed by Jonsi)」は、アイスランドのミュージシャン、ヨンシー(ヨン=ソル・ビルギッソン/1975〜)の作曲・ヴォーカルによる明るく高揚感のある主題歌。「The Vikings Have Their Tea」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたジェントルで大らかな曲。最後に代替テイク、デモ等7曲を収録。

ヴァイオリン・ソロはペリー・モンターギュ=メイソン、ハーディングフェーレ(Hardanger Fiddle/ノルウェーの擦弦楽器)はダーモット・クレハン、ペニー・ホイッスル(アイルランドの縦笛)はヘレン・キーン、ギターとダルシマーはヴィヴィアン・ミラノヴァによる演奏。ソロ・ヴォーカルはディー・ルイス=クレイ、合唱はメトロ・ヴォイシーズ。様々な民族楽器によりエスニックな味付けをしたファンタジー・アドヴェンチャー・スコア。上述の通り、ジョン・パウエルはこのスコアでアカデミー賞の作曲賞にノミネートされている。
(2021年1月)

John Powell

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