誘拐犯 THE WAY OF THE GUN
作曲・指揮:ジョー・クレイマー
Composed and Conducted by JOE KRAEMER
(米Milan Records / 73138 35915-2)
2000
2000年製作のアメリカ映画(日本公開は2001年6月)。監督・脚本は「ユージュアル・サスペクツ」(1995)「ワルキューレ」(2008)「ツーリスト」(2010)「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)「トップガン
マーヴェリック」(2021)等の脚本や「アウトロー」(2012)「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015)「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」(2018)等の監督・脚本を手がけているクリストファー・マッカリー(1968〜)で、これは彼の初監督作品。出演はライアン・フィリップ、ベニチオ・デル・トロ、ジュリエット・ルイス、ジェームズ・カーン、テイ・ディグス、ニッキー・カット、ジェフリー・ルイス、ディラン・カスマン、スコット・ウィルソン、クリスティン・レーマン、ヘンリー・グリフィン、アルマンド・ゲレロ、アンドレス・オロズコ、ジャン・ジェンセン、ホセ・ペレス他。撮影はディック・ポープ。大富豪ヘイル・チダック(ウィルソン)の子を宿した代理母ロビン(ジュリエット・ルイス)を誘拐し、身代金を要求する流れ者のパーカー(フィリップ)とハロルド・ロングボー(デル・トロ)。チダックが実は裏組織と通じていたことから、2人は殺し屋に追われることになる……。チダックの昔からの掃除屋ジョー・サルノ役のカーンと、その旧友のアブナー・マーサー役のジェフリー・ルイス(ジュリエットの実父)がいい味を出しており、特にアブナーが車の中で果てるときのこの2人のやりとりが良い。主人公の名前パーカーとロングボーは、「明日に向って撃て!(BUTCH
CASSIDY AND THE SUNDANCE KID)」(1969/監督:ジョージ・ロイ・ヒル)でポール・ニューマンが演じたブッチ・キャシディとロバート・レッドフォードが演じたサンダンス・キッドの本名で、この「誘拐犯」のラストの銃撃戦シーンのロケ場所は「明日に向って撃て!」のラストの銃撃戦シーンと同じ場所。製作費は約850万ドル、全世界興行収入は約1320万ドル。
音楽は、クリストファー・マッカリー監督と「アウトロー」(2012)「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015)等でも組んでいるジョー・クレイマー(彼の妻はこの映画にコンビニ店員役で出演している)。「Main
Title - The Setup」は、ギターとティンパニによるイントロからストイックでサスペンスフルなタッチの主題へ展開するメインタイトル。「The
Grab」は、抑制されたタッチから徐々にサスペンスが盛り上がっていく曲。「Robin」「The Truck Stop
」「"Rub 'em out"」「Family Ties」「Enter Bagman」「Family Plots」「"Until that day,
then..."」「Showdown at the Nacio Madre」「The Brothel」「"Some men here to see you"」は、抑制されたサスペンス音楽が連続する。「Slow
Car Chase」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Hearts」は、静かにメランコリックな曲。「Stair
Talk」「The Way of the Gun」は、重厚なサスペンス音楽。「Karma and Justice」は、徐々にドラマティックに盛り上がる曲。「Car
Talk」は、カスタネットを織り込んだリズミックなサスペンス音楽。「Question Mark and the Bagmen」は、不気味なサスペンス音楽。「Family」は、ストイックでドラマティックな曲。「End
Titles」は、ダイナミックでストイックなタッチのエンドタイトル。「How to Make a Margarita」は、ポップな主題歌。ドライで乾いたタッチのサスペンス・スコア。
ジョー・クレイマーは監督のクリストファー・マッカリーとこの映画のスコアについて話し合いを始めた際に、いくつかのガイドラインを決めたという:@ギターは使わない
- この映画はある種の“ネオ・ウエスタン”で、ギターはあからさますぎるので。A歌は使わない -
この映画をソング・スコアにしたくなかった。いい曲はもうほとんど使われてしまっている。Bトラディッショナルな大編成オーケストラ・サウンドは避ける -
できるだけ小さく、ちょっとダーティにしたい。C最低限のスポッティング -
約20分の音楽。――ところが結果として、@ピアノ、ギター、ティンパニを使い、A3曲・約15分の歌を使い、B45人編成のオーケストラ(比較的小規模だが)を使い、C1時間以上のスコアになってしまったという。タッチは、1970年代のデヴィッド・シャイア、ジェリー・ゴールドスミス、ラロ・シフリン、ジェリー・フィールディング、ジョン・ウィリアムスのスコアを意識したらしい。
(2021年3月)
Joe Kraemer
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