グレート・ギャツビー・バレエ THE GREAT GATSBY BALLET
作曲・指揮:カール・デイヴィス
Composed and Conducted by CARL DAVIS
演奏:チェコ国立交響楽団
Performed by Czech National Symphony Orchestra
(英Carl Davis Collection /
CDC032)
これは映画音楽ではなく、カナダの王立ウィニペグ・バレエの首席ダンサーを務めたコレオグラファーのジョーデン・モリスの製作により、ピッツバーグ・バレエ・シアターが2019年2月8〜17日にベネダム・センターで上演したバレエに、カール・デイヴィス(1936〜)が作曲したオリジナル・スコア。
アメリカの作家F・スコット・フィッツジェラルド(1896〜1940)が執筆し、1925年に出版された小説『グレート・ギャツビー(The
Great Gatsby)』をベースにしたバレエで、ピッツバーグ・バレエ・シアターは1987年以来、このバレエを計4回上演している。また、この題材はノーザン・バレエ、カリフォルニア・バレエ、ワシントン・バレエ、香港バレエ等でも上演されている。
1920年代のアメリカ。証券会社に就職し、ニューヨーク郊外に移り住んだ青年ニック・キャラウェイ。隣は宮殿のような豪邸で、夜な夜な豪華なパーティが開かれていた。しかし、そんな騒乱の屋敷に住んでいるのはジェイ・ギャツビーという謎めいた男ひとりだけ。ある日、ニックのもとにもパーティの招待状が届く。招待客はギャツビーについて様々な噂をたてるが、誰も彼の素性はおろか、パーティを開く理由さえ知らなかった。そんな中、ついにギャツビー本人と対面したニック。やがて、ギャツビー自らが語る本当の生い立ちを聞かされるのだったが……。
この著名な原作は「華麗なるギャツビー」(1974/監督:ジャック・クレイトン、脚本:フランシス・フォード・コッポラ、出演:ロバート・レッドフォード、ミア・ファロー、ブルース・ダーン他)、「(TV)華麗なるギャツビー」(2001/監督:ロバート・マーコウィッツ、出演:ミラ・ソルヴィノ、トビー・スティーヴンス他)、「華麗なるギャツビー」(2012/製作・監督・脚本:バズ・ラーマン、出演:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン他)等として何度も映画化されている。尚、カール・デイヴィスは上記2001年製作のミラ・ソルヴィノ主演のテレビ・ムービーのスコアも作曲している。
カール・デイヴィスのバレエ・スコアは、冒頭の「King
Charleston」が明るく快活なチャールストン。「It's You - Foxtrot」「A Graceful,
Conservative Foxtrot」は、ノスタルジックなタッチのフォックストロット。「The Green Light」は、静かにジェントルなタッチから後半ヒロイックな主題へ展開。「City
of Steel and Concrete」は、リズミックで大らかな曲。「Marche Pompeuse」は、明るく勇壮なマーチ。「Valse
Americaine」は、優雅なワルツ。「Twins」「Meet My Girl!」は、ジェントルタッチのなジャズ。「One
of those Dogs」は、大らかな主題からダイナミックなジャズへ。「Chez Myrtle」は、ややコミカルなタッチのダイナミックなジャズ。「Old
Sport」は、ノスタルジックなタッチのジャズ。「Valse Lente」は、静かにドラマティックかつジェントルな曲。「Beautiful
Shirts」は、明るくダイナミックなワルツから大らかな主題へ。「Mirrors」は、ドラマティックなイントロからダイナミックなジャズへ。「Tango
Grande」は、ダイナミックでドラマティックなタンゴ。「Mr Nobody from Nowhere - Paso
Doble」は、スペイン風のストイックかつダイナミックな曲。「Choices」は、メランコリックなイントロからジェントルな主題へ。「Despair
and Death of Myrtle」は、ドラマティックでダイナミックかつサスペンスフルなタッチ。「George's
Lament」は、メランコリックでドラマティックなタッチ。「Around the Kitchen Table」は、ジェントルで荘厳な曲。「Finale:
Shimmy」は、明るく快活なフィナーレ。
(2021年5月)
Carl
Davis
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