(未公開)I DUE EVASI DI SING SING
作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE
(スペインQuartet Records / QR445)
1964年製作のイタリア映画。監督は「真昼の用心棒」(1966)「野獣死すべし」(1980)等のウエスタンや「サンゲリア」(1979)「地獄の門」(1980)「ビヨンド」(1981)等のスプラッターホラー映画で知られるルチオ・フルチ(1927〜1996)で、これは彼がキャリア初期に手がけた白黒コメディ映画。主演は「地上最笑の作戦」(1962)「100人のスカート作戦」(1963)「(未公開)DR.
GOLDFOOT AND THE GIRL BOMBS」(1966)「(TV)ピノッキオの冒険」(1972)等の作品にコンビで出演しているシシリー出身のコメディ俳優フランコ・フランキとチッチョ・イングラシア。共演はアルトゥーロ・ドミニチ、グロリア・パウル、リヴィオ・ロレンツォン、リノ・バンフィ、ポルド・ベンダンディ、ミモ・ポリ、アッティリオ・ドッテシオ、アリシア・ブランデット、フレディ・マック、オメロ・ガルガーノ、レナート・テラ、ヴィットリオ・ボノス、ニーノ・テルツォ他。マルチェロ・チョルチオリーニの原案を基にルチオ・フルチとマルチェロ・チョルチオリーニが脚本を執筆。撮影はビットー・アルベルティーニ。ニューヨークのシンシン刑務所に収監されているシシリー人のフランコ・バカローネ(フランキ)と従弟のチッチョ・バカローネ(イングラシア)は、殺人の罪で死刑執行間近となっていた。フランコは回顧録を書き始め、これまでの経緯がフラッシュバックで描かれる――公衆浴場で働いていたフランコは、宿敵レミー・トリスターノ(ロレンツォン)によって殺されかけたマフィアのボス、アルフレッド・アタナシア(ドミニチ)の命をたまたま救ったことで、ボスお抱えのボクサーとしてデビューさせられることになり、チッチョはそのトレーナーとして雇われるが……。
音楽はエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)で、これは彼が「荒野の用心棒(Per
un pugno di dollari」と同年に手がけたスコア。「I due evasi di Sing
Sing (Titoli)」「Il Boss e le Pupe」「Incontro dei Boss」「Fuga」は、クールなタッチのジャズ。「Oh
Little Birdy」は、マウリツィオ・グラフのヴォーカルによる英語の主題歌で、なぜかマカロニ・ウエスタン風。「Le
Sedie Elettriche」「Marcia No2」は、スラプスティックなタッチの曲。「Ballerine」は、サルーン・ピアノ風の軽快なタッチ。「Marcia」は、明るく快活なマーチ。「Bossa
per Gloria」は、ライトなボサノヴァ。「Gangsters」「Finale」は、ダイナミックなジャズ。「Al
Night Club」は、ジェントルなピアノ曲。「Ballando, Ballando」は、明るく軽快なダンス・ミュージック。「Il
tempo che passa」は、幻想的なタッチの曲。ギャング映画のパロディにふさわしい活き活きとしたジャズ・ベースのスコア。
このスコアは、過去に全13曲/約21分収録のライブラリ音源LP(RTV
RT-100)がイタリアでリリースされていたが、このQuartetレーベルのCDはフル・スコア(全15曲/約27分)を収録したもので、500枚限定プレス。
(2021年6月)
Ennio Morricone
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