(未公開)ジャングル・チェイス AFRICA
ロリーポップ E'LOLLIPOP
作曲・指揮:リー・ホールドリッジ
Composed and Conducted by LEE HOLDRIDGE
(米Dragon's Domain Records /
DDR668)
「(TV)エデンの東」(1981)「ミラクルマスター/七つの大冒険」(1982)「スプラッシュ」(1984)「私が愛したグリンゴ」(1989)「(未公開)ロング
ウェイ ホーム 遥かなる故郷 イスラエル建国の道」(1997)「(TV)アヴァロンの霧」(2001)等のリー・ホールドリッジ(1944〜)が手がけたアフリカが舞台の映画2本のスコア(LEE
HOLDRIDGE COLLECTION VOLUME 2)。いずれも初アルバム化で、500枚限定プレス。
「(未公開)ジャングル・チェイス(AFRICA)」は、1999年製作のイギリス=南アフリカ合作映画。製作・監督・脚本は「(未公開)エイリアン・フロム・ダークネス」(1997)「AR
− アール/妖精の住む島」(1998)「(未公開)ザ・ヴァイキング 魔王復活」(2001)「(OV)トロルとエルフの森/魔法のドア」(2007)等のポール・マシューズ。出演はドレット・ポトガイター、グレッグ・ワイズ、パトリック・バーギン、エリザベス・バークレー、デヴィッド・デュカス、ダグラス・ブリストウ、ジョスリン・ブロデリック、アナ・アレクサンダー、ロビン・スミス、ゼイン・ミーズ、アンソニー・ビショップ、エロイーズ・キューピッド、ピーター・ガイ、サンディ・モクウェナ、デヴィッド・リー他。撮影はヴィンセント・G・コックス。猛獣が支配するアフリカのジャングルに取り残されたファッションモデルが命懸けのサヴァイヴァルに挑むアクション。ジープを走らせ旅に出た売れっ子モデルのヴィクトリア(ポトガイター)は、トラックとの衝突事故に遭い、気がつくとひとりジャングルに取り残されていた……。
リー・ホールドリッジは、スティーヴン・クローズの演奏によるアフリカン・パーカッションにシンセサイザーとソプラノサックスを加えたスコアを作曲したが、映画では未使用となったので、ここでは「Music
Inspired by the Film」となっている。「Africa Main Title」は、アフリカをイメージしたパーカッシヴなイントロからソプラノサックスによるメランコリックでドラマティックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル。「Josh
Worries / Leaving on a Jeep」は、サックスによるメインの主題を織り込んだサスペンス調の曲。「2
Heavies / Night Driving」は、シンセによるサスペンス音楽。「Fuzzy Vision /
Desolation / Campfire」は、抑制されたサスペンス音楽。「Thorns / Bedroom
Flashback / The Village / Josh Worries Again」は、パーカッシヴなサスペンス音楽からサックスによるメインの主題へ。「Vicky's
Fed Up / Antelope Tartar」は、サックスをフィーチャーしたストイックなサスペンス音楽。「Leaving
the Tree / Lion Chase」は、不気味なタッチからパーカッシヴなサスペンス音楽へ。「At The
Waterfall / Elephants」は、サックスによるメインの主題から後半ストイックでドラマティックなタッチへ。「The
Waterhole」は、パーカッシヴなサスペンス音楽。「Everyone Leaves」「Africa End
Credits」は、サックスによるメインの主題。「A Tire Track!」は、メインの主題のバリエーションから後半ストイックでドラマティックなタッチへ。
「ロリーポップ(E'LOLLIPOP)」は、1975年製作の南アフリカ映画(英語題名は「FOREVER
YOUNG, FOREVER FREE」/日本公開は1976年3月)。監督は「黄金のランデブー」(1977)等のアシュレイ・ラザラス。出演はホセ・ファーラー、カレン・ヴァレンタイン、ベス・フィニー、ムンツ・ベン・ルイス・ウンデベル、ノーマン・ノックス、サイモン・サベラ、ケン・ガンプ、ナオミ・ヴァン・ニーカーク、ファニー・ベッカー、ビンゴ・ムボンジャニ、パトリック・マインハルト、デイル・カッツ、ジャン・ブラインズ、フィービー・ベヘング、アリス・ウェブ他。アンドレ・ピーターセの原案を基にアシュレイ・ラザラスが脚本を執筆。撮影はアーサー・J・オーニッツ。レソトの伝道教会で育てられた白人の少年と黒人の少年の友情を描くドラマ。事故で両親を失った白人の子ジャニー(ノックス)は、アフリカのレソトでアルベルト神父(ファーラー)とシスター・マルゲリータ(フィニー)に育てられた。ジャニーは黒人の少年ツェポ(ウンデベル)と仲良くなり、愛犬シュガーボールを連れてはしゃぎ廻る2人は、肌の色こそ違え兄弟のようだった。ある日、ジャニーは腎臓破裂の大怪我をして町の病院に担ぎ込まれたが、専門医はニューヨークの学会に出かけており留守だった。アメリカからボランティアでやって来た学生キャロル・アン(ヴァレンタイン)は、米軍の飛行機でジャニーをニューヨークに運ぼうと提案する。アメリカでのジャニーの手術は成功したが、意識が戻らなかった。アルベルト神父と一緒にニューヨークにやって来たツェポが、病院でジャニーに呼びかけると、それに応えるようにジャニーの眼が開いた。一行が無事レソトに戻った後、アルベルト神父のもとにジャニーの祖母だと名乗る老婦人が現われる……。
リー・ホールドリッジのスコアは、冒頭の「Prologue」が静かにジェントルで幻想的なプロローグ。「Childhood
Theme」は、ホールドリッジらしい優しくリリカルな子供たちの主題。「Schoolboy Pranks」「Tsepo's
Journey to New York」は、おどけたタッチの曲。「Carol Ann's Theme」は、ジェントルかつドラマティックで美しいキャロル・アンの主題。「Village
Montage: Childhood Theme Reprise and Maluteng」は、ジェントルな子供たちの主題から快活な女声コーラスによる舞踏音楽風の主題へ。「An
American Girl in Africa」は、明るく躍動的な曲。「Montage [The Boy's Play /
The Witchdoctor's Premonition / The Accident]」は、明るく快活なタッチから抑制されたサスペンス音楽へ。「The
Prayer」「The Running Away Montage」「Sugarball's Rescue」は、ドラマティックな曲。「At
the Waterfall」「Remembrance」は、ジェントルでリリカルな曲。「Montage [Tsepo Gets
Lost / Harlem Day / Harlem Night]」は、ドラマティックなタッチからリズミックな主題、サスペンス音楽へ。「The
Chase」は、ダイナミックなアクション音楽。「Pitsane」は、女声コーラスによる舞踏音楽風の曲。「Finale
[African Funeral / Traditional Hymn / Finale]」は、女声コーラスをフィーチャーしたジェントルで荘厳な曲。ホールドリッジの陽性な個性が良く出た、ドラマティックなオーケストラル・スコアで、彼自身のお気に入りのスコアの1つ。
(2021年6月)
Lee Holdridge
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