(未公開)ブロンクスからの脱出 FUGA DAL BRONX

作曲・指揮:フランチェスコ・デ・マージ
Composed and Conducted by FRANCESCO DE MASI

(イタリアBeat Records / CDCR 146)

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1983年製作のイタリア映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済/英語題名は「ESCAPE FROM THE BRONX」)。監督は「黄金の三悪人」(1967)「七人の特命隊」(1968)「空爆大作戦」(1969)「(未公開)地獄のバスターズ」(1976)「(未公開)ブロンクス・ウォリアーズ/1990年の戦士」(1982)「炎の戦士ストライカー」(1987)等のエンツォ・G・カステラッリ(1938〜)。出演はマーク・グレゴリー(マルコ・ディ・グレゴリオ)、ヘンリー・シルヴァ、ヴァレリア・ドビチ、ティモシー・ブレント(ジャンカルロ・プレテ)、パオロ・マルコ、トーマス・ムーア(エンニオ・ジロラーミ)、アントニオ・サバート、アレッサンドロ・プレテ、マッシモ・ヴァニ、アンドレア・コッポラ、エヴァ・ツェメリーズ、モアナ・ポッツィ、ロマーノ・プッポ、カルラ・ブライト、エンツォ・G・カステラッリ他。ティト・カルピの原案を基にティト・カルピとエンツォ・G・カステラッリが脚本を執筆。撮影はブラスコ・ジウラート。

同じ監督・主演による「(未公開)ブロンクス・ウォリアーズ/1990年の戦士」の続編。ブロンクス地区の再開発を計画する建設会社ジェネラル・コンストラクション・コーポレーションが、立ち退こうとしない住民たちを皆殺しにするためにサディスティックな元刑務所看守フロイド・ラングラー(シルヴァ)を雇い、ディスインフェスターズ(害虫駆除隊)と呼ばれる殺人軍団を率いて殺戮を開始する。住民の1人で爆弾製造のプロであるトラッシュ(グレゴリー)は建設会社の社長ヘンリー・クラーク(ムーア)を誘拐し、社長の命と引換えに再開発中止を要求するが……。ジョン・カーペンター監督の「ニューヨーク1997」(1981)を模倣したイタリア製の低予算アクション映画だが、ノンストップ・アクションと大量の死体の数(計174人)、スプラッター的な殺戮描写でカルト的人気のある作品。北米での興行収入は約141万ドル。

音楽は「鉄腕マチステ」(1963)「地獄から来たプロガンマン」(1966)「南から来た用心棒」(1966)「七人の特命隊」(1968)「空爆大作戦」(1969)「(未公開)コブラ・ミッション」(1986)「怒りのサンダー/最後の決戦」(1988)等のフランチェスコ・デ・マージ(1930〜2005)。このスコアは公開当時の1983年にイタリアBeatレーベルから全14曲/約37分収録のサントラLP(Beat Records LPF 063)が出ており、その後1995年にイタリアVivi Musicaレーベルがリリースしたデ・マージの作品集CD「Francesco De Masi Film Music: Violence and Suspence」(Vivi Musica VCDS 7007)に4曲が収録されていたが、今回Beatレーベルが2021年4月にリリースしたCDは、前半に映画で使用されたオリジナルスコア17曲、後半にLPの内容を収録した全31曲/約77分のエクスパンデッド盤。

「Comanche Rock」は、リズミックなパーカッションとシンセによるスリリングなタッチの曲(作曲:セルジオ・モントーリ、指揮:ウォルター・リツァッティ)。「Escape Sequence 1 - 2」は、エレキギター、オルガン、ストリングスをフィーチャーしたリズミックでストイックなメインの主題で、この主題は「Escape Sequence 8」「Escape Sequence 11 - 14」「Escape Sequence 21 - 22」「Escape Sequence 26 - 27」等で繰り返し登場する。「Escape Sequence 3」は、ネロ・サルツァのトランペット・ソロによるヒロイックなタッチのトラッシュの主題で、この主題は「Escape Sequence 18」でも登場。「Escape Sequence 4」は、サックスをフィーチャーしたドラマティックなタッチの曲。「Escape Sequence 5」は、リズミックなサスペンス音楽。「Escape Sequence 6 - 7」は、ダークなサスペンス調から後半サックスによるメランコリックな主題へ。「Escape Sequence 9 - 10」は、サックスによる静かにドラマティックなタッチから後半ダークなサスペンス音楽へ。「Escape Sequence 15 - 17」「Escape Sequence 24 - 25」は、ジャズベースのサスペンス音楽。「Escape Sequence 19 - 20」「Escape Sequence 23」は、ダークなタッチのサスペンス音楽。「Escape Sequence 28 - 30」は、ダイナミックでリズミックなサスペンス音楽。オーケストラとシンセサイザーの組み合わせによるサスペンス・アクションスコアで、B級アクション的なヴァイタリティを感じさせるところが良い。
(2021年7月)

Francesco De Masi

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