夕なぎ CÉSAR ET ROSALIE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

(スペインQuartet Records / QR451)

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1972年製作のフランス=イタリア=西ドイツ合作映画(日本公開は1976年2月)。監督はクロード・ソーテ(1924〜2000)。出演はイヴ・モンタン、ロミー・シュナイダー、サミー・フレイ、ベルナール・ル・コック、エヴァ・マリー・マイネケ、アンリ=ジャック・ウー、イザベル・ユペール、ジゼラ・アーン、ベティ・ベッケル、エルヴェ・サンド、ジャック・デリー、セリーヌ・ガラン、ウンベルト・オルシーニ、ミシェル・ピッコリ、アレクサンドル・アルカディ他。脚本はクロード・ソーテ、ジャン=ルー・ダバディとクロード・ネロン。撮影はジャン・ボフェティ。画家である夫のアントワーヌ(オルシーニ)と別れ、幼い娘のカトリーヌ(ガラン)と暮らしていたロザリー(シュナイダー)は、自動車や船の廃棄鉄屑を売って荒稼ぎしている48歳のセザール(モンタン)と出会い、恋に落ちる。そこにロザリーのかつての恋人ダヴィッド(フレイ)が現れる。彼は30歳の才能あるデザイナーだったが、5年前にロザリーを置いて遠くに旅立っていた。そんな2人の関係を知る由もないセザールは、ダヴィッドの出現に不安な思いをつのらせていった……。

音楽はクロード・ソーテ監督と「すぎ去りし日の…」(1969)「(未公開)はめる/狙われた獲物」(1970)「友情」(1974)「(未公開)MADO」(1976)「ありふれた愛のストーリー」(1978)「(未公開)UN MAUVAIS FILS」(1980)「ギャルソン!」(1983)「僕と一緒に幾日か」(1988)「愛を弾く女」(1992)「とまどい」(1995)でも組んでいるフィリップ・サルド(1948〜)。ソーテは、当時23歳だったサルドがデビュー作の「すぎ去りし日の…」で初めて組んだ監督であり、彼にとっては映画の世界における教師的な存在だった。このスコアは公開当時にフランスのCAMレーベルから全12曲/約22分収録のサントラLP(CAM LAG 460002)が出ており、同じ内容のCDが1988年に日本のSLCレーベル(SLCD-1003)、1991年にイタリアCAMレーベル(CAM 493360-2)等から出ていたが、今回Quartetレーベルが2021年4月にリリースしたCDはコンプリート・スコアの初リリースで全17曲/約41分を収録。500枚限定プレス。

「César et Rosalie」は、ギイ・ボワイエの演奏によるムーグ・シンセサイザーのスリリングなタッチのリズムにメランコリックな主題が重なるセザールの主題。この主題は「Le cortège et la course」「César court chez Antoine」「César」等でも繰り返される。「David」は、ジェントルなタッチの曲。「Folie de César」は、アブストラクトなタッチのピアノを織り込んだリズミックでスリリングな曲。「Free Jazz (L'atelier de David)」は、ダヴィッドのアトリエでのアブストラクトなフリー・ジャズ。「Après Sète」は、ピアノをフィーチャーした大らかで美しい主題から後半ジェントルなロザリーの主題へ。「David et Rosalie」は、ピアノによるメランコリックな曲。「Rosalie」は、ジェントルなロザリーの主題。「César, David et Rosalie」は、オルガンをフィーチャーしたジェントルで荘厳なタッチの曲で、エンニオ・モリコーネの作風を想わせる。この主題は「Les sentiments」でも繰り返される。「Rosalie est partie」は、静かにドラマティックな曲。「Repas de noces」は、トランペットとピアノをフィーチャーしたライトなジャズ。「La lettre de Rosalie / Je ne le reverrai plus / À la recherche de Rosalie / Les doutes de César / La rupture / Rosalie et César / Épernay sous la pluie」は、ロザリーの主題にロミー・シュナイダーのセリフがかぶさり、リズミックなセザールの主題、ドラマティックでサスペンスフルなタッチへと展開。「César et Rosalie (Générique)」は、セザールの主題によるメインタイトル。「Thème (Piano solo)」は、ジェントルなピアノによるロザリーの主題。
オーケストレーションはユベール・ロスタン、ドラムスはピエール・アラン・ダアン、ベースはフランシス・ダリズクラン、トランペットはピエール・デュトゥール、フルートはレオン・ガム、クラリネットはピエール・ゴセッツ、ダブルベースはギイ・ペデルセン、ピアノはジョルジュ・ラボルの演奏。
(2021年8月)

Philippe Sarde

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