太陽のエトランゼ CABOBLANCO

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra

(米La-La Land Records / LLLCD 1565)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入 


1980年製作のアメリカ=メキシコ合作映画(日本公開は1981年1月)。監督は「ナバロンの要塞」(1961)「恐怖の岬」(1962)「隊長ブーリバ」(1962)「マッケンナの黄金」(1969)等のJ・リー・トンプソン(1914〜2002)。出演はチャールズ・ブロンソン、ジェイソン・ロバーズ、ドミニク・サンダ、フェルナンド・レイ、サイモン・マッコーキンデイル、カミラ・スパーヴ、ギルバート・ローランド、デニー・ミラー、ジェームズ・ブース、ホルヘ・ルセック、クリフトン・ジェームズ、アーネスト・エスパルザ三世、ホセ・チャベス、カルロス・ロマノ、マーティン・ラセール他。ジェームズ・グランビー・ハンター、ミルトン・ジェルマン、ヴィクター・アンドレス・カテナとジェイミー・ゴマス・ギルの原案を基にミルトン・ジェルマンとモート・ファインが脚本を執筆。撮影はアレックス・フィリップス・Jr。

第二次大戦直後のペルーの港町カボ・ブランコ。イギリス政府の密命で情報部員ルイス・クラークソン(マッコーキンデイル)たちが海底調査を行なっていた時、突然爆発が起き乗組員の1人が死ぬ。一方、アメリカ人のギフ・ホイト(ブロンソン)が経営するホテルを訪れたフランス女性マリー(サンダ)は、恋人のジャックを捜しにここへ来たと打ち明けるが、彼は過去に沖合で沈没した輸送船ブリタニー号の唯一の生き残りで、既に死んでいた。ブリタニー号はギュンター・ベックドルフ(ロバーズ)という元ナチ将校によって意図的に沈めらており、そこには教会や僧院の財宝が積まれてたが、沈んだ位置を唯一知っていたのがジャックだった。マリーが何かを知っていると考えたベックドルフは、警察署長テレド(レイ)に指示して彼女のパスポートを取り上げさせるが……。原題名の「Cabo Blanco」はスペイン語で「白い岬」の意味。欧州公開版には出演しているクリフトン・ジェームズの登場シーンは、アメリカ公開版では完全にカットされている。元の脚本では巨大イカが襲撃してくるとのサブプロットがあったが、最終版では削除された。製作費は約1000万ドル。

音楽はJ・リー・トンプソン監督と「0の決死圏」(1969)「リーインカーネーション」(1975)「ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝」(1985)でも組んでいるジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。このスコアは、1993年にベルギーのPrometheusレーベルが全12曲/約39分収録のサントラCD(PCD 127)を出しており、同じレーベルが2005年に異なるジャケットデザインのCDを再発しているが、このLa-La Landレーベルが2021年6月にリリースしたCDは全26曲/約76分を収録したエクスパンデッド盤で、2000枚限定プレス。

「Prelude (The Very Thought of You)」は、イギリスのジャズ・ミュージシャンで作曲家のレイ・ノーブルが作曲した『The Very Thought of You』の引用で、ジェントルなピアノによる前奏曲。「Main Title」は、オーケストラにカスタネットのアクセントを加えた快活で大らかなファンダンゴ調のメインタイトル。「Bathysphere Attacked」は、ダークなタッチのサスペンス音楽。「To Beckdorff's」は、躍動的な舞踏音楽風の曲。「Heaven Knows」は、ジェリーの妻キャロル・ゴールドスミスのヴォーカルによるノスタルジックなタッチの曲(作曲はジェリーとキャロル・ゴールドスミス)。「The Second Attack」は、メインの主題から後半ダイナミックなアクション音楽へ。「Love Scene (The Very Thought of You)」は、レイ・ノーブルの主題によるジェントルなラヴ・テーマ。「Boat Attack」「Jungle Pursuit」「The Police」は、ダイナミックで重厚なアクション音楽。「I Have a Job for You / Horst's Orders」「Horst Arrives / Room Search」は、躍動的なサスペンス音楽。「To the Hospital」は、抑制されたサスペンス調から後半リリカルなピアノによる主題へ。「To Giff's」は、カスタネットを加えたミリタリスティックなマーチ調の曲。「The Silhouette」は、抑制されたサスペンス音楽。「Beckdorff's Suicide」は、ドラマティックなタッチの曲。「End Titles (The Very Thought of You)」は、レイ・ノーブルの主題によるジェントルで大らかなエンドタイトル。

これ以降は劇中のソース曲等9曲を追加音楽として収録。ジョージ・バスマンとネッド・ワシントン作曲の「I'm Getting Sentimental Over You」、ヴィクター・シャーツィンガーとジョニー・マーサー作曲の「Tangerine」、グレン・ミラーとミッチェル・パリッシュ作曲の「Moonlight Serenade」、アーヴィング・バーリン作曲の「I've Got My Love to Keep Me Warm」等に加え、ゴールドスミス指揮ナショナル・フィルの演奏によるブラームスの交響曲第4番第4楽章の引用「Symphony No. 4 (Fourth Movement, Excerpt)」とベートーヴェンの交響曲第7番第1楽章「Symphony No. 7 (First Movement)」を含む。

ジェリー・ゴールドスミスが手がけた「(未公開)野獣の救出部隊ゴリラ・コマンダー(High Velocity)」(1976)「海流のなかの島々(Islands in the Stream)」(1977)「アンダー・ファイア(Under Fire)」(1983)等と並ぶラテン・フレーヴァーのスコア。
(2021年10月)

Jerry Goldsmith

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2021  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.