(未公開)ZADARSKI MEMENTO

作曲・指揮:アルフィ・カビリョ
Composed and Conducted by ALFI KABILIJO

(マルタKronos Records / KRONGOLD041)

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1984年製作のユーゴスラヴィア(当時)映画。監督はクロアチア出身のヨアキム・マルージック(1937〜1985)。出演は「アンダーグラウンド」(1995)等のラザル・リストフスキー「(TV)バビロン5」(1994〜1998)「(TV)LOST」(2004〜2010)等のマイラ・ファーラン、ズドラヴカ・クルストゥロヴィッチ、ムスターファ・ナダレヴィッチ、ミラン・シュトルジッチ、アルマ・プリカ、アニャ・ソヴァゴヴィッチ=デスポット、エスター・ファントン、ヴラスタ・ネゾヴィッチ、ネリオ・スカリア、エッタ・ボルトラジ、ミランダ・カハリヤ、ダスコ・ヴァレンティッチ、ジヤド・グラシッチ、ジョスコ・セヴォ他。脚本はマルティン・イツコヴィッチ。撮影はドラゴ・ノヴァク。

第一次大戦後、クロアチア(当時のユーゴスラヴィア)のザダル(ダルマチア地方の町)に住む貧しい農家の少年クルセヴァン(リストフスキー)は、正当防衛で人を殺してしまい、捕まるのを怖れてザグレブへと逃げる。やがて彼は尼僧だった女性と結婚するが、イタリア人の医師の不手際で彼女は出産の際に死んでしまう……。貧しさと無知から悲惨な人生を送った主人公の目を通して、ザダル出身の脚本家イツコヴィッチがこの町の数奇な運命を描いたドラマ(ザダルは、第一次大戦でオーストリア・ハンガリー帝国が敗れて新たに建国されたユーゴスラヴィア王国の一部となるが、1920年のラパッロ条約によりイタリア王国に譲渡され、第二次大戦後の1947年にイタリアと連合国の平和条約でユーゴスラヴィア領となり、1991年のクロアチア独立後はクロアチア領となった)。

音楽は「ガンバス(Sky Bandits)」(1986)等のクロアチア出身の作曲家アルフィ・カビリョ(1935〜)。「Main Title」は、ピアノとストリングスによるジェントルでリリカルなタッチのメインタイトル。このメインの主題が「Karmela and Krševan」「Death of Matija's father」「On The Market」「Graveyard」「The Mirror」「Eta takes the child」「Matija with child」「Matija's death」「Theme on Piano」「Zadar 09 30 05」等で繰り返し登場する。「The Murder」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Running across the border」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Rosalija」「Rosalija's theme」は、フルート・ソロをフィーチャーしたジェントルでリリカルな曲。「Miranda goes to Trieste」「Mario's funeral」「Rozalija with son」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Krševan」は、ダークなタッチの曲。「At The Pharmacist」「The Priest」「Looking In The Mirror」「The boat goes to Italy」は、サスペンスフルなタッチ。「The Stoning」は、ストリングスによる不協和音を加えた不吉な曲。「Zadar Ballad」は、ジャニ・マルサンのヴォーカルによるドラマティックな主題歌。ラストの「Zadar Ballad (instrumental)」は、主題歌のインストゥルメンタル版。フルートはヴェスナ・コシアー、ギターはスヴェミアー・オパラの演奏。クロアチアの町が舞台のドラマだが、あまり民族色は感じさせない繊細でドラマティックなスコア。
(2021年10月)

Alfi Kabiljo

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