(未公開)遅れてきた死神 ESPION LÈVE-TOI

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

(仏Music Box Records / MBR-084)

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1982年製作のフランス=スイス合作映画(日本では劇場未公開でビデオ発売・テレビ放映済/テレビ放映時の邦題は「殺しの季節」)。監督は「汚れた刑事」(1970)「(未公開)男と女のアヴァンチュール/紫のタクシー」(1977)「(未公開)ミュウ・ミュウの女刑事」(1979)「(未公開)バトルランナー2030」(1983)「(未公開)狼獣たちの熱い日」(1983)「(未公開)ハイジャック・アロー」(1999)等のイヴ・ボワッセ(1939〜)。出演はリノ・ヴァンチュラ、ミシェル・ピッコリ、ブリューノ・クレメール、ベルナール・フレッソン、マルク・マッザ、ロジェ・ジャンドリー、ハインツ・ベネント、クリスティナ・ヤンダ、ベアト・コップ、クリスチャン・バルタウス、クルト・ビガー、ジャン=ポール・フランキー、イヴ・ボワッセ、ダニエル・プランシェレル、フィリップ・ブリザール他。「大列車強盗団」(1967)「(TV)プリズナーNO.6」(1967〜1968)「オデッサ・ファイル」(1974)等の脚本や「(未公開)ファイナル・オプション」(1982)等の原案を手がけているジョージ・マークスタイン(1929〜1987)の原作『Chance Awakening』を基に、「殺人鬼に罠をかけろ」(1958)「地下室のメロディー」(1963)「追悼のメロディ」(1976)「チェイサー」(1978)等のミシェル・オーディアール(1920〜1985)、イヴ・ボワッセとクロード・ヴェイヨーが脚本を執筆。撮影はジャン・ボフェティ。銀行家を装ってドイツ人の教授である妻アンナ(ヤンダ)とスイスのチューリッヒで静かに暮していた元フランス諜報員セバスチャン・グルニエ(ヴァンチュラ)は、ある日スパイとして再活動せよとの暗号指令を受ける。スイスの高官ジャン=ポール・シャンス(ピッコリ)からある陰謀の計画を聞かされたグルニエは、ミュンヘンで同僚の諜報員アンリ・マルシャン(フレッソン)、マイヤー(ベネント)と会うが、彼らは直後に殺される。アンナは誘拐されてしまい、パリからやって来た諜報員リシャール(クレメール)は、シャンスがKGBに通じているとグルニエに警告する……。

音楽は「(未公開)影の暗殺者/フランスの陰謀(L'attentat)」(1972)でもイヴ・ボワッセ監督と組んでいるエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは公開当時の1982年に仏General Musicレーベルが全10曲/約29分収録のサントラLP(General Music 803 028)を出しており、その後、1996年に仏EMIレーベルがLPと同内容のCD(EMI Records 838318-2)を、2000年にイタリアのScreen Traxレーベルが全16曲/約37分収録のCD(Screen Trax CD ST 326)を、2016年に仏Music Boxレーベルが全20曲/約43分半収録のCD(MBR-084)をリリースしている。今回、2021年7月に同じMusic Boxレーベルが再発したCDは、2016年盤と同内容だが、リマスターにより音質が改善されている。500枚限定プレス。

「Marche en la」は、サスペンスフルなイントロからダークでパワフルなマーチ調のメインの主題へと展開するメインタイトル。モリコーネらしい独創的なタッチが秀逸。「Espion, lève-toi (interlude)」は、メランコリックでドラマティックなタッチの間奏曲。「Bugle pour Anna (la rencontre)」は、ダークでミステリアスなタッチのアンナの主題。「Téléphone sans réponse」は、躍動的でサスペンスフルな曲。「Mélodie pour Anna (version album)」は、アンナの主題のバリエーション。「Espion, lève-toi (final)」は、間奏曲の主題によるフィナーレ。「Secret nocturne」は、メインの主題のバリエーション。「Enlèvement et homicide」は、ダークでパワフルなメインのマーチのリプライズ。これ以降はボーナス・トラックとしてメインの主題、間奏曲の主題、アンナの主題のバリエーション等11曲と、ウステッド・デル・フエゴのヴォーカルによるアップビートな挿入歌「Canción del Fuego」(作曲はジャン=ピエール・マッシエラとバーナード・トレリ)を収録。フリューゲルホルンの演奏はオスカー・ヴァルダンブリーニ
(2021年11月)

Ennio Morricone

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