プロフェッショナル LE PROFESSIONNEL
パリ警視J LE MARGINAL

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

(仏Music Box Records / MBR-198)

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1980年代にフランスの名優ジャン=ポール・ベルモンド(1933〜2021)が主演し、フランスで大ヒットしたアクション映画2作品にエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)が作曲したスコアのカップリング。CD2枚組となっており、1枚目に「プロフェッショナル」、2枚目に「パリ警視J」のコンプリート・スコアを収録。500枚限定プレス。

「プロフェッショナル(LE PROFESSIONNEL)」は、1981年製作のフランス映画(日本初公開は2020年11月/英語題名は「THE PROFESSIONAL」)。監督は「チェイサー」(1978)「警部」(1978)「(未公開)ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ」(1980)「ウエディングベル/Mr.レディMr.マダム3」(1986)「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき」(1989)等のジョルジュ・ロートネル(1926〜2013)。共演はジャン・ドザイー、シリエル・クレール、マリー=クリスティーヌ・デクーアール、エリザベート・マルゴニ、ジャン=ルイ・リシャール、ミシェル・ボーヌ、ベルナール・ドナデュー、ピエール・サントン、ジェラール・ダリュー、シディキ・バカバ、バーロン、ダニー・コーガン、マルク・ラモール、ロベール・オッセン他。パトリック・アレクサンダーの原作『大統領暗殺指令』を基に「リード・マイ・リップス」(2001)「真夜中のピアニスト」(2005)「君と歩く世界」(2012)「ゴールデン・リバー」(2018)等の監督・脚本を手がけているジャック・オーディアール(1952〜)、「殺人鬼に罠をかけろ」(1958)「地下室のメロディー」(1963)「追悼のメロディ」(1976)「チェイサー」(1978)等のミシェル・オーディアール(1920〜1985/ジャックの父)とジョルジュ・ロートネルが脚本を執筆。撮影は「太陽がいっぱい」(1960)「サムライ」(1967)「シシリアン」(1969)「仁義」(1970)等のアンリ・ドカエ。フランス諜報部員ジョスラン・ボーモン(ベルモンド)は、アフリカ某国の独裁者であるヌジャラ大統領(サントン)暗殺の指令を受けて派遣されるが、土壇場で政情が変わり、フランス諜報部は彼をアフリカ当局に引き渡してしまう。国家に裏切られたボーモンは、過酷な強制労働や拷問を受けながらもついに脱出に成功し、復讐心を胸にフランスへ舞い戻って来る……。製作当時は日本で劇場未公開だったが、2020年に「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」の1本としてHDリマスター版で日本初公開された。

エンニオ・モリコーネのスコアは、1981年にフランスのGeneral Musicレーベルから全13曲/約32分収録のサントラLP(General Music 803 026)が出ており、1995年にEMIレーベルより同じ内容のCD(EMI Records 835626-2)、2014年にMusic Boxレーベルより全25曲/約50分収録の拡張版CD(Music Box Records MBR-048)が出ているが、今回同じMusic Boxレーベルが2021年10月にリリースしたCDには全26曲/約56分半を収録。

「Le vent, le cri (premier thème)」は、メランコリックなピアノをフィーチャーしたドラマティックなメインの主題で、この主題が「Le vent, le cri (première variation)」「Le vent, le cri (deuxième variation)」「Le vent, le cri (troisième variation)」「Le vent, le cri (quatrième variation)」と様々なバリエーションで繰り返される。「Bach (première variation)」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Décision finale」「Bach (deuxième variation)」「Fée Morgane (2 interludes pour harpes)」は、抑制されたサスペンス音楽。「D'Afrique (première version)」は、パーカッシヴなサスペンス音楽。「Le retour (sur le nom de Bach)」「Bach (troisième variation)」は、メランコリックなタッチのピアノをフィーチャーしたダークでドラマティックな曲。

最後の「Chi Mai」は、もともと1971年にイェジー・カヴァレロヴィチが監督しリザ・ガストーニが主演した「(未公開)MADDALENA」という映画にモリコーネが作曲した曲で、1978年に再録音されたバージョンをラジオで聴いて感銘を受けたベルモンドの希望により、この映画でも流用されたもの。切なく美しいタッチの主題で、モリコーネの作品中でもコンピレーションやカバーアルバムによく収録されている有名な曲。ベルモンドが2021年9月6日に亡くなった際、フランス政府主催の追悼式がアンヴァリッド廃兵院で営まれ、そこでもこの曲が演奏された。この後、ボーナストラックとして「Le vent, le cri」「D'Afrique」「Bach」のバリエーション13曲を収録。


「パリ警視J(LE MARGINAL)」は、1983年製作のフランス映画(日本公開は1985年5月/英語題名は「THE OUTSIDER」)。監督は「ボルサリーノ」(1970)「(未公開)パリから来た殺し屋」(1973)「フリック・ストーリー」(1975)「友よ静かに死ね」(1976)等のジャック・ドレー(1929〜2003)。共演はヘンリー・シルヴァ、カルロス・ソト・メイヤー、ピエール・ヴェルニエ、モーリス・バリエ、クロード・ブロッセ、チェッキー・カリョ、ジャック・モリー、ロジェ・デュマ、ガブリエル・カタン、ミシェル・ロバン、ジャック・ダヴィッド、ジャン=ルイ・リシャール、ディディエ・ソーヴグラン、ステファーヌ・フェラーラ他。脚本は「さらば友よ」(1968)「ジェフ」(1969)等の監督・脚本を手がけているジャン・エルマン(1933〜2015)、ジャック・ドレーとミシェル・オーディアール。撮影はグザヴェ・シュワルツェンベルガー。“マルジナル(ならず者)”の異名を持つパリ警視庁のフィリップ・ジョルダン警視(ベルモンド)は、フランス最大の犯罪組織の首領ソヴール・メカッチ(シルヴァ)を追っていた。マルセイユ沖での麻薬取引の情報をつかんだジョルダンは、ヘリコプターから犯罪組織の高速艇に飛び降り、麻薬200キロを押収した。メカッチはジョルダンを罠にはめ、部下殺害の無実の罪を着せて彼をモンマルトル署に左遷させる。一方ジョルダンは、メカッチの犯罪を証明できるフレディ(ロバン)の行方を探り当て、彼から情報を得ようとするが、メカッチの放った殺し屋によってフレディは殺されてしまう……。

エンニオ・モリコーネのスコアは、1983年にフランスのGeneral Musicレーベルから全10曲/約42分収録のサントラLP(General Music 803 056)が出ており、1995年にEMIレーベルより同じ内容のCD(EMI Records 835627-2)、2014年にMusic Boxレーベルより全25曲/約73分半収録の拡張版CD(Music Box Records MBR-049)が出ているが、今回のMusic BoxのCDには全25曲/約75分を収録。

「Le marginal」は、リズミックでスリリングなイントロから、オスカー・ヴァルダンブリーニ演奏のフリューゲルホルンによるメランコリックなタッチのメインの主題へ展開。この主題は「Le marginal (Pour Carole)」「Le marginal (La droguée et le garço)」「Le marginal (Conclusion)」でも繰り返される。「Thème classique」は、ピアノによるメランコリックでドラマティックな主題で、ハードボイルドなタッチが秀逸な名曲。「Dreamer」「Don't Think Twice」は、ブリザード(Blizzard)の演奏によるロックの挿入歌。「H.S.M.」は、フリューゲルホルンをフィーチャーしたリズミックなサスペンス音楽。「Hypertension (Première partie)」「Hypertension (Deuxième partie)」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。この後、ボーナストラックとしてメインの主題のバリエーション等15曲を収録。

1980年代にモリコーネがフランスのGeneral MusicレーベルからサントラLPを多数リリースしていた頃の代表的なスコアで、ベルモンドのベテラン俳優としての円熟した魅力とマッチした、華麗でハードボイルドなタッチが見事。
(2022年1月)

Ennio Morricone

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