ズール戦争 ZULU
作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY
(スペインQuartet Records / QR476)
1964年製作のイギリス映画。製作・監督は「(未公開)群狼の街」(1951)「ターザンの憤激」(1952)「地獄特急」(1957)「(未公開)SF巨大生物の島」(1961)「カラハリ砂漠」(1965)等のサイ・エンドフィールド(1914〜1995)。出演はスタンリー・ベイカー、ジャック・ホーキンス、ウーラ・ヤコブソン、ジェームズ・ブース、マイケル・ケイン、ナイジェル・グリーン、イヴォー・エマニュエル、ポール・デインマン、グリン・エドワーズ、ニール・マッカーシー、デヴィッド・カーナン、ゲイリー・ボンド、ピーター・ギル、パトリック・マギー、リチャード・バートン(ナレーション)他。脚本はジョン・プレッブルの記事『Slaughter
in the Sun』を基にサイ・エンドフィールドとジョン・プレッブルが脚本を執筆。撮影はステファン・デイド。1879年の南アフリカ。イギリス支配下のナタールで、オットー・ウィット神父(ホーキンス)は娘マーガレータ(ヤコブソン)とズール族の集団結婚に立ち会い、酋長と平和的な友好関係を話し合った。しかし、ズール戦士がイサンドルワナのイギリス駐屯部隊1500人を虐殺したことが伝えられ、結婚式の会場は大混乱に陥った。神父はロルクズ・ドリフトの伝導所に駐屯する指揮官ジョン・チャード中尉(ベイカー)に撤退を申し入れたが、拒否された。チャードは神父と娘を立ち去らせ、ゴンヴィル・ブロムヘッド中尉(ケイン)と砦の死守を決意した。139人のイギリス軍は、戦闘に長じた4000人のズール族と対峙するが……。ロルクズ・ドリフトの戦いの実話に基づくドラマ。製作費は約172万ドル。
音楽はジョン・バリー(1933〜2011)。このスコアは、公開当時の1964年に米United
Artistsレーベル(UAL-4116)とイギリスのEmberレーベル(Ember NR
5012)から全13曲/約32分半収録のサントラLPが出ており、その後オーストラリアのPowderworks-Bulldogレーベルから同内容のLP(POW
4012)が出ているが、このQuartetレーベルのCD(2021年12月リリース)は、前半にステレオ13曲、後半に(微妙に異なる内容の)モノラル13曲と代替テイク等ボーナストラック5曲を収録した全31曲/約73分のレストア/リマスター盤CD。
「Main Title Theme - Isandhlwana 1879」は、ダイナミックなティンパニによるイントロからヒロイックでスケール大きいメインの主題(旋律はズールー族の民族曲がベースになっている)へと展開するメインタイトルで、最後にリチャード・バートンによるナレーションが入る。「News
of the Massacre / Rorke's Drift Theatened」も、ティンパニによるイントロからメインの主題へと展開。「Wagons
Over」「First Zulu Appearance and Assault」「Durnfold's Horse Arrive and Depart /
The Third Assault」は、メインの主題のバリエーション。「Zulu's Final Appearance and
Salute」も、メインの主題を織り込んだダイナミックでドラマティックな曲。「The V.C. Roll and Men of
Harlech」は、バートンのナレーションから男声コーラスによる勇壮な主題へと展開する曲。
映画のアンダースコアはここまでだが、当時ジャズ=ロック・グループ「ジョン・バリー・セヴン」を辞めてアンバー・レコーズのレコーディング・マネージャーに就任していたバリーは、このスコアをサントラ・アルバムとして成立させ、商業的なヒットを狙うために6曲のロック曲を追加で作曲して収録した。「Stamp
and Shake (Tetha Leyanto)」「Zulu Maid (Ngenzeni)」は、アフリカの言語による女声コーラスをフィーチャーしたアップビートなロック曲。「High
Grass」「Zulu Stamp」「Big Shield」も、ロック曲。「Monkey Feathers」は、メインの主題のロック・バージョン。ボーナストラックには、バートンのナレーションを除いたメインタイトル「Main
Title Theme - Isandhlwana 1879 (without narration)」や「Men of
Harlech (without narration) / End Title」等を収録。
ジョン・バリーが「007」シリーズの第2作「007/ロシアより愛をこめて」(1963)を手がけたすぐ後のスコアで、彼の作品中でも豪快でスケールの大きいオーケストラル・スコア。
(2022年2月)
John Barry
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