フェラーラ物語/「金縁の眼鏡」より GLI OCCHIALI D'ORO

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

(独Caldera Records / C6046)

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1987年製作のイタリア=フランス=ユーゴスラヴィア合作映画(日本公開は1990年2月/英語題名は「THE GOLD-RIMMED GLASSES」)。監督は「(未公開)銃殺!ナチスの長い五日間」(1969)「明日よさらば」(1969)「盗みのプロ部隊」(1969)「死刑台のメロディ」(1971)「(TV)マルコ・ポーロ/シルクロードの冒険」(1982)「(未公開)戦慄の黙示録」(1987)「(未公開)エネミー・ウォー」(1989)等のジュリアーノ・モンタルド(1930〜)。出演はフィリップ・ノワレ、ルパート・エヴェレット、ヴァレリア・ゴリノ、ステファニア・サンドレッリ、ニコラ・ファロン、ロベルト・ヘルリツカ、リッカルド・ディアナ、アンナ・レッツィ、ジョヴァンニ・ルービン・デ・チェルヴィン、ラヴィニア・セグリーニ、ルカ・ジンガレッティ、イヴァナ・デスポトヴィッチ、ラデ・マルコヴィッチ他。ジョルジョ・バッサーニの原作を基にジュリアーノ・モンタルド、ニコラ・バダルッコとアントネッラ・グラッシが脚本を執筆。撮影はアルマンド・ナンヌッツィ。

1938年、北イタリアのフェラーラを流れるポー川から1人の男の溺死体が引きあげられる。川岸には金縁の眼鏡が落ちていた。それは街の人々から尊敬を集めていた医者アトス・ファディガーティ(ノワレ)のものだった。一方、ムッソリーニによるユダヤ人迫害の波が押し寄せる中、ユダヤ人の大学生ダヴィッド(エヴェレット)は同じユダヤ人のノーラ(ゴリノ)との愛を育んでいた。ある日、ファディガーティは列車の中でダヴィッドたち大学生グループと親しくなり、その中のエラルド(ファロン)というアマチュア・ボクサーに魅了される。2人は夏のバカンスを一緒に過ごすが、ファディガーティに惹かれていたラヴェツォーリ夫人(サンドレッリ)が、嫉妬から2人のホモセクシャルな関係を町中に広めてしまう。エラルドは、女たちと遊び回った挙句、ファディガーティの金品を奪って彼のもとを去った。一方ダヴィッドの愛も、身の安全を求めてカソリックに改宗したノーラがファシストの将校と結婚したことで、終わりを告げる……。1987年度ヴェネチア国際映画祭の美術賞と衣装賞を受賞している。

音楽は、「明日よさらば」(1969)「盗みのプロ部隊」(1969)「死刑台のメロディ」(1971)等、ジュリアーノ・モンタルド監督の大半の作品を手がけているエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは、1996年にイタリアのScreen Traxレーベルが全11曲/約33分半収録のサントラCD(Screen Trax CDST 302)を出しており、ドイツのCalderaレーベルが2021年12月にリリースしたこのCDは、同じ内容(コンプリートスコアではない)だが、全編がリマスターされている。

「Gli Occhiali D'Oro」は、ピアノとストリングスによるしっとりと情感豊かな“モリコーネ節”のメインの主題で、実に深遠で美しい。ファディガーティの人間性や孤独を描写したこの主題は、同じタイトルだが少し長い「Gli Occhiali D'Oro」(6曲目)や「Ultimo Dialogo」でも繰り返される。「Nora e Davide」「Nodi di Nudi」は、ピアノとストリングスによるロマンティックなダヴィッドとノーラのラヴテーマで、この美しい曲にもモリコーネの個性が強く表れている。「Persecuzione Storica」「Ricordo del Ghetto」は、静かにドラマティックな曲。「Tensione Sentimentale」は、サックスによるメインの主題を織り込んだダークなサスペンス調の曲。「A Cena Con I Ragazzi」は、明るくジェントルな主題から後半サックスを加えたサスペンス調へ展開する曲で、このジェントルな主題は「In Treno」にも登場する。「1938 La Festa」は、ノスタルジックなダンスミュージック。ピアノ・ソロはエンリコ・ペリアヌンツィ。
(2022年3月)

Ennio Morricone

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