アンネの日記 THE DIARY OF ANNE FRANK
作曲・指揮:アルフレッド・ニューマン
Composed and Conducted by ALFRED NEWMAN
演奏:20世紀フォックス・スタジオ管弦楽団
Performed by the 20th Century Fox Studio Orchestra
(米La-La Land Records /
LLLCD1562)
1959年製作のアメリカ映画。製作・監督は「陽のあたる場所」(1951)「シェーン」(1953)「ジャイアンツ」(1956)「偉大な生涯の物語」(1965)等のジョージ・スティーヴンス(1904〜1975)。出演はミリー・パーキンス、ジョセフ・シルドクラウト、シェリー・ウィンタース、リチャード・ベイマー、グスティ・フバー、ルー・ジャコビ、ダイアン・ベイカー、ダグラス・スペンサー、ドディ・ヒース、エド・ウィン、アーサー・バークリー、ロバート・ブーン、ジョン・コリドン、デル・エリクソン、グレッチェン・ゴーツ他。アンネ・フランク(1929〜1945)が綴った日記を父のオットーが出版し、3000万部を超える世界的ベストセラーになった『アンネの日記(Anne
Frank: The Diary of a Young Girl)』を基に、フランセス・グッドリッチとアルバート・ハケットが脚本を執筆。撮影はウィリアム・C・メラー。
1945年、ナチス占領下から解放されたオランダのアムステルダム。強制収容所を出たオットー・フランク(シルドクラウト)は、想い出の屋根裏部屋に戻り、そこで娘アンネ(パーキンス)の書いた日記を見つけた。日記は1942年7月9日から始まっていた。反ユダヤ主義を掲げるナチスの政権掌握後、迫害から逃れるためアンネと両親、姉のマルゴット(ベイカー)のフランク一家は、ファン・ダーン夫妻と息子ペーター(ベイマー)と共にドイツからオランダへ亡命した。オランダがドイツ軍に占領されると、そこでもユダヤ人狩りが行われ、アンネたちは隠れ家での生活を余儀なくされた。フランク一家を含む8人の屋根裏部屋での生活は2年間に及び、その間アンネは隠れ家でのことを日記に書き続けた。1944年8月4日、ナチス親衛隊が隠れ家を発見し、住人たちは強制収容所へと移送された……。製作費は約380万ドル。13歳のアンネを演じたパーキンス(本作がデビュー)は当時23歳、マルゴット(16歳)を演じたベイカーと、ペーター(16歳)を演じたベイマーはともに21歳だった。1959年度アカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞、劇・喜劇映画音楽賞、衣装デザイン賞(白黒)にノミネートされ、同賞の助演女優賞(シェリー・ウィンタース)、撮影賞(白黒)、美術監督・装置賞(白黒)を受賞している他、同年のゴールデン・グローブの国際賞を受賞している。ファン・ダーン夫人を演じたシェリー・ウィンタースは、オットー・フランクに約束した通り、受賞したオスカー像をアムステルダムのアンネ・フランク美術館に寄贈した。
音楽は、20世紀フォックスの音楽総括部長を20年間にわたって務め、「怒りの葡萄」(1940)「わが谷は緑なりき」(1941)「聖処女」(1943)「王国の鍵」(1944)「征服への道」(1947)「聖衣」(1953)「慕情」(1955)「追想」(1956)「西部開拓史」(1962)「偉大な生涯の物語)」(1965)「大空港」(1970)等多数の映画音楽を手がけたハリウッド黄金期の巨匠アルフレッド・ニューマン(1901〜1970)。このスコアは公開当時の1959年に米20th
Foxレーベルから全9曲/約38分収録のサントラLP(20th FOX SFX
3012)が出ており、その後1995年にドイツのTsunamiレーベルから全13曲/約48分半収録のCD(Tsunami TSU
0122)が出ていたが、La-La
Landレーベルが2021年11月にリリースしたこのCD(全44曲/約142分半収録)は2枚組となっており、1枚目にオリジナルLPの9曲(リマスター済)と、初収録のオリジナルスコア(前半14曲)、2枚目にオリジナルスコア(後半14曲)と追加音楽のボーナストラック7曲を収録。2000枚限定プレス。
CD1枚目の10曲目(オリジナルスコアの冒頭)「Overture (Film Version)」は、大らかなイントロからジェントルでリリカルなアンネの主題へと展開する序曲。「Prelude」は、ドラマティックで真摯な主題が美しい前奏曲。「Return
to Amsterdam」「The Diary」「Anne and Mr. Frank」は、アンネの主題のバリエーション。「Families
in Hiding (The Secret Annex) (Film Version)」は、ジェントルでドラマティックな主題からアンネの主題へ。「The
First Day (Film Version)」「The First Burglary」「The Second Burglary」は、ダークで陰鬱なタッチの曲。「The
First Kiss (Film Version)」は、アンネの主題からドラマティックな主題へと展開。「The Fur
Coat」は、ジェントルなワルツの主題からアンネの主題へ。「The Nightmare」「The Green Police」は、ダークでドラマティックな曲。「Act
One Curtain」は、ドラマティックな主題からアンネの主題へと展開する前半の終曲。
CD2枚目の冒頭「Entr'acte」は、ジェントルでリリカルなアンネの主題による間奏曲。「January
1, 1944」は、ドラマティックな主題。「A Question of Time」は、ダークなタッチからドラマティックな主題、アンネの主題へ。「Date
with Peter (Film Version)」「The Kiss」は、ジェントルなワルツ。「Did You Ever
Kiss a Girl?」「Peter and Anne」「Farewell」「Epilogue (Film Version)」は、メインの主題のバリエーション。「The
Captives - Spring Is Coming (Film Version)」は、ダークでドラマティックなタッチから、後半ジェントルでリリカルな主題が盛り上がる。「The
Invasion」は、勇壮なマーチ。「The Dearness of You, Peter (Film Version)」は、ダークで重厚なタッチからジェントルな主題へ展開し、後半ドラマティックに盛り上がる。「Now
We Can Live in Hope」は、ドラマティックな主題からアンネの主題へ。ラストの「Exit March」は、ドラマティックな主題から、アンネの主題、ジェントルなワルツの主題へと展開し、力強く締めくくる。この後に代替テイク等の追加音楽7曲を収録。暗い絶望の中にも希望と祈りを感じさせるアンネの主題や、前奏曲での真摯でドラマティックな主題が美しい傑作スコア。
(2022年4月)
Alfred Newman
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2022 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.