アイアン・ジャイアント THE IRON GIANT

作曲・指揮:マイケル・ケイメン
Composed and Conducted by MICHAEL KAMEN

演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Czech Philharmonic Orchestra

(米Varese Sarabande / VCL 0322 1222)

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1999年製作のアメリカのアニメーション映画(日本公開は2000年4月)。監督は「Mr.インクレディブル」(2004)「レミーのおいしいレストラン」(2007)「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011)「トゥモローランド」(2015)「インクレディブル・ファミリー」(2018)等のブラッド・バード(1957〜)。声の出演はジェニファー・アニストン(アニー・ヒューズ役/日本語吹替:日高のり子)、ハリー・コニック・Jr(ディーン・マッコーピン役/井上和彦)、ヴィン・ディーゼル(アイアン・ジャイアント役/郷里大輔)、イーライ・マリエンタール(ホーガース・ヒューズ役/進藤一宏)、クリストファー・マクドナルド(ケント・マンズリー役/大塚芳忠)、ジョン・マホーニー(ローガード司令官役/池田勝)、ジェームズ・ギャモン(マーブ・ローチ/フロイド・タービュー役)、M・エメット・ウォルシュ(アール・スタッツ役)、クロリス・リーチマン(テンセッジ夫人役)他。テッド・ヒューズの原作『The Iron Man』とブラッド・バードの原案を基にティム・マッキャンリーズが脚本を執筆。ロボットのデザインは「ロケッティア」(1991)「遠い空の向こうに」(1999)「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)等の監督を手がけているジョー・ジョンストン(1950〜)。撮影はスティーヴン・ウィルツバック。

1957年10月、ソ連の人工衛星スプートニクに全米が揺れた頃、嵐の夜に宇宙から巨大ロボットが落下してきた。メイン州で未亡人の母アニーとふたり暮らしの9歳の少年ホーガースは、森の中でこの巨大ロボットと出会うが、ロボットは落下の際に受けた衝撃で記憶を失っていた。ホーガースはロボットが知りたがるままに言葉や世間の慣習を教え、すっかりいい友達になった。近所に住む廃品アートをたしなむ芸術家ディーンを仲間に引き入れ、彼の廃車置き場を隠れ場にして楽しいひとときが過ぎる。ところが、調査のため町を訪れたエージェントのケントが、ロボットを敵の秘密兵器だと思い込み、米軍の精鋭部隊を送り込む。ロボットは攻撃を受けると自動的に殺人ロボットに変貌する、恐るべき破壊兵器だった……。監督のブラッド・バードは家族を銃で射殺されており、もしも銃に意思があって本当は銃になりたくなかったとしたら、という発想でこの作品を監督したという。製作費は約7000万ドル、全世界興行収入は約2334万ドル。1999年度LA批評家協会賞のアニメーション賞を受賞している。

音楽は「デッドゾーン」(1983)「リーサル・ウェポン」(1987)「ダイ・ハード」(1988)「ロビン・フッド」(1991)「三銃士」(1993)「陽のあたる教室」(1995)等のマイケル・ケイメン(1948〜2003)。このスコアは、1999年に米Varese Sarabandeレーベルから全23曲/約50分収録のサントラCD(Varese Sarabande 302 066 062 2)が出ていたが、同じVareseレーベルが2022年3月にリリースしたこの「The DeLuxe Edition」は全37曲/約77分収録で、2000枚限定プレス。

「The Eye of the Storm」は、スリリングなタッチのイントロからダイナミックでドラマティックなタッチへ展開する曲。「Hogarth Hughes」は、明るく快活なホーガースの主題。「Creepy Music / Hogarth Investigates」は、幻想的な主題からダークで抑制されたタッチへ。「Into the Forest」は、繊細なタッチから後半ダイナミックでドラマティックなサスペンス音楽へ。「The Giant Wakes」「Trance Former」「Wild Tam-Tam」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Hogarth in Car / Sting for FBI Man: Suite」は、ジェントルなタッチからマーチ調の主題へ。「Come and Get It」は、ジェントルで快活な主題からダイナミックで躍動的なタッチへ。「Shut Off Switch / Rock Tree: Suite」「Magic Rebuild / Hand Underfoot: Suite」「He Can Stay」「No Following」は、ジェントルなタッチの曲。「Cat and Mouse」は、重厚なフレーズと軽快なフレーズの掛け合い。「Train Wreck」「He's a Weapon」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Chew Your Food」は、静かに躍動的な曲。「Amerika」は、荘厳でヒロイックな曲。「Great Ride」「Space Car」「Giant Discovered」は、明るく躍動的でヒロイックなタッチの曲。「We Gotta Hide」「Annie and Dean」は、ジェントルなジャズで、ちょっとドルリュー風。「His Name Is Dean」は、ダイナミックなアクション音楽。「Eating Art」は、クールなジャズ。「Souls Don't Die」は、大らかでジェントルな主題から後半ドラマティックなタッチへ。「Contest of Wills」は、サスペンス調からジェントルな主題へ。「The Army Arrives」は、勇壮なマーチ。「I'm Superman」「Chew Your Food Pickup」は、ややおどけたタッチの曲。「The Last Giant Piece」は、明るくジェントルなタッチから大らかに盛り上がる。「End Credits: Suite」は、ジェントルな主題、躍動的な主題、ジェントルなジャズ、荘厳な主題、快活なマーチ、ドラマティックな主題、ジェントルで快活な主題と展開していくエンドクレジットの組曲。「Bedtime Stories」は、荘厳でジェントルな主題から後半ヒロイックなタッチへ。「Duck and Cover」は、陽気なタッチの挿入歌。最後にピアノやギターによるデモ「Early Demo #1」「Early Demo #2」「Souls Don't Die」を収録。マイケル・ケイメンらしい、ドラマティックでダイナミックなオーケストラル・スコア。
(2022年4月)

Michael Kamen

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