(未公開)ZONE ROUGE
(未公開)LA JAVA DES OMBRES

作曲:ガブリエル・ヤレ
Composed by GABRIEL YARED

(仏Music Box Records / MBR-196)

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「THE PROMISE/君への誓い」(2016)「ディリリとパリの時間旅行」(2018)「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」(2018)「ジュディ 虹の彼方に」(2019)「これからの人生」(2020)等のガブリエル・ヤレ(1949〜)が1980年代に手がけたサスペンス映画2作品のスコアをカップリングにしたCD。どちらも初CD化で、350枚限定プレス。

「(未公開)ZONE ROUGE」は、1986年製作のフランス映画(英語題名は「ZONE RED」)。監督は「冒険者たち」(1967)「オー!」(1968)「ラムの大通り」(1971)「追想」(1975)「愛する者の名において」(1982)等のロベール・アンリコ(1931〜2001)。出演はサビーヌ・アゼマ、リシャール・アンコニーナ、エレーヌ・シュルジェール、ジャック・ノロ、ジャン・ブイーズ、ピエール・フルジェク、ドミニク・レイモン、ティエリー・ロード、ジャン・レノ、パトリック・ペレーズ、ベルナール・フレイ、ジャン=ピエール・バゴ、フィリップ・ヴァシェ、クリスチャン・ペレイラ、ジャン=ピエール・ビッソン他。G・J・アルノー(ジョルジュ=ジャン・アルノー/1928〜2020)の原作を基にロベール・アンリコとアラン・スコッフが脚本を執筆。撮影はディディエ・タロ。リヨンに住む元夫のピエール(ノロ)を訪ねたクレア・ルーセ(アゼマ)は、彼を含めたその町に住む人々が重病に苦しんでいることに気づく。その背後には政府と企業グループによる医療関連のスキャンダルが隠されていた……。

ガブリエル・ヤレのスコアは、「Générique début」が不吉でダイナミックなサスペンス調のメインタイトル。「Jeff et Claire」は、ギターとヴァイオリンソロをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Visite」「Soirée chez Gérard」は、リズミックな曲。「Camions CLPE」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Incendie」は、ややアブストラクトで不吉なサスペンス音楽。「Flash info」は、ハーモニカをフィーチャーしたリリカルなタッチの曲。「Thème de Claire」は、ヴァイオリンとピアノをフィーチャーしたメランコリックで美しいクレアの主題。「Poursuite」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Générique de fin」は、クレアの主題によるエンドタイトル。オーケストラにシンセサイザーを加えたサスペンス調のスコア。ヴァイオリン・ソロはリオネル・ガリ、ピアノはガブリエル・ヤレの演奏。

「(未公開)LA JAVA DES OMBRES」は、1983年製作のフランス映画。監督は俳優として「(TV)666号室」(1982)「処女」(2001)「グッバイ・ゴダール!」(2017)等の出演作があるロマン・グーピル(1951〜)で、彼はテレビのドキュメンタリー番組を中心に20本以上の作品を監督している。出演はチェッキー・カリョ、フランシ・カミュ、アンヌ・アルヴァロ、ジャン=ピエール・オーモン、ディディエ・サンドル、アガット・ムーリッス、ピエール・ヴィアル、アラン・アプテクマン、マルク・ファヨール、モニーク・クーテュリエ、リタ・ルシオ、アラン・ショーメ、アラン・デシャイ、フィリップ・ナオン、ジャン=ジャック・ビルー他。脚本はアラン・アプテクマンとロマン・グーピル。撮影はリシャール・アンドリー、オリヴィエ・プティットジャンとルナン・ポーレ。フランス情報局のムシュー・ジャン(オーモン)は、7年の刑期を終えて釈放された左派の元軍人グザヴィエ(カリョ)を、“ヤヌス”と呼ばれる極右組織にスパイとして潜入させるが、グザヴィエ自身が友人をこの組織の殺し屋ヴァルモン(ビルー)に殺されたことで、復讐しようとしていた……。フランスの五月革命(1968年5月にパリで起きた学生主導による大衆の一斉蜂起)の影響が色濃く出たポリティカル・スリラー。

ガブリエル・ヤレのスコアは、「Générique」がヤレ自身の演奏によるピアノ・ジャズのメインタイトルで、後半不吉なタッチの主題に展開。「Couleurs」「Taxi poursuite」は、抑制されたサスペンス音楽。「Salle de danse」は、快活なピアノによる舞踏音楽。「Les ombres」は、静かにメランコリックなタッチ。「Les tueurs」は、リズミックなサスペンス音楽。「La tour」「En voiture」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Java」は、アコーディオンをフィーチャーした軽快なワルツ。ラストの「La java des ombres」は、フランシのヴォーカルによるリリカルな主題歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:フランシ)。

(2022年5月)

Gabriel Yared

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