SECONDS

セコンド／アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身 SECONDS

作曲・指揮：ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

（スペインQuartet Records / QR489）

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1966年製作のアメリカ映画（日本公開は1970年6月）。監督は「五月の七日間」(1963)「大列車作戦」(1964)「グラン・プリ」(1966)「フレンチ・コネクション2」(1975)「（未公開）ブラック・サンデー」(1977)「対決」(1989)「RONIN」(1998)等のジョン・フランケンハイマー（1930～2002）。出演はロック・ハドソン、サロメ・ジェンズ、ウィル・ギア、ジョン・ランドルフ、マーレイ・ハミルトン、ジェフ・コーリイ、リチャード・アンダーソン、フランシス・リード、カイグ・ディーヒ、ウェズリー・アディ、ネドリック・ヤング、ドディ・ヒース、ロバート・ブルベイカー、ドロシー・モリス、ジョン・ミッチャム他。デヴィッド・イーライの原作を基に「女狐」(1967)「メカニック」(1972)「マンハッタン皆殺し作戦」(1974)「午後の曳航」(1976)等のルイス・ジョン・カリーノ（1932～2020）が脚本を執筆。撮影はジェームズ・ウォン・ハウ。タイトルデザインはソウル・バス。プロデューサーとして主演のロック・ハドソンとカーク・ダグラス（当初主演する予定だった）が参加している。

単調な生活に退屈していた銀行家のアーサー・ハミルトン（ランドルフ）は、数年前に死んだはずの友人チャーリー・エヴァンス（ハミルトン）から連絡を受け、ある組織を紹介される。正体不明の老人（ギア）が運営するその極秘組織では、アーサーのような富裕層の人々に第2の人生を手に入れる手段を提供していた。アーサーはルビーという男（コーリイ）による事務的手続きを経て、イネス博士（アンダーソン）による整形手術を受け、高名な画家トニー・ウィルソン（ハドソン）に変貌し、サンタバーバラの新しい家に住み始める。そこにはジョンという執事（アディ）がいて、彼が第2の人生に移行していく手伝いをした。ある日彼は、海岸でノラ・マーカス（ジェンズ）という魅力的な女性とめぐり逢うが……。ジョン・フランケンハイマー監督による「影なき狙撃者」(1962)「五月の七日間」(1963)と同様、陰謀説テーマのスリラー。1966年度カンヌ国際映画祭の正式コンペティション作品で、同年のアカデミー賞の撮影賞(白黒)にノミネートされている。

音楽は、ジョン・フランケンハイマー監督と「五月の七日間」(1963)「（未公開）最後のサムライ／ザ・チャレンジ」(1982)等でも組んでいるジェリー・ゴールドスミス（1930～2004）。このスコアは、2009年に米La-La Landレーベルからゴールドスミス作曲の「星に想いを」(1994)のスコアとカップリングになったCD（La-La Land Records LLLCD 1109）が出ており、これには本スコアから全14曲／約31分が収録されていたが、Quartetレーベルが2022年5月にリリースしたこのCDは、ソース曲を含むコンプリートスコア（全16曲／約35分半）を収録し、全編がリマスターされている。1000枚限定プレス。

「Main Title」は、シンセサイザーを加えた不気味なイントロからオルガンとオーケストラによるダークでドラマティックな主題へと展開するメインタイトル。「34 Lafayette Street」は、オルガンとストリングスによるダークで不吉なタッチの曲。「Quiet Isolation」は、ピアノを加えた抑制されたタッチからメインの主題のバリエーションへ。「Nightmare」「Transformation」「Rehabilitation and Strange Arrival」「Begin Again」は、抑制されたサスペンス音楽。「Restless Hours」「Reflections」は、ピアノとストリングスによる静かにドラマティックな曲。「Peaceful Aftermath」は、静かにメランコリックなタッチの曲。「End Title」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックなタッチのエンドタイトル。最後にボーナストラックとして、パーティのシーンで流れるライトなジャズのソース曲「Cocktail Music #1 (Love Is Just Among the Corner)」（作曲：レオ・ロビン、ルイス・ジェンスラー）、「Cocktail Music #2 (That Old Black Magic)」（作曲：ジョニー・マーサー、ハロルド・アーレン）、「Cocktail Music #3」（作曲：ジェリー・ゴールドスミス）、ロックのソース曲「Keep Rockin'」「Cleanup」（作曲：ジミー・ハスケル）を収録。

木管楽器と金管楽器を排した構成による（ソース曲を除けば）全体で24分ほどの短いスコアで、必要最小限の音楽を適切な場所にスポットすることで最大の効果を出す、というゴールドスミスらしい考え方に基づいて作曲されている。オーケストレーションはアーサー・モートンとアル・ウッドベリー。ピアノはアーティ・ケイン、オルガンはアニタ・プリースト、ハープはドロシー・レムゼンの演奏。
（2022年9月）

Jerry Goldsmith

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