スペースキャンプ SPACECAMP

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 474)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入 


1986年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)レッド・ターゲット/裏切りのロシア」(1991)「(TV)レベッカ/失われた記憶」(1999)「(TV)殺人保険」(2002)「(TV)女教師グロリア」(2008)等のハリー・ウィナー(1947〜)。出演はケイト・キャプショー、リー・トンプソン、ケリー・プレストン、ラリー・B・スコット、リーフ・フェニックス(ホアキン・フェニックス)、テイト・ドノヴァン、トム・スケリット、バリー・プリマス、テリー・オクィン、ミッチェル・アンダーソン、T・スコット・コフィ、ダリル・ローチ、ピーター・スクラントン、ホリエ・レベッカ・サッグス、テリー・ホワイト他。パトリック・ベイリーとラリー・B・ウィリアムスの原案を基にW・W・ウィケットとケイシー・T・ミッチェルが脚本を執筆。撮影はウィリアム・A・フレイカー。

NASAのマーシャル宇宙センターに隣接するスペースキャンプで、宇宙旅行を疑似体験する特別カリキュラムに参加するため、夏休み中の少年少女たちが全米より集まった。「スター・ウォーズ」ファンの10歳のマックス(フェニックス)は、いじめられっ子でロボットのジンクスと仲良し。彼のチームには、16歳の冒険に憧れる少女キャスリン(トンプソン)、18歳のスポーツ少年ケヴィン(ドノヴァン)、12歳の黒人少年ルディ(スコット)、17歳のブロンド娘ティッシュ(プレストン)たちが参加し、NASAの女性宇宙飛行士アンディ・バーグストロム(キャプショー)が彼らのインストラクターを務めることになった。キャンプ生活数日後、実習でマックスたちの乗ったスペースシャトルが、突然発射された。ジンクスがマックスの宇宙への夢を叶えるため、コンピュータのプログラムを改変したのだった。地球を周回するシャトル内の酸素が帰還するまでもたないため、アンディは建設中の宇宙ステーションにある酸素ボンベを入手しようとするが……。ホアキン・フェニックスのデビュー作。本作は1986年初頭に劇場公開される予定だったが、1986年1月28日に米スペースシャトル“チャレンジャー号”が打ち上げから73秒後に分解して7名の乗組員が全員死亡する事故が発生したため、公開が数か月延期された。その後、1986年6月6日に全米公開されたが、製作費約1800万ドルに対し、全世界興行収入は約970万ドルとの残念な結果となった。

音楽はジョン・ウィリアムス(1932〜)。これは彼が「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(1983)「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(1984)「イーストウィックの魔女たち」(1987)といった作品を手がけていた頃のスコアで、同時期に1984年のロス・アンジェルス・オリンピックのファンファーレや、テレビのNBCニュースのタイトルミュージック等も作曲しており、最もパワフルな作風だった頃。このスコアは、1986年に米RCAレーベルから全14曲/約47分収録のサントラLP(RCA Victor ABL1-5856)が出ていたが、上記チャレンジャー号事故の影響で市場から回収されてしまった。その後、1992年に日本のSoundtrack Listeners Communicationsレーベル(SCC-1016/1000枚限定プレス)、2010年と2014年に米Intradaレーベル(Intrada Special Collection Volume 140/3000枚限定プレス、Intrada MAF 7140)が、いずれもLPと同内容のCDを出しているが、今回2022年5月に同じIntradaレーベルがリリースしたこのCDは、2枚組(全37曲/約117分)となっており、1枚目に最近になって発見された3トラックマスターによる初収録のオリジナルスコア(23曲)、2枚目にLPの内容を収録。

CD1枚目の冒頭「Main Title」は、ジェントルなイントロからホルンによる荘厳なファンファーレ調のメインの主題へと展開する、静かなメインタイトル。「The Jinx Connection」「Friends Forever」は、静かにジェントルな曲。「Training Montage」は、明るくリズミックなメインの主題のロック・バージョン。「The Computer Room」「Jinx Commits」は、静かに荘厳なタッチの曲。「The Shuttle」は、静かなイントロからヒロイックな主題、後半メインの主題を織り込んだダイナミックなタッチへと展開。「In Orbit」も、メインの主題のバリエーション。「Insufficient Oxygen」は、サスペンス調から後半ヒロイックなタッチへ。「Arriving at Daedalus and Morse Code」「I Can't Reach It」は、抑制されたサスペンス音楽。「Viewing Daedalus」は、大らかでジェントルな主題からサスペンス調へ。「Max Finds Courage」は、ドラマティックかつサスペンスフルな曲。「Max Breaks Loose」「Rudy Comes Through」は、ウィリアムスが「未知との遭遇」に作曲したスコアに通ずる、アブストラクトなタッチのサスペンス音楽。「Andie Is Stranded」は、ダイナミックなサスペンス音楽から後半ヒロイックなタッチへ。「White Sands (Film Version)」は、メインの主題を織り込んだ躍動的なタッチの曲。「Re-Entry」も、メインの主題を含む大らかでヒロイックな曲。「Home Again」は、大らかでジェントルなタッチからメインの主題が盛り上がって締めくくる。「SpaceCamp」は、明るく躍動的でヒロイックなメインの主題のフル・バージョンで、爽快な活力に溢れたタッチがオリンピックのファンファーレ等にも通ずる名曲。最後にエクストラとして代替テイク3曲「Main Title (Film Version)」「White Sands [Album Edit]」「Home Again (Short Version)」を収録。
(2022年9月)

John Williams

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2022  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.