マチネー/土曜の午後はキッスで始まる MATINEE

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 479)

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1993年製作のアメリカ映画。監督は「ピラニア」(1978)「ハウリング」(1981)「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「グレムリン」(1984)「エクスプロラーズ」(1985)「インナースペース」(1987)「メイフィールドの怪人たち」(1989)「(TV)HAWAII FIVE-0」(2011〜2017)等のジョー・ダンテ(1946〜)。出演はジョン・グッドマン、キャシー・モリアーティ、サイモン・フェントン、オムリ・カッツ、リサ・ジャカブ、ケリー・マーティン、ジェシー・リー、ルシンダ。ジェニー、ジェームズ・ヴィルメアー、ロバート・ピカード、ジェシー・ホワイト、ディック・ミラー、ジョン・セイルズ、ナオミ・ワッツ、ケヴィン・マッカーシー、ウィリアム・シャラート他。ジェリコ・ストーンとチャーリー・ハースの原案を基にチャーリー・ハースが脚本を執筆。撮影はジョン・ホラ。

1962年のフロリダ州キーウェストを舞台に、土曜の午後の映画館で巻き起こる騒動を描くコメディ。海軍に勤務する父の転勤でキーウェストに引越して来た14歳のジーン・ルーミス(フェントン)は、今日も弟のデニス(リー)と映画館通い。毎年のように転校を繰り返すジーンには友達があまりできなかったが、彼はB級映画のプロデューサー、ローレンス・ウールジー(グッドマン)の作品を愛するホラー映画ファンだった。次の土曜の午後には、放射能によって蟻人間と化した男が主人公の、ウールジーの新作「MANT!」が公開されることになっていた。一方、ソ連がキューバに核兵器を配置しようとしていることが発覚し、アメリカ海軍は海上封鎖に出て、キーウェストの市民は動揺する。ジーンの父が海上封鎖の任務についていることがクラスメイトに知れわたり、ジーンはたちまちヒーロー扱いされて、スタン(カッツ)やサンドラ(ジャカブ)といった友達ができたが……。製作費は約1300万ドル、全世界興行収入は約953万ドル。タイトルの「マチネー(matinée)」は、映画等の昼間興行を意味するフランス語で、これに対する夜間興行は「ソワレー(soirée)」。

ジョン・グッドマン演じるローレンス・ウールジーは、劇場自体に仕掛けを施した独自の上映方式による「(未公開)ティングラー/背すじに潜む恐怖」(1959)「血だらけの惨劇」(1963)「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)「燃える昆虫軍団」(1975)等の製作で知られるアメリカのプロデューサー、ウィリアム・キャッスル(1914〜1977)をモデルにしている。また、劇中のウールジー・インターナショナル・ピクチャーズは、ロジャー・コーマン監督/ヴィンセント・プライス主演による一連のポー原作映画等を製作したアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)へのオマージュであり、ジェシー・ホワイトが演じるスペクター氏はAIPの創設者であるサミュエル・Z・アーコフ(1918〜2001)をモデルにしている。劇中に登場するB級ホラー映画「MANT!」も、約20分の独立した作品としてジョー・ダンテが35ミリのモノクロフィルムで撮影しているが、これは原爆実験の影響で巨大化した蟻を描くSFモンスター映画の傑作「放射能X(THEM!)」(1954)のパロディ(蟻人間のデザインはリック・ベイカー)。この劇中映画には1950年代のSF・ホラー映画に出演したケヴィン・マッカーシーやウィリアム・シャラート、ロバート・コーンスウェイトが登場する。ナオミ・ワッツのアメリカ映画デビュー作でもある。

音楽は「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「グレムリン」(1984)「エクスプロラーズ」(1985)「インナースペース」(1987)「スモール・ソルジャーズ」(1988)「メイフィールドの怪人たち」(1989)「グレムリン2/新・種・誕・生」(1990)「ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション」(2003)でもジョー・ダンテ監督と組んでいるジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。このスコアは公開当時の1993年に米Varese Sarabandeレーベルから全10曲/約38分収録のサントラCD(Varese Sarabande VSD-5408)が出ていたが、Intradaレーベルが2022年5月にリリースしたこのCDにはコンプリート・スコア(全30曲/約65分)を収録。限定プレス。

「Matinee – Main Title」は、おどけたタッチの短いメインタイトル。「Coming Attractions (Main Title Pt. 2)」は、ジェントルで快活なタッチのメインの主題。「Brother to Brother」は、荘厳なファンファーレ調のフレーズからメインの主題へ展開。「Practice」は、抑制されたサスペンス音楽。「Mobilization」は、トロンボーン、フレンチホルン、トランペットによるファンファーレ調の主題を織り込んだミリタリスティックなマーチで、ゴールドスミスの個性が出た曲。「Shopping Cart」は、おどけたタッチから優雅なワルツの主題へ。「Hold On」「The Nightmare」は、ジェントルなタッチの曲。「Harvey and Real People」は、ジェントルなジャズ。「The Scam」「Get a Job」は、ミステリアスなタッチのジャズ。「Halfway Home」は、おどけたタッチからジェントルな主題、ピアノジャズへ。「The Timetable」は、大らかな曲。「Showtime」は、ジェントルなタッチからメインの主題、重厚でダイナミックなフレーズ、静かなサスペンス音楽へ。「Locked In」「The Wrong Business」は、ややコミカルでダイナミックなサスペンス音楽。「What Are You Doing?」は、ジェントルなピアノによる主題からサスペンス調へ。「The Big Knife」「Help」は、ジャズベースのダイナミックなサスペンス音楽。「This Is It」は、ダイナミックなアクション音楽。「Previews」は、おどけたタッチからジェントルなピアノジャズ、メインの主題へ。「Next Attraction (End Credits)」は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。この後、エクストラとして、スコア全体のオーケストレーションも担当しているゴールドスミスの盟友アレクサンダー・カレッジ作曲の「Rhumba Playoff」マックス・スタイナー作曲の「避暑地の出来事」(1959)の主題曲「Theme From A Summer Place」や、ソース曲、代替テイク等を収録。
(2022年10月)

Jerry Goldsmith

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