推定無罪 PRESUMED INNOCENT
作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS
演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony
(米Varese Sarabande / VCL
0622 1227)
1990年製作のアメリカ映画(日本公開は1991年6月)。監督は「パララックス・ビュー」(1974)「大統領の陰謀」(1976)「ソフィーの選択」(1982)「ペリカン文書」(1993)「デビル」(1997)等のアラン・J・パクラ(1928〜1998)。出演はハリソン・フォード、ブライアン・デネヒー、ラウル・ジュリア、ボニー・ベデリア、ポール・ウィンフィールド、グレタ・スカッキ、ジョン・スペンサー、ジョー・グリファシ、トム・マーデロシアン、アンナ・マリア・ホースフォード、サブ・シモノー、ブラッドリー・ホイットフォード、クリスティーン・エスタブルック、マイケル・トーラン、ジェフリー・ライト他。「(TV)立証責任」(1991)「(TV)死刑判決」(2004)等のスコット・トゥロー(1949〜)の原作を基にフランク・ピアソンとアラン・J・パクラが脚本を執筆。撮影は「ゴッドファーザー」(1972)「大統領の陰謀」(1976)「マンハッタン」(1979)「カイロの紫のバラ」(1985)等のゴードン・ウィリス(1931〜2014)。製作は「追憶」(1973)「ザ・ヤクザ」(1974)「コンドル」(1975)「出逢い」(1979)「トッツィー」(1982)「愛と哀しみの果て」(1985)「ザ・ファーム/法律事務所」(1993)「ランダム・ハーツ」(1999)「ザ・インタープリター」(2005)等を監督しているシドニー・ポラック(1934〜2008)と、マーク・ローゼンバーグ。イリノイ州のエリート首席検事補として活躍し、妻バーバラ(ベデリア)と一人息子との幸せな家庭を営んでいたラスティ・サビッチ(フォード)は、上司である地方検事レイモンド・ホーガン(デネヒー)から、同僚で部下でもあった美人検事補キャロリン・ポルヒーマス(スカッキ)の殺人事件を担当するように命じられた。実はキャロリンと不倫の関係にあったサビッチは、死体から検出された精液の血液型と現場に残された指紋が決定的な証拠となり、一転して容疑者として逮捕されてしまう。彼は、法廷での好敵手であるサンディ・スターン(ジュリア)に自身の弁護を依頼するが……。製作費は約2000万ドル、全世界興行収入は約2億2130万ドル。
音楽はジョン・ウィリアムス(1932〜)で、これは彼が「7月4日に生まれて」(1989)「オールウェイズ」(1989)「アイリスへの手紙」(1990)「JFK」(1991)といったドラマ系のスコアを多く手がけていた頃の作品。このスコアは公開当時の1990年に米Varese
Sarabandeレーベルが全14曲/約44分収録のサントラCD(Varese Sarabande
VSD-5280)を出していたが、同じVareseレーベルが2022年5月にリリースしたこのThe DeLuxe Edition
CDは全35曲/約78分収録のコンプリート・スコアで、2500枚限定プレス。
「Main Title (From The
Motion Picture Presumed Innocent)」は、ピアノ・ソロによるメランコリックな主題から、フレンチホルンとストリングスが加わり、サビッチの苦悩を表現したドラマティックなメインの主題へと展開するメインタイトル。スコア全体が、このメランコリックな主題とメインの主題のバリエーションで構成されている。「Carolyn's
Office (Film Version)」「The B File (Film Version)」「Juvenile Pictures」「Remembering
Carolyn」「Reacting to Carolyn」では、メインの主題がピアノやシンセサイザーで演奏される。「Love
Scene」は、メインの主題から後半ミステリアスで不吉なタッチへ展開。「Burning the Note」「The
Bedroom Scene (Film Version)」「On the Advice of Counsel」「In the Patio」「Physical
Evidence」「Outside the Courthouse」「Fingerprints」「The Boat Scene」も、メインの主題が様々なバリエーションで展開。また、「The
Bedroom Scene (Film Version)」「On the Advice of Counsel」「The Boat Scene」等では、ウィリアムスが「未知との遭遇」のスコアでも使ったグレゴリオ聖歌の『怒りの日(Dies
irae)』の旋律が引用される。「Family Morning」「Family Theme」「Return to
Normal」は、サビッチの家族を描写したジェントルで快活なタッチの曲。「Off the Case / You're
Always Right」「Carolyn's Apartment」「Leon Talks」は、シンセサイザーによる抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Barbara
and Rusty」は、静かにドラマティックな曲。「Case Dismissed (Film Version)」は、ジェントルで大らかな曲。「The
Basement Scene (Film Version)」は、メインの主題を織り込んだドラマティックなサスペンス音楽。「Barbara's
Confession」は、ミステリアスなタッチの曲。「End Credits (From The Motion Picture
Presumed Innocent)」は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。
主人公の苦悩と後悔を見事に表現した繊細でドラマティックなスコアで、ジョン・ウィリアムスがブロックバスター作品以外に手がけたシリアスなフィルムスコアの中でも代表的な作品の1つ。フルート・ソロはルイーズ・ディ・テュリオの演奏。
(2022年12月)
John Williams
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2022 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.