(TV)海底大戦争スティングレイ STINGRAY

作曲・指揮:バリー・グレイ
Composed and Conducted by BARRY GRAY

(英Silva Screen Records / SILCD1699)

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1964年製作のイギリスのTVシリーズ(30分×全39話/日本では1964年9月7日〜1965年3月31日にフジテレビ系列で放映された)。「(TV)サンダーバード」(1964)等のプロデューサー、ジェリー・アンダーソン(1924〜2012)のA.P.フィルムが、サー・ルー・グレイドの傘下に入り、それまでより大きな予算を得て製作したスーパーマリオネーションによる海洋アドヴェンチャーで、イギリスで製作された初の全編カラー撮影テレビシリーズ。「世界海洋安全パトロール隊WASP(The World Aquanaut Security Patrol)」の最新鋭原子力潜水艦スティングレイと、タイタニカ海底王国の支配者タイタン魔王との闘いを描く。

監督はアラン・パッティロデヴィッド・エリオットジョン・ケリーデズモンド・ソーンダースが各エピソードを分担。声の出演は、スティングレイのトロイ・テンペスト艦長役がドン・メイソン(日本語吹替は宗近晴見)、ジョージ・リー・“フォーンズ”・シェリダン中尉役がロバート・イーストン(同、ミッキー・カーチス)、アトランタ・ショア中尉役が(「007」シリーズで初代マネーペニーを演じた)ロイス・マックスウェル(松任谷国子)、サム・ショア司令官役がレイ・バレット(天草四郎)、タイタン魔王役もレイ・バレット(熊倉一雄)、エージェントX-20役がロバート・イーストン(田村錦人)、日本語版ナレーターはトニー谷。脚本はジェリー・アンダーソン、シルヴィア・アンダーソン、アーサー・プロヴィス、アラン・フェンネルとデニス・スプーナーが各話を分担。撮影はアーサー・プロヴィスとジョン・リード。VFXはデレク・メディングスとテッド・ウールブリッジ。本作に登場する人形はトロイ艦長がジェームズ・ガーナー、タイタン魔王がローレンス・オリヴィエ、アトランタ・ショアがロイス・マックスウェル、エージェントX-20がクロード・レインズをモデルに造形されている。スティングレイの乗組員で海底都市パシフィカの海底人美女マリーナはブリジット・バルドーをモデルにしているが、ジェリー・アンダーソン作品でヒロインの声を担当することが多いシルヴィア・アンダーソンが脚本執筆に専念するため、敢えて話さない設定にしたという。

音楽はジェリー・アンダーソン作品の常連作曲家であるバリー・グレイ(1908〜1984)。このスコアは、2009年にイギリスのFanderson Recordsより全54曲/約160分収録の2枚組サントラCD(Fanderson Records FANSR12)が出ており、更に2019年には約228分収録の3枚組CD(Fanderson Records FANSR24)も出ていた(いずれもFanderson会員のみ購入可)が、Silva Screenレーベルが2022年11月にリリースしたこのCDは、全26曲/約72分を収録し、リマスターされている。

冒頭の4曲は『海底の魚神(Stingray)』のスコア。「Stingray Main Titles」は、レイ・バレットによる「Stand by for Action!」の一声からリズミックなパーカッションに続いてマイク・サムズ・シンガーズによるダイナミックな主題歌、ナレーション、SEへと展開するメインタイトルで、独特のワクワク感が最高。「Evil and Mysterious」は、ミステリアスなタッチからサスペンス調、マーチ、メインの主題へと展開する曲。「Marineville High Alert」は、リズミックなパーカッションを加えたメインの主題。「One Marine Minute」は、ミステリアスな主題からマーチ調のサスペンス音楽、ヒロイックな主題、マリーナの主題へと展開。続く2曲は『毒ガスの花(Plant of Doom)』より。「A Flower to Take Your Breath Away」は、サスペンス調からマリーナの主題へ。「Two Worlds United」は、ダイナミックでビジーなアクション音楽、マリーナの主題からユーフェミア・アレン(aka アーサー・デ=リュリ)作曲の「チョップスティック」の主題へ。『海底兵器・頭突きのカジキ(The Golden Sea)』よりの「Fool's Gold」は、ファンファーレからサスペンス音楽、幻想的な主題へ展開。続く2曲は『深海の人質(Hostages of the Deep)』より。「Trouble in Paradise」は、大らかで優雅なタッチからメインの主題のバリエーションへ。「Battle for Marina」は、サスペンス調からダイナミックなアクション音楽、メインの主題のバリエーション、マリーナの主題へ。『出た!海底インディアン(Sea of Oil)』よりの「Atlanta's Achievement」は、ダイナミックでビジーなアクション音楽からメインの主題、マリーナの主題へ。「Friday Night at Blue Lagoon」は、ジェントルなピアノ・ジャズ。続く2曲は『海底戦車現わる(The Big Gun)』より。「The Might of Solarstar」は、重厚なサスペンス音楽から「サンダーバード」のスコアにも流用されているダイナミックなマーチ調の主題へ。「Master of Infinite Disguise」は、ややコミカルなタッチのサスペンス音楽。『あ!時限爆弾だ(Countdown)』よりの「Home Sweet Home」は、明るく快活でコミカルなタッチからマリーナの主題へ。『ゆうれい船(The Ghost Ship)』よりの「No Laughing Matter」は、不吉なサスペンス音楽からダークでダイナミックなタッチへ。『ネス湖の怪獣(The Legend of Loch Ness)』よりの「The Legend of Loch Ness」は、マリーナの主題からスコットランド民謡風の主題、ダイナミックなサスペンスアクション音楽へと展開。『海底の宝物(Treasure Down Below)』よりの「Bounty of the Deep」は、「サンダーバード」でも流用された明るく快活な主題からビジーなサスペンス音楽、メインの主題のバリエーションへ。『無敵戦艦ケチラス号(Star of the East)』よりの「The Big and Small Toe」は、ファンファーレからコミカルなタッチの主題へ。『タジマノン神殿の謎(Search for the Tajmanon)』よりの「One of Our Wonders is Missing」は、アラビックなタッチの曲。『お化け真珠貝(Secret of the Giant Oyster)』よりの「March of the Oysters」は、「サンダーバード」でも流用された、いかにもグレイらしいタッチのマーチ。『ソロモン王国の陰謀(A Christmas to Remember)』よりの「Skating」は、「ジングルベル」のフレーズを織り込んだ明るく快活な曲。『謎の新兵器(Echo of Danger)』よりの「Marvelous Madness」は、ドラマティックなピアノ・コンチェルト風の力作。『危うし!マリンビル基地(Emergency Marineville)』よりの「For Want of a Button」は、「サンダーバード」でも流用されたダイナミックなサスペンスアクション音楽。『そこに爆薬が!(Tune of Danger)』よりの「Harmonic Homicide」は、クールなピアノ・ジャズ。続く2曲は『半漁人の大襲撃(Raptures of the Deep)』より。「Tempest's Trip」は、メインの主題のジャズ・バージョンからサスペンス音楽、大らかな主題へ。「Stingray End Titles Aqua Marina」は、トロイ・テンペストとアトランタ、マリーナの三角関係を描写したゲイリー・ミラーのヴォーカルによるロマンティックなマリーナの主題(エンドタイトル)。
(2023年2月)

Barry Gray

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