フェイブルマンズ THE FABELMANS
作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS
(米Sony Classical / 19658780072)
2022年製作のアメリカ映画(日本公開は2023年3月3日)。監督は「戦火の馬」(2011)「リンカーン」(2012)「ブリッジ・オブ・スパイ」(2015)「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」(2016)「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(2017)「レディ・プレイヤー1」(2018)「ウエスト・サイド・ストーリー」(2021)等のスティーヴン・スピルバーグ(1946〜)。出演はミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、セス・ローゲン、ガブリエル・ラベル、キーリー・カーステン、ジュリア・バターズ、ジャド・ハーシュ、ソフィア・コペラ、ジーニー・バーリン、ロビン・バートレット、サム・ラクナー、オークス・フェグリー、クロエ・イースト、イザベル・クスマン、デイヴィッド・リンチ他。脚本はスティーヴン・スピルバーグと「(TV)エンジェルス・イン・アメリカ」(2003)「ミュンヘン」(2005)「リンカーン」(2012)「ウエスト・サイド・ストーリー」(2021)等のトニー・クシュナー(1956〜)。撮影は「シンドラーのリスト」(1993)「プライベート・ライアン」(1998)「マイノリティ・リポート」(2002)「潜水服は蝶の夢を見る」(2007)「野性の呼び声」(2020)等のヤヌス・カミンスキー(1959〜)。
映画に心を奪われた1人の少年の成長と夢を追う姿を描くヒューマンドラマで、スティーヴン・スピルバーグ自身の少年時代にインスパイアされたストーリー。第二次大戦後のアリゾナ州で育った少年サミー・フェイブルマン(ラベル)は、映画館を初めて訪れて以来、映画に心奪われるようになった。母ミッツィ(ウィリアムズ)からカメラをプレゼントされたサミーは、家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちが出演する作品を制作するようになる。彼を応援し支える母親とは反対に、父バート(ダノ)は単なる趣味に過ぎないと考えていた。そんな両親の間で葛藤するサミーだったが、やがて驚くべき家族の秘密を知ることになる……。製作費は約4000万ドル。2022年度アカデミー賞の作品賞、主演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、美術賞にノミネートされ、同年のゴールデン・グローブの作品賞(ドラマ)と監督賞を受賞している他、放送映画批評家協会賞の若手俳優賞(ガブリエル・ラベル)を受賞、第47回トロント国際映画祭で観客賞を受賞している。
音楽は、本作が31本目のスティーヴン・スピルバーグ監督作品となるジョン・ウィリアムス(1932〜)で、彼らの長年にわたるコラボレーションは50周年を迎える。「The
Fabelmans」は、ピアノをフィーチャーしたリリカルなタッチのメインの主題。「Mitzi's Dance」「New
House」は、ピアノとストリングスによるメランコリックで美しい曲。「Sonatina in a Minor, Op. 88
No. 3: III. Allegro Burlesco」は、ドイツの作曲家フリードリヒ・クーラウ(1786〜1832)作曲のソナチネ作品88。「Midnight
Call」は、ダークでドラマティックな曲。「Reverie」は、メランコリックなタッチのピアノ曲。「Mother
and Son」は、ギターとストリングスによるジェントルな曲。「Sonatina in C Major, Op. 36 No.
3: Spiritoso」は、イタリアの作曲家ムツィオ・クレメンティ(1752〜1832)作曲のソナチネ作品36。「Reflections」は、リリカルかつメランコリックな曲。「Concerto
in D Minor, BWV 974: II. Adagio」は、ドイツの作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)作曲の協奏曲BWV974
第2楽章アダージョ。「The Letter」は、ストリングスとクラリネットによるメランコリックで美しい曲。「The
Journey Begins (Includes Excerpt from Joseph Haydn: Sonata No. 48 in C Major,
Hob. XVI: 35: I. Allegro Con Brio)」は、オーストリア出身の作曲家フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)作曲のピアノ・ソナタ第48番の引用を含む曲で、明るく躍動的な主題から、ピアノの主題、ストリングスによるメランコリックなタッチ、ジェントルなピアノとストリングスによる主題へと展開する。
半世紀に及ぶ深い信頼関係から醸成される、インティメートでパーソナルな印象の美しいスコア。
(2023年2月)
John Williams
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