クーリエ:最高機密の運び屋 THE COURIER

作曲・指揮:アベル・コルジェニオウスキ
Composed and Conducted by ABEL KORZENIOWSKI

演奏:プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra

(米Lakeshore Records)2021

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2020年製作のイギリス=アメリカ合作映画(日本公開は2021年9月)。監督は「(TV)ホロウ・クラウン/嘆きの王冠」(2016)「追想」(2018)等のドミニク・クック。出演はベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー、アンガス・ライト、キリル・ピロゴフ、アントン・レッサー、マリヤ・ミロノバ、キアー・ヒルズ、ジョナサン・ハーデン、オルガ・コフ、ウラジミール・チュプリコフ、ジェームズ・スコフィールド、フレッド・ヘイグ、エンマ・ペンジーナ他。脚本は「ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い」(2011)「ヒットマンズ・ボディガード」(2017)等のトム・オコナー。撮影はショーン・ボビット。米ソ冷戦下に発生したキューバ危機に際して、民間人のセールスマンが核戦争の回避に関与したとの史実を基にしたスパイ・サスペンス映画。1962年、CIAのエミリー・ドノヴァン(ブロズナハン)とMI6のディッキー・フランクス(ライト)は、東欧諸国に工業製品を卸すイギリス人セールスマンのグレヴィル・ウィン(カンバーバッチ)に接近する。彼らはグレヴィルに、ビジネスを装ってモスクワに赴き、ソ連側の情報提供者であるオレグ・ペンコフスキー大佐(ニニッゼ)に接触し、機密情報を持ち帰るとの危険なミッションを委託する。渋々ながらも情報の運び屋となったグレヴィルは、“アレック”ことペンコフスキーとの間で情報の受渡しを繰り返す中、信頼関係を築き、やがて友情を育んでいく。カンバーバッチは、こういう実話に基づいたサスペンス映画に適任の役者で、本作ではプロデューサーも兼ねている。ニニッゼ以下、共演者も一様に好演しているが、唯一ブロズナハンがキューティブロンドすぎてCIAの諜報部員との説得力がないのが難点(このキャラは架空の人物らしい)。全世界興行収入は約2600万ドル。

音楽は「シングルマン」(2009)「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」(2011)「(TV)ナイトメア 〜血塗られた秘密〜」(2014〜2016)「ノクターナル・アニマルズ」(2016)等のアベル・コルジェニオウスキ(1972〜)。「Spies and Typewriters」は、ピアノとオーケストラによる躍動的でダイナミックな曲。「Iron Curtain」は、重厚でドラマティックな主題から後半ダークなタッチへ。「First Contact」「Eyes Of The State」は、不吉なサスペンス音楽。「Greville」は、ドラマティックでサスペンスフルな曲。「Secret Meeting」「Cigarettes」は、抑制されたサスペンス音楽。「Prelude」は、メランコリックでドラマティックな前奏曲。「It Has To Be You」は、ロシア色を帯びたドラマティックなワルツ調の曲で、コルジェニオウスキの個性がよく出た名曲。「Cuban Missiles」「Arrested」は、ダークで重厚なサスペンス音楽。「One Last Trip To Moscow」「Trenchcoats vs. KGB」は、躍動的でダイナミックなサスペンス音楽。「I Have A Light Day」は、不吉なピアノをフィーチャーしたダークでドラマティックな曲。「Cold Soup」は、ピアノ・ソロによるメランコリックな主題にストリングスが加わって展開する曲。「Breakdown」「When You Come Home」は、ダークでメランコリックなタッチ。「Maybe We Are Only Two People」は、ピアノとオーケストラによりドラマティックに盛り上がる曲。このスコアは現状ダウンロード販売のみとなっている。
(2023年2月)

Abel Korzeniowski

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