(未公開)L'ENVOL
作曲・指揮:ガブリエル・ヤレ
Composed and Conducted by GABRIEL YARED
演奏:パリ交響楽団
Performed by the Paris Symphonic Orchestra
(スペインQuartet Records / QR512)
2022年製作のフランス=イタリア=ドイツ合作映画(英語題名は「SCARLET」)。監督は「失われた美」(2015)「マーティン・エデン」(2019)等のピエトロ・マルチェッロ(1976〜)。出演はラファエル・ティエリー、ジュリエット・ジューアン、ノエミ・ルヴォフスキー、ルイ・ガレル、ヨランド・モロー、フランソワ・ネグレ、エルンスト・ウンハウアー、イネス・エス・サルヒール、アントニン・スターリー・ヴィスワナダン、アテネ・シファウイ=ブラン、ベルナール・ブランカン、アルトゥール・オルシエ、ピエール・ニッス、アラン・デルアイエ、ロリータ・シャマー他。ロシアの小説家・児童文学作家アレクサンドル・グリーン(1880〜1932)の原作『真紅の帆』を基にピエトロ・マルチェッロ、マウリツィオ・ブラウッチとモード・アメリーヌが脚本を執筆。撮影はマルコ・グラツィアプレナ。
第一次世界大戦後のフランス北部の村で、母親のいない少女ジュリエット(ジューアン)は、無愛想な退役軍人である父ラファエル(ティエリー)と暮らしていた。夢見がちな性格で、他の村人、特に男たちから嫌われていたジュリエットは、ある日川のほとりで「緋色の帆がやって来て、あなたをここから連れ去ってくれる」と魔女に予言される。ジュリエットはその予言が現実になるのを待ち続けていたが、あるとき、ハンサムな飛行士が文字通り空から落下してくる……。製作費は約675万ユーロ。2022年度カンヌ国際映画祭の監督週間で上映されている。
音楽はガブリエル・ヤレ(1949〜)。「Passacaglia」は、チェロ・ソロとピアノによるメランコリックな主題からアコーディオン、ストリングス、ギターにコーラスを加えたダークで陰鬱な主題へ展開する曲。「Étoile」は、主演のジュリエット・ジューアンのヴォーカルによるメランコリックかつリリカルな挿入歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:ピエトロ・マルチェッロ、ジルベール・シヌー)。「Raphael
Arrives」は、コーラスを加えたダークでメランコリックな曲。「In Town」は、ピアノ、フルートとストリングスによる躍動的で快活な曲。「The
Cave of Jeanne d'Arc」は、ストリングスによるメランコリックなタッチの曲。「Bullies and
Witches」は、クラリネット、ストリングス、ピアノによるメランコリックなタッチからリリカルなメインの主題へ。「Fernand」は、不吉で幻想的なタッチの曲。「Young
Juliette」は、ピアノ、フルートとアコーディオンによるリリカルなメインの主題。「Les voiles
écarlates」は、ジュリエット・ジューアンのヴォーカルによるジェントルでリリカルな挿入歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:ピエトロ・マルチェッロ、ジルベール・シヌー)。「At
the Bar」は、ピアノ、口笛、サックス、アコーディオンによる明るくジェントルな曲。「Medals」「Figurehead」「Marie」「The
Funeral」「At Sea」は、メランコリックでドラマティックな曲。「The Adventurer」「Little
Boat」は、ジェントルでリリカルな曲。「Si tu es un fille」は、ジュリエット・ジューアンとイネス・エス・サルヒールのヴォーカルによるドラマティックで快活な挿入歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:ピエトロ・マルチェッロ、ガブリエル・ヤレ)。「Coquinette」は、ルイ・ガレルのヴォーカルに口笛、サックスを加えたジェントルな挿入歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:ピエトロ・マルチェッロ、ジルベール・シヌー)。「L'envol
Suite」は、ストリングスとフルートによるドラマティックな主題からピアノとフルートによるリリカルなメインの主題、コーラスとチェロによるメランコリックな主題へと展開する組曲。「Hirondelle」は、ジュリエット・ジューアンのヴォーカルによるジェントルでドラマティックな挿入歌(作曲:ガブリエル・ヤレ、作詞:ジュリエット・ジューアン)。最後にボーナストラックとして代替バージョンやデモ「Hirondelle
(Instrumental Version)」「Coquinette (Instrumental Version)」「Tourbillon
(Demo)」「Étoile (Demo Instrumental Version)」「Les voiles écarlates (Demo
Instrumental Version)」を収録。
ベテランのガブリエル・ヤレらしい上質でドラマティックなスコア。オーケストレーションはガブリエル・ヤレとジェイ・アラン・ミラー。ギターとマンドリンはジェローム・シオシ、アコーディオンはライオネル・スアレス、サックスはルイス・モリソン、グラス・ハーモニカ(アルモニカ)はトーマス・ブロックの演奏。
(2023年6月)
Gabriel Yared
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2023 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.