ピーター・パン PETER PAN
作曲:ジェームズ・ニュートン・ハワード
Composed by JAMES NEWTON HOWARD
指揮:ピート・アンソニー
Conducted by PETE ANTHONY
演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony
(米Intrada / Intrada Special
Collection Volume 487)
2003年製作のイギリス=アメリカ=オーストラリア合作映画(日本公開は2004年4月)。監督は「ミュリエルの結婚」(1994)「ベスト・フレンズ・ウェディング」(1997)「(未公開)夢見る頃を過ぎても」(2002)「お買いもの中毒な私!」(2009)等のP・J・ホーガン(1962〜)。出演はジェイソン・アイザックス、ジェレミー・サンプター、レイチェル・ハード=ウッド、リン・レッドグレーヴ、リチャード・ブライアーズ、オリヴィア・ウィリアムズ、ジェフリー・パーマー、ハリー・ニューウェル、フレディ・ポップルウェル、リュディヴィーヌ・サニエ、セオドア・チェスター、ルパート・シモニアン、ジョージ・マッケイ、ブルース・スペンス、サフロン・バロウズ他。ジェームズ・M・バリーの戯曲を基にP・J・ホーガンとマイケル・ゴールデンバーグが脚本を執筆。撮影はドナルド・M・マカルパイン。
世界中で愛されてきた“永遠の少年”の物語を、本国イギリスでの舞台初演以来100周年を記念して実写映像化した作品。小説家を夢見るウェンディー・ダーリング(ハード=ウッド)は、まだ本当の恋も知らない13歳の女の子。周囲の大人たちはレディになるための教育を始めるべきと考えており、いよいよ明日からの教育を前にした、子供として過ごす最後の夜に、彼女の前に不思議な少年ピーター・パン(サンプター)と小さな妖精ティンカーベル(サニエ)が現われる。すぐに打ち解けた彼らは、フック船長(アイザックス)率いる野蛮な海賊たちや妖精が住み、永遠に子供でいることができる島“ネバーランド”へ向けて一緒に飛び立つのだった……。製作費は約1億ドル、全世界興行収入は約1億2198万ドル。製作総指揮に参加しているモハメド・アル=ファイド(1929〜)は、エジプト生まれの実業家でイギリスのデパート“ハロッズ”の経営者でもあるが、彼の息子ドディ・アルファイド(1955〜1997)も映画プロデューサーとして知られ、イギリスのダイアナ元妃との交際中、1997年8月31日にパリでの自動車事故でダイアナ元妃と共に亡くなっている。
音楽はP・J・ホーガン監督と「ベスト・フレンズ・ウェディング」(1997)「(未公開)夢見る頃を過ぎても」(2002)「お買いもの中毒な私!」(2009)等でも組んでいるアメリカの作曲家ジェームズ・ニュートン・ハワード(1951〜)。このスコアは、公開当時の2003年に米Varese
Sarabandeレーベルから全18曲/約44分収録のサントラCD(Varese Sarabande 302 066 534
2)が出ていたが、Intradaレーベルが2023年3月にリリースしたこのCDは、2枚組で全41曲/約110分半収録のエクスパンデッド盤。限定プレス。
CD1枚目の冒頭「Main Title」は、チェレスタとシロフォン(木琴)に女声コーラスを加えた幻想的なイントロからダークなフック船長の主題、ジェントルなラヴ・テーマへと展開するメインタイトル。「Michael
Takes a Bath」は、ダイナミックかつコミカルなタッチの曲。「Is That a Kiss?」は、ミステリアスなタッチから後半コーラスを加えたジェントルなラヴ・テーマへ。「Peter's
Shadow」は、幻想的なタッチからコーラスを加えたジェントルな主題へ。「A Note from the
Teacher」「The Parrot」「Captain Hook」「Lost Boys Shoot Wendy」「Wendy Meets Hook」は、ややコミカルなタッチのサスペンス音楽。「Tinkerbell」は、ジェントルでリリカルなティンカーベルの主題で、後半ミステリアスなタッチからビジーなサスペンスアクション音楽へ。「Wendy
Meets Peter」「Spying on the Jolly Roger」「Come Meet Father」「Children on the Rock」は、明るく快活な曲。「Learning
To Fly」は、ダイナミックなアクション音楽からジェントルな主題、コーラスを加えた躍動的な主題へ。「Flying」は、幻想的なタッチからコーラスを加えたジェントルで快活な主題、大らかでダイナミックな主題へ。「“Fetch
Long Tom”」「Set Them Free」は、ダイナミックで躍動的な曲。「Wendy Lives」は、パーカッシヴなサスペンス調のイントロから大らかでヒロイックな主題、ジェントルな主題へ。「Build
a House Around Her」「Fairy Dance」「Peter Visits Darlings」「Boys Want to Go Home」は、ジェントルでリリカルな曲。「Capturing
Michael & John」「Parrot Frees Tink」「Poison」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Mermaids」は、コーラスを加えた幻想的でミステリアスな曲。「Castle
Swordfight」は、躍動的でヒロイックな主題からダイナミックなサスペンス音楽へ。「“If You Wish It”」は、躍動的なマーチ調の曲。「Hook
Captures Boys」は、抑制されたサスペンス音楽。「Please Don't Die」は、コーラスを加えたドラマティックな曲。「I
Do Believe in Fairies」は、明るく大らかでリズミックな曲。
CD2枚目の冒頭「Wendy
Walks the Plank」は、ややコミカルなタッチのサスペンス音楽から躍動的なマーチ調の主題へ。「“Into the
Rigging”」「Old, Alone, Done for」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「“He's
Mine”」は、ヒロイックでダイナミックな主題から後半コーラスを加えた幻想的なタッチへ。「Peter Falls to the
Deck」は、ダークで幻想的な主題から後半コーラスを加えたジェントルでリリカルな主題へ。「The Hidden Kiss」は、明るく快活でリズミックなタッチから大らかでヒロイックな主題へ。「Hook
Is Dead / Flying Jolly Roger」は、コーラスを加えた大らかなタッチの曲。「Adopting Lost
Boys / Peter Returns」は、ややコミカルなタッチから明るく快活な主題、ジェントルでリリカルな主題、コーラスを加えた大らかな主題へ。ラストの「End
Title / End Credits (Extended Suite)」は、コーラスを加えた明るく快活でリズミックな主題、幻想的でリリカルな主題、ジェントルな主題、コーラスを加えたドラマティックな主題と展開する11分に及ぶエンドタイトル/エンドクレジット。
器用なジェームズ・ニュートン・ハワードらしい技巧的かつ機能的なドラマティック・アンダースコアで、そつなくまとめているが、例によってさほど強い個性は感じさせない。
(2023年6月)
James Newton Howard
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