女神がそっと微笑んで MONEY
作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE
(イタリアBeat Records / BCM9599)
1991年製作のフランス=カナダ=イタリア=オランダ合作映画(イタリア語題名は「INTRIGO
IN NOVE MOSSE」/日本公開は1992年2月)。監督は「B★S★アイ・ラブ・ユー」(1971)「ランニング」(1979)「(未公開)デビルとマックス/悪魔が天使?」(1981)「(未公開)トム・ハンクスの大迷宮」(1982)「ローリング・ベンジェンス/復讐のモンスター・トラック」(1987)等のカナダ人、スティーヴン・ヒリヤード・スターン(1937〜2018)。出演はエリック・ストルツ、マリアム・ダボ、ブリューノ・クレメール、マリオ・アドルフ、アンナ・カナキス、F・マーレイ・エイブラハム、クリストファー・プラマー、ベルナール・フレッソン、アンジェロ・インファンティ、トーマス・ミリアン、パトリシア・バージク、レイモン・ジェローム、ポール=ルー・シュリツェル、ジャン=ピエール・カスタルディ、ダニー・デヴィート他。ポール=ルー・シュリツェルの原作を基にゴードン・ロバックとラリー・ペダーソンが脚本を執筆。撮影はフランコ・ディ・ジャコモ。
幼い頃に父をなくし、正体不明の後見人の加護の元、ロンドンで放蕩生活を続けていた21歳のフランク・シンバリ(ストルツ)は、愛想を尽かした後見人によって外国へ追放されてしまう。無一文でケニアに到着した彼は、一流ホテルの従業員サラ・ウォーキンズ(ダボ)をたらしこみ宿を確保すると、持ち前の度胸と行動力で、サファリ・ツアーの斡旋から金の密輸まで手掛けはじめた。ある日、マルク・ラヴァテル(クレメール)という探偵から、父の遺した6千万ドルが5人の男に横領されたという手紙が届いた。フランクはパリに飛びラヴァテルに調査を依頼したが、彼は手紙のことは知らないと言う。フランクは金の密輸で大金を手にし、遺産を横領した5人への復讐を開始する。大物金融業者(アドルフ)と渡りをつけ、1人目のレストランオーナー、アンリ・ランドー(フレッソン)を潰した。更にロバート・ザラ(ミリアン)にクーデターを起こさせ、運送ルートを断って次の2人を破滅させた。残る2人の内の1人、ウィル・スカーレット(エイブラハム)は、陰でフランクを助けていた後見人で、真の黒幕は父の会社を乗っ取ったマーティン・ヤール(プラマー)だった……。
音楽はエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは2009年にイタリアのGDMレーベルから全13曲/約37分収録のサントラCD(GDM
CDCLUB7060)が出ており、Beatレーベルが2023年6月にリリースしたこのCDは同内容の再発盤で、オリジナル・セッションのステレオマスターを基にしている。
「Money (Seq.1)」は、オスカー・ヴァルダンブリーニの演奏による気だるいタッチのフリューゲルホルンにスリリングなストリングスを加えたリズミックなメインタイトル。「Money
(Seq.2)」は、しっとりと美しいストリングスにフリューゲルホルンを加えたジェントルなタッチの曲。「Money
(Seq.3)」も、フリューゲルホルンをフィーチャーした明るくリズミックな曲。「Money (Seq.4)」は、情感豊かなチェロをフィーチャーした曲。「Money
(Seq.5)」は、モリコーネの個性がよく出た、ドラマティックでスリリングなストリングスによるリズミックな曲。「Money
(Seq.6)」は、ピアノとストリングスをフィーチャーしたジェントルで美しい曲。「Money (Seq.7)」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Money
(Seq.8)」は、明るくリズミックでややコミカルなタッチの曲。「Money (Seq.9)」は、ジャズ・ベースのサスペンス音楽。「Money
(Seq.10)」は、ストリングスによるしっとりと美しい曲。「Money (Seq.11)」は、フリューゲルホルンをフィーチャーしたリズミックでサスペンスフルな曲。「Money
(Seq.12)」は、ダイナミックなサスペンス音楽で、モリコーネが1987年に手がけた「アンタッチャブル」のメインタイトルに似たタッチの曲。「Money
(Seq.13)」は、ピアノ、ストリングス、フルートにフリューゲルホルンを加えたジェントルで美しい曲。モリコーネらしい、様々なタッチの曲がカラフルに展開するスコア。
(2023年8月)
Ennio Morricone
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