(TV)恐怖の殺人蜜蜂 KILLER BEES
(未公開/TV)ISN'T IT
SHOCKING?
(TV)鷲が翔んだ HARPY
作曲・指揮:デヴィッド・シャイア
Composed and Conducted by DAVID SHIRE
(ドイツCaldera Records / C6050)
「カンバセーション…盗聴…」(1973)「サブウェイ・パニック」(1974)「さらば愛しき女よ」(1975)「大統領の陰謀」(1976)「ガープの世界」(1982)「ゾディアック」(2007)等のアメリカの作曲家デヴィッド・シャイア(1937〜)が1970年代に手がけたテレビ映画3作品のスコアを収録したCD。
「(TV)恐怖の殺人蜜蜂(KILLER BEES)」は、1974年製作のアメリカのテレビ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済/テレビ放映時の邦題は「キラービーズ/殺人蜜蜂軍団の支配する町」)。監督は「悪魔のくちづけ」(1967)「(未公開)ヘレンに何が起こったのか?」(1971)「(未公開)誰がルーおばさんを殺したか?」(1971)「(未公開)魔性の女スパイ」(1985)等のカーティス・ハリントン(1926〜2007)。出演はエドワード・アルバート、ケイト・ジャクソン、ロジャー・デイヴィス、ドン・マクガヴァーン、グロリア・スワンソン、クレイグ・スティーヴンス、ジョン・S・レイギン、リーアム・ダン、ドン・ジェントリー、ロバート・L・バルザー、ジャック・パーキンス、ダン・ウッドワース、ジョン・ゲッツ、ヘザー・アン・ボステイン、ラリー・デ・アンジェリス。脚本はジョイス・フーパー・コリントンとジョン・ウィリアム・コリントン。撮影はジャック・ウールフ。
カリフォルニアの葡萄園に好奇心から立ち入ったセールスマン(パーキンス)が、蜂の大群に襲われて死ぬ。一方、マリア・ヴァン・ボーレン夫人(スワンソン)の一家が経営するその葡萄園に、疎遠になっていた息子のエドワード(アルバート)が、妊娠中のフィアンセ、ヴィクトリア・ウェルズ(ジャクソン)を連れてサンフランシスコから帰ってくる。ヴィクトリアは、老女マリアが女王蜂のように支配するヴァン・ボーレン家に何らかの秘密が隠されていると感じ、不安を抱きはじめるが……。アルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」(1963)以降、数多く製作された動物襲撃パニック映画の1つで、同じく蜂が襲撃してくる映画では、アーウィン・アレン監督の「スウォーム」(1978)が製作されている(こちらの音楽はジェリー・ゴールドスミス)。ヒロインのヴィクトリアを演じるケイト・ジャクソン(1948〜)は、この映画の2年後の1976年に人気テレビシリーズ「チャーリーズ・エンジェル」のサブリナ・ダンカン役に抜擢され、知名度が増した。マリア役のグロリア・スワンソン(1899〜1983)はサイレント映画時代の有名女優で、1950年のビリー・ワイルダー監督作品「サンセット大通り」では彼女自身を投影した役を演じ、ゴールデングローブの主演女優賞(ドラマ部門)を受賞するとともにアカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされた。
デヴィッド・シャイアのスコアは、「Death
of a Salesman」が抑制されたサスペンス調から、切り刻むようなストリングスによる蜂の襲撃シーンの音楽へと展開するが、バーナード・ハーマン作曲の「サイコ」のスコアにそっくりなフレーズで、シャイア自身、大先輩のハーマンの音楽にインスパイアされたことを認めている。「Main
Title」は、不吉でドラマティックなタッチの主題によるメインタイトル。「To the House」「Madame's
Death」「“My Kingdom for a Can of DDT”」も、不吉なサスペンス音楽。「Call Me
Madame」は、メランコリックなタッチの曲。「End of the Line, Man」は、ドラマティックかつメランコリックな主題から、後半不吉なサスペンス音楽へ。「Cross(ed)
Bees」「Follow Those Bees!」も、ハーマン風のストリングスによるサスペンス音楽。「Comb-coming
Queen」は、サスペンス調からオルガンをフィーチャーしたドラマティックなタッチへ。「The New Madame」は、ドラマティックなサスペンス音楽からピアノによるメランコリックな主題へ展開する曲。
「(未公開/TV)ISN'T IT SHOCKING?」は、1973年製作のアメリカのテレビ映画。監督は「ブルーサンダー」(1983)「ウォー・ゲーム」(1983)「張り込み」(1987)「バード・オン・ワイヤー」(1990)「ニック・オブ・タイム」(1995)「(TV)NIKITA/ニキータ」(2012〜2013)「(TV)ARROW/アロー」(2015〜2016)等のジョン・バダム(1939〜)で、デヴィッド・シャイアとは「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977)「ショート・サーキット」(1986)等でも組んでいる。出演はアラン・アルダ、ルイーズ・ラッサー、エドモンド・オブライエン、ロイド・ノーラン、ウィル・ギア、ルース・ゴードン、ドロシー・トリスタン、パトリシア・クイン、リーアム・ダン、マイケル・ウォーレン・パウエル、ジャクリーン・アラン・マクルーア他。脚本は「大捜査」(1972)「ザ・カー」(1977)等のレイン・スレート。撮影はジャック・ウールフ。
ニューイングランドの小さな町マウント・エンジェルで、63歳の3人の老人が一見普通の心臓発作により次々と死亡する。3人のうちの1人で副保安官のジェシー・チャピン(ノーラン)の同僚だった地元警察の保安官ダン・バーンズ(アルダ)は、健康で頑強だったジェシーの突然死に不審なものを感じる。やがて彼のアシスタントのブランチ(ラッサー)は、死亡者たちが同じ学校のクラスを1928年に卒業していたことを突き止める……。
デヴィッド・シャイアのスコアは、「Mount
Angel Morning」がエミール・リチャーズの演奏によるウォーターチャイム(ウォーターフォン)による幻想的なイントロから、ドラマティックで躍動的な刑事ドラマ調のメインの主題へ展開。「First
Funeral」は、メインの主題を織り込んだドラマティックな曲。「It is Shocking」は、ウォーターチャイムのイントロから静かにドラマティックなタッチへ。「Warning
Montage」も、ウォーターチャイムのイントロから躍動的なメインの主題へ。「To the Farmhouse」は、メインを織り込んだダイナミックなサスペンス音楽。「Willies
of the Field」は、アブストラクトなタッチのサスペンス音楽。「Into Town」は、メインの主題の躍動的なバリエーション。「Margie's
Cat House」は、気だるいジャズベースの奇妙なタッチな曲。「Justin the Nick of Time」は、躍動的なタッチからメインの主題のバリエーション、後半ウォーターチャイムをフィーチャーしたダイナミックなサスペンス音楽へ展開。「Finale」は、メランコリックなストリングスにフルートが加わり、メインの主題のリプライズよるフィナーレへ展開。
「(TV)鷲が翔んだ(HARPY)」は、1971年製作のアメリカのテレビ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「カンサス・シティの爆弾娘」(1972)「(TV)白い恐怖」(1973)「(未公開)ボーダーライン」(1980)「(TV)O・J・シンプソン事件」(1994)等のジェロルド・フリードマン(1944〜)。出演はエリザベス・アシュレー、マーリン・メイソン、マーク・ミラー、トム・ナーディニ、ヒュー・オブライアン、リンダ・ワトキンズ他。T・K・ブラウン三世の原案を基にウィリアム・ウッドが脚本を執筆。撮影はロバート・ハウザー。撮影はロバート・B・ハウザー。
建築家のピーター・クリューン(オブライアン)は、若きネイティヴアメリカンの友人ジョン(ナーディニ)と共に、趣味で希少な扇鷲(オウギワシ)を調教していた。ピーターはアリソン・リード(メイソン)という美しい秘書と婚約していたが、離婚した元妻のマリアン(アシュレー)が彼の前に現れ、彼の人生を破滅させた上で彼を取り戻そうとする……。
デヴィッド・シャイアのスコアは、「Main
Title」が不吉なタッチのイントロからギター、フルートをフィーチャーしたリズミックでダイナミックなメインの主題へと展開するメインタイトル。「Mock
Hunt」「Wolf Hunt」は、刑事ドラマ風のリズミックなサスペンス音楽。「Circe」は、静かにドラマティックなタッチのメインの主題のバリエーション。「It's
No Picnic」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Bird Massacre」は、ギターをフィーチャーしたジェントルな主題から抑制されたサスペンス音楽へ展開。
(2023年10月)
David Shire
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