スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース SPIDER-MAN: ACROSS THE SPIDER-VERSE

作曲:ダニエル・ペンバートン
Composed by DANIEL PEMBERTON

(ドイツSony Classical / 19658824782)

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2023年製作のアメリカのCGアニメーション映画。監督は「(TV)ヴォルトロン」(2018)の製作総指揮を担当したホアキン・ドス・サントス(1977〜)、「ソウルフル・ワールド」(2020)の共同監督・脚本を担当したケンプ・パワーズジャスティン・K・トンプソン。声の出演はシャメイク・ムーア(マイルス・モラレス役/日本語吹替:小野賢章)、ヘイリー・スタインフェルド(グウェン・ステイシー/悠木碧)、ブライアン・タイリー・ヘンリー(ジェフ・モラレス/乃村健次)、ルナ・ローレン・ベレス(リオ・モラレス/小島幸子)、ジェイク・ジョンソン(ピーター・B・パーカー/宮野真守)、オスカー・アイザック(ミゲル・オハラ/関智一)、ジェイソン・シュワルツマン(スポット/鳥海浩輔)、イッサ・レイ(ジェシカ・ドリュー/田村睦心)、ダニエル・カルーヤ(ホービー・ブラウン/木村昴)、カラン・ソーニ(パヴィトル・プラパカール/佐藤せつじ)、シー・ウィガム(ジョージ・ステイシー/上田燿司)、ジャック・クエイド(ピーター・パーカー/リザード/岩中睦樹)、アンディ・サムバーグ(ベン・ライリー/江口拓也)、アマンドラ・ステンバーグ(マーゴ・ケス/高垣彩陽)、ジョシュ・キートン(ピーター・パーカー/スペクタキュラー・スパイダーマン/猪野学)、ユーリ・ローエンタール(ピーター・パーカー/インソムニアック・スパイダーマン/興津和幸)、ヨーマ・タコンヌ(エイドリアーノ・タミーノ/飛田展男)、他。脚本はフィル・ロード、クリストファー・ミラーとデヴィッド・キャラハム。

「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)の続編。ピーター・パーカー亡きあと、スパイダーマンを受け継いだブルックリンの高校生マイルスは、共に戦ったグウェンと再会し、各ユニバースから選び抜かれたスパイダーマンが集うマルチバースの中心へと辿り着く。しかしそこでマイルスは、愛する人と世界を同時には救えないという、スパイダーマンたちに課された哀しき宿命が待ち受ける自らの未来を目にしてしまう。それでも、両方を守って見せると決意するマイルスだったが、その決断はマルチバース全体を崩壊させかねない危機を引き起こしてしまう。その結果、マルチバースを守ろうとする無数のスパイダーマンたちを敵に回してしまうマイルスだったが……。上映時間140分は、これまでにアメリカで製作されたアニメーション映画としては最長。製作費は約1億5000万ドル、全世界興行収入は約6億9052万ドル。

音楽は「コードネーム U.N.C.L.E.」(2015)「キング・アーサー」(2017)「ゲティ家の身代金」(2017)「オーシャンズ8」(2018)「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)「(TV)ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス」(2019)「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey」(2020)「エノーラ・ホームズの事件簿」(2020)等のイギリス出身のダニエル・ペンバートン(1977〜)。このサントラ盤はCD2枚組で、全37曲/約114分を収録。

CD1枚目の冒頭「Across the Spider-Verse (Intro)」は、静かに幻想的なイントロからリズミックなロック調のダイナミックな主題へと展開する曲。「Spider-Woman (Gwen Stacy)」は、リズミックでストイックなタッチのスパイダー・グウェン(グウェン・ステイシー)の主題。「Vulture Meets Culture」は、オペラ風のテノールを加えたリズミックでダイナミックなロック。テノールは「Guggenheim Assemble」でも使われているが、ちょっと狙いすぎで小手先だけのテクニックのように思える。「Spider-Man 2099 (Miguel O'Hara)」は、象の鳴き声のようなシンセを加えたリズミックでサスペンスフルなスパイダーマン2099(ミゲル・オハラ)の主題。「The Right to Remain Silent」は、静かにドラマティックな主題から後半リズミックなタッチへ。「Across the Titles」「My Name Is... Miles Morales」「Back Where It All Started」は、リズミックなサスペンス音楽。「Spot Holes 1」は、幻想的でミステリアスなタッチの曲。「To My Son」「Under the Clocktower」「Rio and Miles」は、ジェントルなタッチの曲。「Miles Sketchbook」「Spider-Punk (Hobie Brown)」は、無機的なロック曲。「Creation of The Spot」「Spot Holes」は、不気味なサスペンス音楽。「Spider-Man India (Pavitr Prabhakar)」は、ダンス・ミュージック風のスパイダーマン・インディア(パヴィトル・プラパカール)の主題。「Mumbattan Madness」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Indian Teamwork」は、リズミックでヒロイックなタッチから後半ストイックな主題へ。

CD2枚目の冒頭「Welcome to Nueva York (Earth-928)」は、リズミックでストイックかつドラマティックな曲。「Spider Society」「Peter and Mayday Parker」「Nueva York Train Chase」「Falling Apart」は、リズミックかつヒロイックなタッチの曲。「2099 Lab」「The Anomaly」は、不気味なサスペンス音楽。「Canon Event」は、幻想的な主題から後半ストイックでドラマティックなタッチへ。「All Stations - Stop Spider-Man」は、無機的なロック曲。「Hold the Baby」「I Beat Them All」は、ジェントルでドラマティックな曲。「The Go Home Machine」「Chelsea, NY, Earth-65」は、リズミックでサスペンスフル。「Five Months」は、ストイックかつダイナミック。「Across the Spider-Verse (Start a Band)」は、象の鳴き声のようなシンセを加えた不気味なタッチからダークなサスペンス音楽、ヒロイックな主題へ。「Father and Son」「Triumph」は、大らかでジェントルなタッチからヒロイックな主題へ展開。

CGアニメとはいえビッグバジェットのスーパーヒーロー大作にスコアを作曲できるチャンスなのに、やや無機的なロックに走っているのが残念。口笛等の使い方も平凡。
(2023年12月)

Daniel Pemberton

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