華麗なる相続人 BLOODLINE
作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE
(スペインQuartet Records / QR542)
1979年製作のアメリカ=西ドイツ合作映画(日本公開は1980年1月)。監督は「007/ドクター・ノオ」(1962)「007/ロシアより愛をこめて」(1963)「007/サンダーボール作戦」(1965)「トリプルクロス」(1966)「暗くなるまで待って」(1967)「夜の訪問者」(1970)「レッド・サン」(1971)「バラキ」(1972)等のテレンス・ヤング(1915〜1994)。出演はオードリー・ヘプバーン、ベン・ギャザラ、ジェームズ・メイソン、クローディア・モーリ、イレーネ・パパス、ミシェル・フィリップス、モーリス・ロネ、ロミー・シュナイダー、オマー・シャリフ、ビアトリス・ストレイト、ゲルト・フレーベ、ヴォルフガング・プライス、マルセル・ボズッフィ、シャルル・ミヨー、ガブリエル・フェルゼッティ他。「イースター・パレード」(1948)「アニーよ銃をとれ」(1950)等の脚本や「(TV)かわいい魔女ジニー」(1965〜1970)「真夜中の向う側」(1977)「(TV)探偵ハート&ハート」(1979〜1984)「(TV)ゲームの達人」(1984)「(TV)鏡の中の他人」(1993)等の原作を手掛けたシドニー・シェルダン(1917〜2007)の原作『華麗なる血統』を基にレアード・コーニッグが脚本を執筆。撮影は「炎の人ゴッホ」(1956)「アラビアのロレンス」(1962)「ドクトル・ジバゴ」(1965)「空軍大戦略」(1969)「ニコライとアレクサンドラ」(1971)等のフレディ・ヤング(1902〜1998)。
ニューヨークに住むエリザベス・ロフ(ヘップバーン)は、彼女の実父でスイスの製薬会社ロフの社長がアルプス登山中に事故死したと、父の右腕だったリス・ウィリアムス(ギャザラ)から聞かされた。ロフ社はわずか数名のロフ一族血縁者により維持されており、大株主として財産を受け継いだエリザベスは、チューリッヒ本社の会議室で株主である他の血縁者たちと顔を合わせた。サー・アレック・ニコルズ(メイスン)は、見かけは優雅な英国貴族だったが、若い妻ヴィヴィアン(フィリップス)がギャンブルに入れ込み破産寸前だった。スピードとセックスを生き甲斐とするエレーヌ・ロフ=マルタン(シュナイダー)は、ロフ社を乗っ取ろうとの野心を燃やしており、フランス支社を運営する夫シャルル(ロネ)は、横領や賄賂にまみれて妻の宝石に手をつけるほど金に困っていた。シモネッタ・パラッツィ(パパス)は3人の娘を育てながら退屈な日々を過していたが、夫イーヴォ(シャリフ)は愛人ドナテッラ(モーリ)に3人の息子を私生児として生ませ、その養育費に頭を悩ませていた。会議に集まった彼らは、会社を公開企業にして株式を売却することを望んでいたが、エリザベスは父の意志を尊重して同族会社のまま据え置き、自らが新社長として経営を継承すると宣言した。そこにスイス警察殺人課のマックス・ホーヌング警部(フレーべ)が現れ、前社長の事故時にザイルが弾丸によって切断されていたことがわかったので、これは殺人事件であったと告げるが……。製作費は約1200万ドル。全世界興行収入は約822万ドル。オードリー・ヘプバーンはこの映画の公開時に50歳だったが、彼女の演じたエリザベスは35歳との設定だった(原作の設定は23歳)。
音楽は「残虐の掟」(1967)でもテレンス・ヤング監督と組んでいるエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは公開当時の1980年に米Varese
Sarabandeレーベルから全18曲/約47分半収録のサントラLP(Varese Sarabande STV
81131)が出ており、1990年に同じVareseレーベルからモリコーネ作曲の「レッドソニア」とカップリングになった1000枚限定プレスのCD(Varese
Sarabande CD Club VCL 9001.6)、2016年に同じVareseレーベルからLPと同内容で2000枚限定プレスのCD(Varese
Sarabande VCL 0216
1166)が出ていたが、Quartetレーベルが2023年12月にリリースしたこのCDは2枚組になっており、全54曲/約125分を収録。1500枚限定プレス。
CD1枚目にはモリコーネが当初の想定通りに作曲したスコア(その後の再編集により一部別の箇所に付けられたり未使用になった)とソース曲、2枚目にはサントラLPと同じプログラムのリマスター版と代替テイク等のボーナストラックを収録。CD1枚目の冒頭「Main
Title – Part I (Love Theme from Bloodline)」は、ピアノとストリングスにエッダ・デロルソのヴォーカルをフィーチャーしたジェントルで大らかなラヴ・テーマによるメインタイトル。このラヴ・テーマは「Arrivat
at the Villa」「Out of the Past I」「Out of the Past II」「Out of the Past III」「The
Trip to Paris」「Love Theme from Bloodline」「Reconciliation」と、全編を通して登場する。「Main
Title – Part II (Mountain Murder)」「Lights Out I」「Bloodline
Murder」「Extortion」「Death Threat」「Horrible Discovery」「Lights Out III」は、ダークで不吉なタッチのサスペンス音楽。「Pills
on Parade (Factory Fantasy)」は、リズミックなサスペンス音楽。「Corporate
Maneuvers」は、ダークでドラマティックなタッチの曲。「An Almost Perfect Indiscretion
(Extended Version)」は、メランコリックなイントロから明るくジェントルでリズミックな主題へ。「Lights
Out II」は、ダイナミックで躍動的なサスペンス調から後半ピアノとストリングスによる不吉なサスペンス音楽へ。「No
Accident!」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Resolution / End Credits」は、エッダ・デロルソのヴォーカルをフィーチャーしたラヴ・テーマによるエンドクレジット。この後にカジノのシーン等でのリリカルでライトなタッチのソース曲「Gambling
Casino」「Bedroom Muzak」「Bobsled」「Bloodline Muzak」「Dinner at Maxim's」を収録。モリコーネ自身がオーケストレーションを担当。
(2024年3月)
Ennio Morricone
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