ラスト・アクション・ヒーロー LAST ACTION HERO
作曲・指揮:マイケル・ケイメン
Composed and Conducted by MICHAEL KAMEN
演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony
(米La-La Land Records / LLLCD
1645)
1993年製作のアメリカ映画。監督は「シュワルツェネッガー/プレデター」(1987)「ダイ・ハード」(1988)「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)「ザ・スタンド」(1991)「ダイ・ハード3」(1995)「トーマス・クラウン・アフェアー」(1999)「閉ざされた森」(2003)等のジョン・マクティアナン(1951〜)。出演はアーノルド・シュワルツェネッガー、F・マーレイ・エイブラハム、アート・カーニー、チャールズ・ダンス、フランク・マクレー、トム・ヌーナン、ロバート・プロスキー、アンソニー・クイン、マーセデス・ルール、オースティン・オブライエン、イアン・マッケラン、ジョーン・プロウライト、ジム・ベルーシ、チェヴィ・チェイス、M・C・ハマー、リトル・リチャード、ロバート・パトリック、マリア・シュライヴァー、シャロン・ストーン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、デイモン・ウェイアンズ、ノア・エメリッヒ、ティナ・ターナー、コリーン・キャンプ、ダニー・デヴィート他。ザック・ペンとアダム・レフの原案を基にデヴィッド・アーノットとシェーン・ブラックが脚本を執筆。撮影はディーン・セムラー。
当時アクション・スターとして人気絶頂だったシュワルツェネッガーがセルフパロディを演じたアクション大作で、豪華カメオ陣が共演している。ウェイトレスの母アイリーン(ルール)と2人暮しの孤独な13歳の少年ダニー・マディガン(オブライエン)は、ロス・アンジェルス市警の刑事ジャック・スレイター(シュワルツェネッガー)が活躍するアクション映画のシリーズに夢中で、今日もタイムズ・スクエアの映画館に入りびたっていた。ダニーの友人である映写技師のニック(プロスキー)は、次回上映のシリーズ最新作のテスト試写にダニーを立ち会わせ、別世界へのパスポートだという黄金に光り輝くチケットを彼に与えた。ダニーひとりしかいない映画館で、新作の上映が始まる――。カリフォルニアのギャングのボス、ヴィヴァルディ(クイン)の邸宅で、スレイターの又従弟フランク(カーニー)が殺し屋たちに痛めつけられていた。助けに現れたスレイターに、瀕死のフランクは組織の情報を伝えてこと切れる。怒ったスレイターが逃げる殺し屋たちを追跡しようとしたとき、ダニーの魔法のチケットが輝いて、彼はスクリーンの中の世界に呑みこまれていった。突然現れた見知らぬ少年に目を丸くするスレイターだったが、ダニーは目の前で展開する怒涛のアクション・シーンの連続に大興奮する……。製作費は8500万ドル。全世界興行収入は1億3730万ドル。
音楽はジョン・マクティアナン監督と「ダイ・ハード」(1988)「ダイ・ハード3」(1995)でも組んでいるマイケル・ケイメン(1948〜2003)。このスコアは公開当時の1993年にColumbiaレーベルから全12曲/約40分半収録のスコア盤サントラCD(Columbia
CK 57393)が出ていたが、La-La
Landレーベルが2024年7月にリリースしたこのCDは、全52曲/約159分収録で2枚組となっており、1枚目と2枚目の途中までがエクスパンデッド・スコア(全37曲/約102分)で、その後に追加音楽と、リマスターされた1993年盤の内容を収録。3000枚限定プレス。
CD1枚目の冒頭「Jack Slater Enters / Ripper」は、エレキギターをフィーチャーした重厚なサスペンス調からリズミックな主題、抑制されたサスペンス音楽へと展開。「Danny
(Film Version)」は、ジェントルで大らかなダニーの主題。「Jack Hamlet (Extended
Version)」は、エレキギターを加えた躍動的でヒロイックなタッチ。「Kidney」「Kiss」は、ジェントルでリリカルな曲。「Mugger
/ Ticket」「Vivaldi's」「Benedict at Whitney's」は、ダイナミックで重厚なサスペンス音楽。「Frankie」「Viv」は、エレキギターを加えたリズミックな曲。「The
Kid Gets in the Picture」は、オーケストラにより盛り上がる短い曲。「River Chase」「Catch
the Red Eye / Bicycle Chicken」は、エレキギターを加えたリズミックなアクション音楽で、後半オーケストラによるダイナミックなタッチへ。「Interrogation」「Drive
to Vivaldi's」は、抑制されたサスペンス音楽。「Benedict with Dogs」「Thru the
Screen」「The Real World」「Whitney Arrives」は、静かにドラマティックなタッチ。「Ripper
Flashbacks」「Jack Skylight」は、ケイメンが得意とする重厚でダイナミックなアクション音楽。「Benedict」は、ヒロイックな主題から静かにメランコリックなタッチへ。「Skeezy」は、ダークなサスペンス音楽。「Practice
(Film Version)」で、F・マーレイ・エイブラハム演じる悪役プラクティスが登場するシーンでは、モーツァルト作曲の交響曲第40番が引用される(「アマデウス」に引っかけたジョーク)。「To
the Hotel / Practice Screws Up」は、静かにドラマティックなタッチから、ヴィヴァルディ作曲の「四季」の引用を含む重厚なサスペンス音楽へ。「Leo
Dead / Jack Snatches Leo」「Taxi Chase / Chicken Again」は、ダイナミックで躍動的な曲。「Leo
the Fart (Extended Version)」は、エレキギターを加えたダイナミックでドラマティックな曲。「Killing
Vivaldi」は、メランコリックでドラマティックな曲。
CD2枚目の冒頭「Benedict in New
York」は、ダークなサスペンス音楽。「Benedict Gets the Ticket (Film Version)」は、静かにドラマティックなタッチからダークなサスペンス調、ダイナミックなアクション音楽へ。「Premiere
(Film Version)」「Saving Danny」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「The End of the
Ripper」は、エレキギターを加えたダークで重厚なサスペンス音楽。「Benedict Death / Ambulance」は、抑制されたサスペンス調からダイナミックでドラマティックなタッチへ。「Ambulance
Driver / Theatre」は、重厚でダイナミックなタッチから後半ドラマティックな主題へ。ラストの「Big
Mistake (Film Version)」は、大らかでヒロイックなタッチからジェントルでリリカルな主題へ展開して締めくくる。この後に、追加音楽として「Mugger
(Without Overlay)」「Leo Dead (With Overlay)」「Whitney Arrives (Without Drums)」の代替テイクを収録。
(2024年10月)
Michael Kamen
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