リプリー THE TALENTED MR.RIPLEY

作曲:ガブリエル・ヤレ
Composed by GABIREL YARED

指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by HARRY RABINOWITZ

(仏Music Box Records / MBR-236)

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1999年製作のアメリカ映画(日本公開は2000年8月)。監督は「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)「コールド マウンテン」(2003)「こわれゆく世界の中で」(2006)等のアンソニー・ミンゲラ(1954〜2008)。出演はマット・デイモン、グウィネス・パルトロー、ジュード・ロウ、ケイト・ブランシェット、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジャック・ダヴェンポート、ジェームズ・レブホーン、セルジオ・ルビーニ、フィリップ・ベイカー・ホール、セリア・ウェストン、ロザリオ・フィオレロ、ステファニア・ロッカ、イヴァノ・マレスコッティ、アンナ・ロンギ、アレッサンドロ・ファブリツィ他。「見知らぬ乗客」(1951)「死刑台に接吻」(1969)「アメリカの友人」(1977)「ふくろうの叫び」(1987)「(未公開)リプリーズ・ゲーム」(2002)等のパトリシア・ハイスミス(1921〜1995)の原作を基にアンソニー・ミンゲラが脚本を執筆。撮影はジョン・シール。

1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのホテルでトイレ係として働く貧しい若者トム・リプリー(デイモン)は、プリンストン大卒の男から同窓会で自分の代わりにピアノを弾いてくれと頼まれる。借り物のプリンストン大のブレザーを着てカクテルパーティでピアノを弾いていたリプリーは、彼を自分の息子ディッキー(ロウ)の友人と勘違いした富豪のハーバート・グリーンリーフ(レブホーン)から、イタリアで放蕩三昧のディッキーを連れ戻してくれれば報酬として1000ドルを払うと提案される。プリンストン大卒でもなくディッキーと会ったこともないリプリーは、仕事を引き受けてヨーロッパへと向かう。旅の途中で大手繊維会社の令嬢メレディス・ローグ(ブランシェット)と知り合ったリプリーは、自分がディッキーであると偽って彼女と会話する。イタリアでディッキーと彼の婚約者マージ・シャーウッド(パルトロー)と偶然をよそおって出会ったリプリーは、彼がプリンストン時代からの知り合いであるとディッキーに信じ込ませようとするが……。1999年度アカデミー賞の助演男優賞、脚色賞、音楽賞(オリジナル・ミュージカル/コメディ)、美術賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、同年の英国アカデミー賞の助演男優賞(ジュード・ロウ)と放送映画批評家協会賞の作曲賞を受賞している。製作費は約4000万ドル。全世界興行収入は約1億3803万ドル。ハイスミス作の同じ原作は「太陽がいっぱい(PLEIN SOLEIL)」(1960/監督:ルネ・クレマン、出演:アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、モーリス・ロネ)として過去に映画化されている。

音楽は「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)「コールド マウンテン」(2003)「こわれゆく世界の中で」(2006)「(TV)ようこそ!No.1レディース探偵社へ」(2008〜2009)等でアンソニー・ミンゲラ監督と組んでいるガブリエル・ヤレ(1949〜)。このスコアは公開当時の1999年に米Sony Classicalレーベルより全19曲(うち、ヤレ作曲のスコアは8曲)収録のサントラCD(Sony Classical SK 51337)が出ていたが、Music Boxレーベルが2024年9月にリリースした全57曲/約121分収録のこの「25周年記念盤」CDは、2枚組となっており、1枚目に未発表曲を含むエクスパンデッド・スコア(全30曲/約53分)、2枚目に過去のSony盤からの引用、ボーナストラックとデモを収録。2000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Lullaby for Cain」は、アイルランドのシンガーソングライター、シネイド・オコナー(別名シュハダ・サダカット/1966〜2023)のヴォーカルによるメランコリックなタッチのララバイ。「Italia」「Italia (Part 2」は、アコーディオン、マンドリンをフィーチャーしたジェントルなタッチの曲。「I Hate You」は、ジェントルな鉄琴を加えたジャズ風の曲。「No, I Like Him」「Promise」「Syncopes」「Marge Maintenance」「Lost Love」「You're Shivering」「Huis-clos」「Syncopes (Part 4)」は、メランコリックかつドラマティックな曲。「Silvana's Body」は、重厚でダークかつ不気味なタッチの曲。「Last Trip」「Heartbreak」「Opera Intermission」は、メランコリックかつリリカルなタッチの曲。「Cain & Abel」は、ドラマティックでサスペンスフルなタッチのメインの主題。「Syncopes (Part 2)」は、静かにドラマティックなタッチの曲。「Mischief」は、鉄琴を加えたミステリアスなタッチの曲。「Meredith Meets Marge」は、クラリネット、サックス、鉄琴を加えたメランコリックなタッチの曲。「As If That Makes Sense」は、メランコリックかつリリカルなタッチから後半サックスを加えたサスペンス調へ。「Killing Freddie」「Dumping Freddie's Body」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Syncopes (Part 3)」は、クラリネットを加えた静かにドラマティックな曲。「Ripley」は、静かにドラマティックでメランコリックな主題から、後半ヤレの個性が強く出た躍動的でスリリングなタッチのメインの主題へ。「Nightmare / Dickie's Rings」「Suitable Instrument」は、ミステリアスなタッチ。「Just Kidding」「End Title」は、躍動的でスリリングなメインの主題。ラストの「Lullaby in D Minor」は、メランコリックかつリリカルなタッチの曲。アルバム全体の監修をガブリエル・ヤレ自身が手がけている。
(2024年11月)

Gabriel Yared

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