ジキルとハイド EDGE OF SANITY

作曲・指揮:フレデリック・タルゴーン
Composed and Conducted by FRÉDÉRIC TALGORN

演奏:パリ・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Paris Philharmonic Orchestra

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 513)

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1988年製作のイギリス=ハンガリー合作映画(日本公開は1989年9月)。監督は「(未公開)肉体と炎」(1984)「(未公開)ドラゴナード/カリブの反乱」(1987)「エドガー・アラン・ポー/早すぎた埋葬」(1989)等のジェラール・キコイーヌ(1946〜)。出演はアンソニー・パーキンス、グリニス・バーバー、サラ・モーア=ソープ、デヴィッド・ロッジ、ベン・コール、レイ・ジュワース、ジル・メルフォード、リサ・デイヴィス、ノエル・コールマン、ブライオニー・マクロバーツ、マーク・エリオット、ハリー・ランディス、ジル・ピアーソン、バシル・ホスキンス、ルース・バーネット他。脚本はJ・P・フェリックスとロン・レイリー。撮影はトニー・スプラトリング。

過去に何度も映画化されているロバート・ルイス・スティーヴンソンの原作『ジキル博士とハイド氏』に切り裂きジャックの要素を加えたスリラー。1888年、ロンドンの高名な医師ヘンリー・ジキル博士(パーキンス)は、自ら開発した麻酔薬を実験中に吸い込んでしまい、邪悪な別人ハイドに変身する。彼は少年時代からの性的トラウマを抱えており、その傷を癒すように切り裂き魔となって次々と娼婦に襲いかかる。トラウマの元となった女性にそっくりのスザンナ(モーア=ソープ)に会った彼は、薬を使って変身し彼女を凌辱する。妻のエリザベス(バーバー)には、夢遊病患者ハイドの治療のため夜も病院に出ていると偽っていたが、やがてハイドの人格が日中のジキルに現れるようになる。やがてスコットランド・ヤードのニューコメン警部(ジュワース)の捜査がジキル博士にも迫るが……。

音楽は「ロボ・ジョックス」(1990)「デルタフォース2」(1990)「赤と黒の接吻」(1991)「フォートレス」(1993)「(未公開)派遣秘書」(1993)「モリエール」(2007)等のフランスの作曲家フレデリック・タルゴーン(1961〜)で、彼は「エドガー・アラン・ポー/早すぎた埋葬」(1990)でもキコイーヌ監督と組んでいるが、この「ジキルとハイド」は彼が初めて手がけた映画音楽。「Opening Scene」は、ミステリアスで不吉なイントロからダークでドラマティックな主題、サスペンスフルなタッチへと展開するオープニング。「Main Title」は、重厚でドラマティックかつトラジックなタッチのメインタイトル。「Susannah Theme」は、リリカルでドラマティックなスザンナの主題。「Transformation」「Hyde Walks in the Street」「Maggie Climbs the Stairs」「Looking for a Murder」「Visions from Nightmare」「Jekyll and Elisabeth on the Stairs」「Elisabeth Finds the Scribbles」「Looking for Jekyll」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Frenzy」「Meet Susannah」「Maggie's Murder」「Looking for Susannah」「In the Attic」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Blue Scene」は、不気味なホラー音楽。「Return from Picnic」は、ジェントルでリリカルなワルツ。「Good Night, Henry」は、静かにドラマティックなタッチ。「Hyde Scribbles」「Murder of Frank's Prostitute」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Hallucination」は、メインの主題を織り込んだ重厚でダイナミックなサスペンス音楽。「End Titles」「End Credits」は、メインの主題による重厚でドラマティックなエンドタイトルとエンドクレジット。この後にエクストラとして代替テイク「Opening Scene (Alternate Performance and Mix)」「Hallucination (Alternate Performance and Mix)」とソース曲「At the Bordello」「In the Tavern」「Jekyll's Waltz」を収録。

トランペット・ソロはティエリー・カンス、ヴァイオリン・ソロはクリストフ・グイオの演奏。オーケストラによる重厚でドラマティックなサスペンス・ホラー・スコアで、初めての仕事にしては熟練したタッチに驚かされる。
(2024年11月)

Frédéric Talgorn

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