(未公開/TV)SMALL VICES
(TV)ニール・サイモンのジェイクス・ウィメン JAKE'S WOMEN
(TV)ブロードウェイ・バウンド BROADWAY BOUND
(未公開/TV)TEXAN

作曲・指揮:デヴィッド・シャイア
Composed and Conducted by DAVID SHIRE

(ドイツCaldera Records / C6056)

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「カンバセーション…盗聴…」(1973)「サブウェイ・パニック」(1974)「さらば愛しき女よ」(1975)「大統領の陰謀」(1976)「ガープの世界」(1982)「ゾディアック」(2007)等のアメリカの作曲家デヴィッド・シャイア(1937〜)が、1990年代に手がけたジャズ・ベースのスコアを集めたコンピレーションCD。

「(未公開/TV)SMALL VICES」は、1999年製作のアメリカのテレビ映画。監督は「ふたりだけの微笑」(1978)「ロングウェイ・ホーム」(1981)「(TV)オペラ座の怪人」(1983)「(TV)エベレスト死の彷徨」(1997)「(TV)華麗なるギャツビー」(2001)等のロバート・マーコウィッツ(1935〜)。出演はジョー・マンテーニャ、ユージーン・リピンスキー、レイラ・ロビンス、クリス・ブリットン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、シーク・マームド=ベイ、ウッド・ハリス、マーシャ・ベネット、ジョアンナ・ミルズ、スコット・ウィックウェア、ディーン・マクダーモット、トパーズ・ハスファル=シュー、ヴィンセント・ガスタフェロ、ヴィニー・ヴェラ、ララ・ウィックス他。アメリカのハードボイルド小説作家ロバート・B・パーカー(1932〜2010)の原作『Small Vices』を基にパーカー自身が脚本を執筆。撮影はロン・ガルシア。

大学生のメリッサ・ヘンダーソン殺害の容疑者エリス・アルヴス(ハリス)が、本当に真犯人なのかを調査してほしいとリタ・フィオレ(ロビンス)から依頼された私立探偵のスペンサー(マンテーニャ)は、調査を進めるうちに事件の関係者たちから強く抵抗され、やがてプロの殺し屋ルガー(リピンスキー)に命を狙われるようになる……。

ボストンの私立探偵スペンサーを主人公としたロバート・B・パーカーの原作小説は、ロバート・ユーリックがスペンサーを演じた「(TV)私立探偵スペンサー」シリーズ(1985〜1988)として過去にもドラマ化されているが、パーカーは主演のユーリックに不満だったようで、この「(未公開/TV)SMALL VICES」でスペンサーを演じたジョー・マンテーニャの方が適任と考えていた。ここでは刑事リー・ファレル役を原作者の息子ダニエル・パーカーが演じており、原作者自身も政府の工作員アイヴス役で出演している。尚、Netflixで配信された「スペンサー・コンフィデンシャル」(2020)では、マーク・ウォールバーグがスペンサーを演じている。また、ロバート・B・パーカー原作のその他映像化作品には、「(TV)警察署長ジェッシィ・ストーン」シリーズ(2005〜2015)「アパルーサの決闘」(2008)等がある。

デヴィッド・シャイア作曲のスコアは、「Main Title」がジェントルでクールなタッチのジャズによるメインタイトルから後半サスペンス調に展開。「Spenser and Susan I」「Spenser and Susan II」は、ソフトでジェントルなタッチのジャズ。「Park Chase」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Fireside Pizza」は、ギターとストリングスをフィーチャーしたジェントルなタッチの曲。「Spenser's Funeral」は、ジェントルでメランコリックな主題からダークなタッチへ。「Travel Montage」「Rehab」は、クールでダイナミックなジャズ。「Strictures at an Exhibition」は、ジャズベースのサスペンス音楽。「Reunion」は、ジェントルでリリカルなタッチの曲。「Innocent」「End Title」は、メインの主題を織り込んだクールなタッチのジャズ。

「(TV)ニール・サイモンのジェイクス・ウィメン(JAKE'S WOMEN)」は、1996年製作のアメリカのテレビ映画。製作・監督は「(TV)他人の向う側/私の家に見知らぬもう一人の妻がいる」(1975)「(TV)レ・ミゼラブル」(1978)「(TV)飛行時間73秒/チャレンジャー号の悲劇」(1990)「(TV)欲望という名の電車」(1995)「(TV)LONG WAY HOME ロング・ウェイ・ホーム」(1998)等のグレン・ジョーダン(1936〜)。出演はアラン・アルダ、アン・アーチャー、ロリータ・ダヴィドヴィッチ、ジュリー・カヴナー、ミラ・ソルヴィノ、ジョイス・ヴァン・パッテン、キンバリー・ウィリアムズ、アシュレイ・ペルドン、ペリー・アンジロッティ、アーシフ・マンドヴィ、スティーヴン・M・ポーター、ユル・ヴァスケス、ハイデン・ウォルチ他。「おかしな二人」(1968)「スイート・チャリティ」(1968)「ふたり自身」(1972)「名探偵登場」(1976)「グッバイガール」(1977)「カリフォルニア・スイート」(1978)「昔みたい」(1980)「ブルースが聞こえる」(1988)等のニール・サイモン(1927〜2018)の原作戯曲を基にサイモン自身が脚本を執筆。撮影はジェームズ・グレノン。

作家のジェイク(アルダ)は、妻マギー(アーチャー)との結婚生活がうまく行っておらず、常に他の女たちとの想像上の会話を楽しんでいた。それは、亡き前妻ジュリー(ソルヴィノ)、娘のモリー(ウィリアムズ)、妹のカレン(カヴナー)、かかりつけの精神科医イディス(ヴァン・パッテン)といった女たちだった。マギーはジェイクに、6カ月間別居した上で、その後でこの結婚を続けるかどうか決めたい、と提案する。ジェイクはその6カ月間も、女たちとの想像上の会話を続けるが……。

デヴィッド・シャイア作曲のスコアは、「Meeting Maggie」がサックスとピアノをフィーチャしたジェントルなジャズ。「Jake and Julie」は、ギターをフィーチャーしたジャズ。「Jake and Maggie」は、フルートとギターによるジェントルなタッチの曲。「Theme」も、ギター、ピアノ、サックスをフィーチャーしたジェントルなジャズ。

「(TV)ブロードウェイ・バウンド(BROADWAY BOUND)」は、1992年製作のアメリカのテレビ映画(日本では1993年2月に劇場公開されている)。監督は「(TV)弁護士プレストン」(1961)「かわいい女」(1969)「怒りを胸にふり返れ!」(1970)「トーチソング・トリロジー」(1988)等のポール・ボガート(1919〜2012)。出演はアン・バンクロフト、ヒューム・クローニン、コリー・パーカー、ジョナサン・シルヴァーマン、ジェリー・オーバック、ミシェル・リー、マリリン・クーパー、パット・マコーミック、ジャック・カーター他。ニール・サイモンの原作戯曲を基にサイモン自身が脚本を執筆、撮影はイシドア・マンコフスキー。

ユージーン・モリス(パーカー)とスタンリー(シルヴァーマン)のジェローム兄弟は、彼らの両親が離婚を決意した時期に、コメディ作家としてショー・ビジネスでのキャリアを歩みだす。彼らの作品がラジオで放送されると、その家族の人々は自分たちの私生活が笑いのネタとして描かれていることに気づくのだった……。1992年度エミー賞の監督賞、脚本賞、助演男優賞(ヒューム・クローニンとジェリー・オーバック)、助演女優賞(バンクロフト)にノミネートされ、クローニンが受賞している。ニール・サイモンの自伝的戯曲である「想い出のブライトン・ビーチ」(1986)「ブルースが聞こえる」(1988)に続く“ユージーン三部作”の最後の作品。

デヴィッド・シャイア作曲のスコアは、「Main Title」がサックスとピアノをフィーチャーしたジェントルなタッチのメインタイトル。このメインの主題は「Night Montage」「Finale」でも登場。「Radio Source」は、ラジオから流れるソース曲のジャズで、編曲はスティーヴ・ブランソン。「Comedy Show Theme」は、明るく快活なタッチのジャズ。「End Credits」は、メインの主題によるジェントルなエンドクレジット。

「(未公開/TV)TEXAN」は、1994年製作のアメリカのテレビ番組で「(未公開/TV)DIRECTED BY」というシリーズの第1シーズンのエピソード1(26分)。監督は「鷲は舞いおりた」(1976)「1941」(1979)「プリンス・オブ・シティ」(1981)「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984)「ゾンビ・コップ」(1988)「ザ・グリード」(1998)「さよなら、さよならハリウッド」(2002)等に出演した俳優のトリート・ウィリアムズ(1951〜2023)。出演はダブニー・コールマン、ダナ・デラニー、ブライアン・ドイル=マレー、チャールズ・ダーニング、ジャック・ケーラー、ウィリアム・H・メイシー、パメラ・ヴァンサント、トリート・ウィリアムズ、ジョージ・ワイナー他。脚本は「評決」(1982)「アンタッチャブル」(1987)「摩天楼を夢みて」(1992)「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」(1997)「RONIN」(1998)「ハンニバル」(2001)等の脚本や「スパニッシュ・プリズナー」(1997)「ザ・プロフェッショナル」(2001)の監督・脚本を手がけているデヴィッド・マメット(1947〜)。撮影はエリック・J・ゴールドステイン。

元パイロットのリチャード・ウィリアムズ(コールマン)は、自分よりずっと若い妻のアン(デラニー)が自分に何かを隠していると感じ、最初は誕生日にサプライズ・パーティを仕込んでくれているのかと思ったが、やがて不倫を疑うようになる。彼は友人のヴォーン(ダーニング)に調査を依頼するが……。

デヴィッド・シャイア作曲のスコアは、「Bar Source」が明るく快活なジャズによるバーでのソース曲。「Homage」は、サックスとピアノをフィーチャーしたジェントルなジャズ。「Drive」は、ピアノとストリングスによるジャズ・ベースのサスペンス音楽。「Reveal and Finale」は、抑制されたサスペンス調からドラマティックなフィナーレへ展開。

(2025年1月)

David Shire

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