愛と哀しみの果て OUT OF AFRICA

作曲・指揮:ジョン・バリー
Composed and Conducted by JOHN BARRY

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 500)

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1985年製作のアメリカ映画(日本公開は1986年3月)。製作・監督は「泳ぐひと」(1968)「追憶」(1973)「ザ・ヤクザ」(1974)「コンドル」(1975)「出逢い」(1979)「トッツィー」(1982)「ハバナ」(1990)「ザ・ファーム/法律事務所」(1993)「ランダム・ハーツ」(1999)「ザ・インタープリター」(2005)等のシドニー・ポラック(1934〜2008)。出演はメリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード、クラウス・マリア・ブランダウアー、マイケル・キッチン、マリック・ボーウェンズ、ジョセフ・シアカ、スティーヴン・キニャンジュイ、マイケル・ゴーフ、スザンナ・ハミルトン、レイチェル・ケンプソン、グレアム・クロウデン、レスリー・フィリップス、シェーン・リマー、イマン、マリアム・ダボ他。イサク・ディーネセンカレン・ブリクセン)の原作『アフリカの日々(Out of Africa)』他、ジュディス・サーマンの『Isak Dinesen: The Life of a Story Teller』とエロール・トルゼビンスキーの『Silence Will Speak』を基にカート・リュードックが脚本を執筆。撮影はデヴィッド・ワトキン。

デンマーク出身のゴシック小説家カレン・ブリクセン(1885〜1962)の自伝的小説の映画化。ブリクセンはデンマーク語と英語の両方で執筆し、英語版では男性名のペンネーム「イサク・ディーネセン」を用いた。父方の親戚のスウェーデン貴族ブロア・ブリクセン(ブランダウアー)と結婚してケニアに渡ったカレン(ストリープ)だったが、夫は戦争で家を出ていき、コーヒー豆の農場経営も難航。そこにサファリのガイドを務めているデニス・フィンチ=ハットン(レッドフォード)が現れ、2人は関係を深めていく……。1986年度アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞、美術賞、音響賞を受賞。製作費は約3100万ドル。全世界興行収入は約2億2751万ドル。もともと本作はグレタ・ガルボ主演の映画として企画され、オーソン・ウェルズ、デヴィッド・リーン、ニコラス・ローグ等が監督の候補として挙がっていたという。

音楽はジョン・バリー(1933〜2011)で、これは彼の代表作の1つであり、上述の通り本作でアカデミー賞の作曲賞を受賞している。このスコアは公開当時の1985年に米MCAレーベルから全12曲/約33分半収録のサントラLP(MCA Records 6158)とCD(MCA Records MCD 03310)が出ており、各国からも同様のアルバムが出ていたが、Intradaレーベルが2024年12月にリリースしたこのCDは、全67曲/約143分収録で2枚組となっており、1枚目にコンプリートスコア(全34曲/約41分半)と代替テイク、2枚目にソース音楽と1985年のオリジナルアルバムの内容を収録。限定プレス。

CD1枚目の冒頭「I Had a Farm in Africa (Main Title)」は、大らかなイントロから、ジョン・バリーの個性が強く出た美しく情感豊かなメインの主題へと展開する曲。アフリカの広大な大地を感じさせる深遠さが素晴らしく、バリーの作品中でも最も美しい主題の1つだろう。「Alone on the Farm (Karen's Theme)」は、ジェントルでリリカルなカレンの主題で、この主題は「Bror Returns (Karen's Theme)」「I'm Better at Hello (Karen's Theme)」「Karen's Journey Ends」「Karen Builds a School」「Harvest (Karen's Theme)」「She Said Yes」「If I Know a Song of Africa」でも登場する。「The Farm」は、明るくジェントルなタッチの曲。「Have You Got a Story For Me?」は、ピアノによるメランコリックなタッチの曲。「W.W. I」は、スネアドラムを加えたミリタリスティックなタッチの曲。「Short Wait」は、静かにドラマティックな曲。「Cuckoo Clock」「Karen Returns from Border – III」「I Had a Compass from Denys」「Don't Move」「Meeting on the Porch」「The Dam Breaks」「I Think God Is Coming」「You'll Keep Me Then」は、ジェントルなタッチの曲。「Karen's Journey Starts (Revised)」は、大らかでドラマティックな主題からサスペンス調へ。「Karen's Journey – Masai (Mix With Percussion)」は、パーカッシヴなタッチの不吉なサスペンス音楽。「Syphilis」「Strange Love」「Trying to Get Land (Detached Strings)」は、メランコリックなタッチの曲。「Safari – Part I」「Safari – Part II」「Safari – Part III」「Return from Safari」は、大らかでジェントルなタッチの曲。「Flight Over Africa」は、カレンがデニスの操縦する飛行機でアフリカの大地を駆け抜けるシーンに流れる、大らかでドラマティックなメインの主題。「Beach at Night」「You Are Karen M' Sabu」でもメインの主題が繰り返される。「Out of Africa – End Credits」は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。この後に代替テイク13曲を収録。92人編成のオーケストラによる演奏。

これはIntradaレーベルを設立したダグラス・フェイクが亡くなる前に最後に手がけたアルバムの1つで、彼に捧げられている。
(2025年4月)

John Barry

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