(未公開)SORTIE DE SECOURS
変身する女 LA TRAVESTIE
(未公開)LA TRIBU

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:ジャン=ミシェル・ドゥファイエ、ビリー・バイヤーズ、ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by JEAN-MICHEL DEFAYE (「SORTIE DE SECOURS」), BILLY BYERS (「LA TRAVESTIE」), HARRY RABINOWITZ (「LA TRIBU」)

演奏:パリ管弦楽団
Performed by L'Orchestre de Paris (「LA TRAVESTIE」)

(仏Music Box Records / MBR-254)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入

フィリップ・サルド(1948〜)が1970年〜1991年の期間に手がけた3作品のスコアのコンピレーションCD。500枚限定プレス。

「(未公開)SORTIE DE SECOURS」は、1970年製作のフランス映画(英語題名は「EMERGENCY EXIT」)。監督は「栗色のマッドレー」(1970)等のロジェ・カアーヌ(1932〜2013)。出演はレジーヌ、ジャック・リシャール、クロード・ジロー、フランソワ・ビエドゥー、ミシェル・オーディアール、ピエール・バデル、ミシェル・ボーヌ、アニー・ベルタン、マルセル・ブリュワル、ダニエル・ブーランジェ、クロード・シャブロル、アンリ・シャピエ、ジャック・シロン、ローラン・ドーテュイーユ、ドミニク・ザルディ他。脚本はロジェ・カアーヌ、ミシェール・ペランとパスカル・ジャルダン。撮影はジャン=ジャック・タルベ。

人生に挫折した女優ミル・S(レジーヌ)は、神経症になってしまい、虚言を繰り返すようになる。彼女は時々身体を売ったり、偽証したりして、退屈な人生を紛らわそうとする。ある夜、彼女は小さな公園で背中から撃たれた男を見つけ、その男は彼女の腕の中で息絶えてしまう。彼女は、この状況を自分が生きている価値を見出す絶好の機会ととらえるのだが……。アラン・ドロンがプロデューサーとして参加している。

これはフィリップ・サルドがキャリアの初期に第2作目として手がけたスコアで、公開当時の1970年にフランスのEMI Pathéレーベルから全8曲収録のサントラLP(EMI Pathé 2C062-11077)が出ており、2022年にフランスのDiggers Factory/Label Orbisレーベルがこれを再発したLP(Diggers Factory/Label Orbis RG-OR 01)があるが、2025年9月にMusic BoxレーベルがリリースしたこのCDには、全9曲/約26分半が収録されている(初CD化)。

「Sortie de secours」は、ピエール・ティボーのミュート・トランペットをフィーチャーした気だるいタッチから、ストリングスによる情感豊かでドラマティックな主題へ展開。「Square des innocents (Theme Edit)」は、ストリングスにコーラスを加えた不吉でドラマティックなサスペンス音楽。「Passage Verdeau」は、エディ・ルイスのハモンドオルガンをフィーチャーしたジェントルでソフトなタッチの曲。「Fantasme」は、不気味な女声ヴォーカルを加えたホラー調の曲。「Café du centre」は、マルセル・アゾーラのアコーディオンをフィーチャーした明るく快活なワルツ調の曲。「Mademoiselle S.」は、フルートをフィーチャーしたメランコリックなタッチにセリフが重なる。「Hôtel des familles」は、気だるいタッチのミュート・トランペットを加えたリズミックなサスペンス音楽。「Messe noire」は、不気味なコーラスを加えたホラー調の曲。「Square des innocents (Soundtrack Edit)」は、ダークなタッチの主題に複数の人物のセリフが重なり、後半ストリングスによる不吉な主題にコーラスが加わってサスペンスが盛り上がっていく。オーケストレーションと指揮はジャン=ミシェル・ドゥファイエ

「変身する女(LA TRAVESTIE)」は、1988年製作のフランス映画(日本公開は1989年10月/英語題名は「THE TRANSVESTITE」)。監督は「汚れた刑事」(1970)「(未公開)ミュウ・ミュウの女刑事」(1979)「(未公開)バトルランナー2030」(1983)「(未公開)狼獣たちの熱い日」(1983)「(未公開)ハイジャック・アロー」(1999)等のイヴ・ボワッセ(1939〜2025)。出演はザブー、ヴァレリー・ステファン、アンナ・ガリエナ、クリスティーヌ・パスカル、イヴ・アフォンソ、ジル・ガストン=ドレイフュス、ドゥニ・ペロン、オディール・シュミット、アンドレ・ジュリアン、フィリップ・ブリュノー、ニニ・クレポン、ベルナール・ファルシー、アニエス・ガテーニョ、ボブ・マルテ、ミュリエル・メゼル他。アラン・ロジェの原作を基にイヴ・ボワッセが脚本を執筆。撮影はイヴ・ダアン。

30歳の弁護士ニコール・アルミンゴー(ザブー)は、社会的地位のある3人の男たちとの情事を重ねていたが、彼らからは真実の愛を得ることはできず、次第に心が鬱屈してゆく。男たちとの関係を清算したニコールは、髪を切り、男装をして街に出る。夜のパリで娼婦のミリアム(ガリエナ)と出会い、親しくなるが、彼女は休暇をとって戻った故郷で何者かに惨殺されてしまう。傷心のニコールは家政婦として歯科医のもとで働き始め、そこで女王人のアンヌ=マリー(ステファン)と深い関係になるが……。

フィリップ・サルドのスコアは、冒頭の「L'avortement」が心臓の鼓動のようなリズムに不吉なタッチのストリングスが加わり、ピアノとチェロによるメランコリックな主題へ展開。「Valse sinistre」は、ストリングスによるメランコリックなタッチのワルツで、このワルツの主題は「Le hollandais」「Valse trouble」「Je tuerai Nicole」「Jalousie meurtrière」「Nicole et Myriam」「Un homme est une femme」「Photos compromettantes」「Nicole est perdue」「Valse ivre」「Travestie et victime」と、ギター、ピアノ、クラリネット等を加えて何度も繰り返される。「Séduction et abandon」は、メランコリックかつドラマティックなタッチの曲。「Alias Nick」は、クラリネット、チェロを加えた静かにドラマティックな曲。「Boîte à musique」は、ミュージックボックス風のメランコリックなタッチの曲。「Transvestite serenade」「A woman and a man」は、ジェントルなタッチのピアノ・ジャズ。「Flamenco & Co」は、フラメンコ・ギターによる曲。オーケストレーションと指揮はビリー・バイヤーズ。演奏はパリ管弦楽団。このスコアの初リリース。

「(未公開)LA TRIBU」は、1991年製作のフランス映画(英語題名は「THE TRIBE」)。監督はイヴ・ボワッセ。出演はステファーヌ・フライス、カトリーヌ・ヴィルクナン、マキシム・ルルー、カデール・ブーカネフ、ジャン=ピエール・バクリ、ジャン=ピエール・ビッソン、ジョルジュ・ウィルソン、クローディア・メスネル、ジル・ガストン=ドレイフュス、ジャック・プレ、カトリーヌ・ジャレ、マルク・マッザ、イザベル・ラカム、エルヴィール・オードレイ、ジャン=クロード・ドレイフュス他。クリスチャン・レーマンの原作『La tribu』を基にアラン・スコッフとイヴ・ボワッセが脚本を執筆。撮影はファビオ・コンヴェルシ。

若い医師のオリヴィエ・ローアン(フライス)は、循環器学を修了し、開業医として仕事を始めたが、限られた収入を補填するために、大病院の名医ルーセル博士(バクリ)の代行として深夜の急患にも対応する仕事を兼務していた。しかし、この急患対応の仕事により、彼はフランスの極右政党によるある陰謀に巻き込まれていく……。

フィリップ・サルドのスコアは、全編を通してダイナミックでリズミックなタッチ。「La Tribu (Générique début)」は、アコーディオン、パーカッションを加えた快活なタッチのメインタイトル。「Roussel appelle Olivier」も、快活なタッチ。「La Ménardière」「Maréchal aux urgences」「Cause du décès... infarctus」「Étienne à Orléans」「Étienne remplace Olivier」「Résolution et aveux」は、ピアノ、アコーディオン、フルート等を加えたサスペンスフルなタッチの曲。「Consultation hors tarif」は、ストリングス、ピアノ、「Laurence chez Castaing」「Confession de Maréchal」は、アコーディオンを加えた躍動的な曲。「La Tribu (Générique fin)」は、ストリングスによるサスペンスフルなエンドタイトル。オーケストレーションはユベール・ブージス。指揮はハリー・ラビノウィッツ。このスコアは2003年にフランスのUniversalレーベルが出したイヴ・ボワッセ監督とサルドのコラボレーション作品を集めたコンピレーションCD(Universal France 038 565-2)に1曲が収録されていた。

(2026年3月)

Philippe Sarde

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2026  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.