ボン・ヴォヤージュ

Bon Voyage


■ストーリー:

1940年、パリ。ある大雨の晩、名声と社会的地位を手に入れた美しき女優ヴィヴィアンヌは、しつこくつきまとう男アルペルを誤って殺してしまう。彼女は小説家を目指す幼なじみのオジェに助けを求めるが、オジェは遺体を運ぶ途中で事故を起こし、容疑者として逮捕されてしまう。ヴィヴィアンヌは真相の発覚とスキャンダルを恐れるが、彼は取り調べで決して口を割らなかった。

 

 

数ヶ月後の6月14日。ドイツ軍の侵攻によりパリが陥落。フランス政府と民衆が大挙してボルドーへ疎開に向う中、ヴィヴィアンヌは自分の身代わりとなったオジェの存在に後ろ髪を引かれつつも、愛人となった大臣ボーフォールの権力を利用してパリを脱出する。一方、刑務所に収監されていたオジェは、同じく囚人のラウルと共に脱走に成功。ヴィヴィアンヌを追ってボルドーへと向う。

列車で知り合った女子学生カミーユと、彼女の恩師、コポルスキ教授の助けを得て、やっとボルドーに到着したオジェ。街中で偶然にもヴィヴィアンヌと再会を果たすが、その素っ気ない態度に憤りを感じる。彼女が宿泊するスプレンディッド・ホテルに押しかけたものの、政府関係者や裕福なブルジョア階級、上流社交界の人々が溢れかえったロビーではゆっくり話もできない。皆、自分の寝場所を確保するために躍起になっていた。

殺人の真相を聞き出そうとするオジェに、ヴィヴィアンヌは彼が犯人として逮捕されたと聞いて卒倒し、泣き暮らしたことを告げる。ヴィヴィアンヌの言葉に心惑わされるオジェ。そんな二人を、ヴィヴィアンヌに好意を寄せる英国人ジャーナリストのアレックスが遠巻きから見つめていた。

   

ドイツ軍の侵攻を目前に、フランス政府は戦争維持派と反対派に分かれていた。国の命運を閣僚が決めかねている中、コポルスキ教授とカミーユは、ボーフォールに重要機密を打ち明ける。彼らが保管する重水は原爆の基となる化学物質で、ドイツ軍に見つかる前にイギリスへ持ち出すつもりだと言うのだ。海外脱出に向けて協力を求めるコポルスキ教授だが、ボーフォールは休戦協定の切り札に重水を使おうと企む。話が通じない大臣にカミーユは怒りの声を上げる。「ドイツ軍が何をすると思うの!原爆を作るのよ!」

迫り来るドイツ軍の侵攻を前に決断を求められるフランス政府、そして時代に翻弄される人々の運命は、ボルドーの二日間で大きく変わろうとしていた…。

  

 


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