Date of Birth: 1891/8/2
Place of Birth: London, England, UK
Date of Death: 1975/3/28
Mini Biography:
Bliss was educated at Rugby and at Pembroke College, Cambridge, where he studied with Charles Wood. He attended the Royal College of Music for a single term before the First World War broke out. In 1921, he became conductor of the Portsmouth Philharmonic Society, two years later moving to California where he continued to conduct. In 1934-35 he moved into a new field -- ballet "Checkmate" and film music for H.G. Wells' "Things to Come." He was in the USA when war broke out in 1939, and he remained there to teach at Berkeley until 1941, when he returned to England to take an administrative job at the BBC, soon becoming director of music (1942-44). In 1950 he was knighted, and in 1953 became Master of the Queen's Music.
アーサー・ブリス映画音楽集
THE FILM MUSIC OF SIR ARTHUR BLISS
作曲:アーサー・ブリス Composed by ARTHUR BLISS 指揮:ラモン・ガンバ 演奏:BBCフィルハーモニー管弦楽団 (英Chandos / CHAN 9896) 2001 |
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<収録曲>
1. (未公開)Welcome the
Queen
2. 来るべき世界 Things to Come
3. (未公開)The Royal Palaces of Britain
4. シーザーとクレオパトラ Caesar and Cleopatra
5. (未公開)War in the Air
イギリスを代表するクラシック音楽の作曲家の一人、サー・アーサー・ブリスが手がけた映画音楽を集めた新録音コンピレーション。ブリスの映画音楽というと、「来るべき世界」のコンサート用組曲が有名だが、他にもいくつかのフィルムスコアを手がけており、このCDでは大半の曲が史上初録音の貴重な演奏となっている。これらを通して聴くと、ブリスの音楽は、マルコム・アーノルドやウィリアム・ウォルトンの映画音楽と比べて、より“クラシック的”な印象があるが、これはブリスが芸術としての映画というメディアをあまり信用していなかったからかもしれない。
1. (未公開)Welcome the Queen
1953年にアーノルド・バックスの後任として“Master of the Queen's Music”に任命されたブリスが、その最初の公式職務として、1954年の英国連邦ツアーから帰還した若きエリザベス女王を伝えるパテ製作のニューフィルム用に作曲した音楽。英国気質溢れる栄光に満ちたマーチで、前半の快活で明るいタッチ、中盤の優雅なタッチが素晴らしい。尚、このニュースフィルムのその他の伴奏音楽はマルコム・アーノルドが作曲した。
2. 来るべき世界 Things to Come
H・G・ウェルズの有名なSF小説「The Shape of Things to Come」をウェルズ自らが(ラホス・ビロと共同で)脚色した1936年製作のイギリス映画。著名なプロデューサーであるアレクサンダー・コルダが製作し、ウィリアム・キャメロン・メンジースが監督した。出演はレイモンド・マッセイ、セドリック・ハードウィック、ラルフ・リチャードソン、モーリス・ブラッデル、エドワード・チャップマン、マーガレッタ・スコット、アン・トッド他。撮影はジョージ・ペリナル、SFXはネッド・マンとエドワード・コーエンが担当。イギリスの架空の都市エヴリタウンを舞台にした近未来SFで、1940年から20年間続く戦争や、その後の独裁者の支配、自由都市の支援による独裁体制の崩壊、伝染病の猛威、超近代的な地下都市の建設といった出来事を描いていく。この映画での未来都市のデザインはその後のこの手の映画のプロトタイプとなった。この映画にブリスが書いた音楽は、その後の別の作曲家によるアレンジや組曲化等によりいくつかのバージョンが存在するようだが、ここではフィリップ・レインのリコンストラクションにより、ブリスが最初に映画のために書いた音楽をほぼ完全な形(全11曲から成る組曲)で再現している。特に、荘厳な「Prologue」、明るく軽快な「Ballet for Children」、勇壮な行進曲「March」、パワフルでダイナミックな「The World in Ruins」「The Building of the New World」「Machines」「Attack」、壮大で感動的な「Epilogue」といった曲が印象的だが、何といっても有名なのは「March」で、この曲単独でもコンサート等で演奏されることは多い。イギリス映画音楽史上に残る名曲。この組曲(の短いバージョン)には、ブリス自身がロンドン交響楽団を指揮したアルバムもリリースされている。
3. (未公開)The Royal Palaces of Britain
1966年に放送されたBBC/ITVテレビ製作のドキュメンタリー「The Royal Palaces of Britain」用にブリスが作曲した全5曲から成る組曲「The Royal Palaces Suite」。これも真に英国的な格調高く高貴な音楽で、非常にクラシック音楽的。テレビ放映時にはミュア・マシイスン指揮のシンフォニア・オブ・ロンドンにより演奏された。
4. シーザーとクレオパトラ Caesar and Cleopatra
ジョージ・バーナード・ショウの原作戯曲を基にガブリエル・パスカルが監督した1945年製作(日本公開は1950年)の史劇。出演はクロード・レインズ、ヴィヴィアン・リー、ステュワート・グレンジャー、フローラ・ロブソン、アンソニー・ハーヴェイ、ルネ・アシャーソン、ケイ・ケンドール、ジーン・シモンズ他。ここに収録されたブリス作曲のスコアは最終的に映画に使われた音楽ではない。プロデューサーでもあったパスカルは、最初にプロコフィエフに作曲を依頼して断られ、次にウィリアム・ウォルトンに依頼して断られ、ブリスに話が回ってきた(ブリスはもともと原作者のG・B・ショウのチョイスだった)。彼は一部音楽を作曲したものの、パスカルともめて降板した。その後ブリスは友人のベンジャミン・ブリテンから電話を受け「この映画の音楽を依頼されたが、これは君がやってると思っていた」と言われたという。ブリスが事情を説明すると「君の方が私より気性は穏やかなのに、一体どうやって私が彼(監督)とうまくやっていけるというんだ」とブリテンは答えたらしい。結果として、この映画の音楽はフランス人のジョルジュ・オーリックが作曲したが、このスコアは、このCDと同じChandosレーベルの「ジョルジュ・オーリック映画音楽集」に収録されている。ここに収録されたブリスの音楽は、原作の舞台にもかかわらず完全な英国調のスコアで、これは原作者のショウによる「エジプト風の音楽ではなく英国調の“ブリス風”の音楽を書いてほしい」との希望によるものだという。これは全8曲から成る組曲だが、冒頭の勇壮なマーチによる「Overture」が特に素晴らしい。こういう上質な音楽が書かれたまま未使用・未録音になっていたというのはなんとも贅沢な時代だったという気がする。
5. (未公開)War in the Air
アメリカのNBCテレビが1952年に製作した第二次世界大戦のドキュメンタリー「世界海戦史(Victory at Sea)」(音楽はリチャード・ロジャースが担当)の成功に触発されたイギリスのBBCが、1953年にイギリス空軍と共同で製作した全15話/各30分のドキュメンタリー。監督はフィリップ・ドルテ、製作と脚本はジョン・エリオットが担当。音楽はウィリアム・オルウィン、マルコム・アーノルド、ロベルト・ゲルハルト、クリフトン・パーカー、アンソニー・ホプキンス、ロナルド・ビンジ等が各話のスコアを作曲したが、ブリスはオープニングとクロージングに流れる曲を担当した。ここに収録された「Theme from "War in the Air"」は、リチャード・ロジャースが「世界海戦史」に書いた傑作スコアに匹敵する、勇壮で格調高いマーチである。
アーサー・ブリスが手がけたその他の映画音楽作品には「(未公開)Conquest of the Air」(1940)「(未公開)Men of Two Worlds」(1946)「コロンブスの探検(Christopher Columbus)」(1949)「(未公開)The Beggar's Opera」(1953)「二十七人の漂流者(Seven Waves Away)」(1957)等がある。
ブリスの映画音楽を集めたコンピレーションとしては、1990年にドイツのMarco Poloレーベルより以下の新録音CDがリリースされている。
「ARTHUR BLISS: FILM MUSIC」
Adriano conducting Czecho-Slovak Radio Symphony Orchestra
(独Marco Polo / 8.223315) 1990
CHRISTOPHER COLUMBUS (1949) コロンブスの探検
SEVEN WAVES AWAY (1956) 二十七人の漂流者
BARAZA (1945)
MEN OF TWO WORLDS (1945)
また、このイギリスのChandosレーベル(クラシック音楽のレーベル)からはブリス以外にもサー・ウィリアム・ウォルトン、サー・マルコム・アーノルド、サー・リチャード・ロドニー・ベネット、ウィリアム・オルウィン、ジョルジュ・オーリック、アラン・ローソーン等の作曲家による映画音楽集がリリースされている。
(2001年5月)
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