クレイグ・アームストロング
 Craig Armstrong

Date of Birth: 1959/4/29
Place of Birth: Glasgow, Scotland, UK
Mini Biography:
Armstrong studied composition and piano at the Royal Academy of Music where in 1981 he was awarded the Charles Lucas prize and the Harvey Lohr scholarship for composition. He was also awarded the FTCL Fellowship in composition and won the GLAA young jazz musician of the year in 1982. Following a period as resident student composer at the London Contemporary Dance School, he was appointed Music and Dance specialist at Strathclyde Regional Council in 1984 and also attended the Gulbenkian course for composers and choreographers. He received commissions from the Arts Council for various classical ensembles in Scotland and composed various scores as resident composer at the Tron Theatre in Glasgow. His music theatre group "Performance" performed at the Glasgow Mayfest in 1990 and he continued writing for many award-winning theatre productions including Macbeth with Ian Glen and Ted Hughes' Crow. From 1990-92 he received several BBC and STV music commissions, including Peter Mullens award winning film trilogy Close, Fridge, and A Good Day for the Bad Guys. As well as his prolific film and classical compositions, he collaborated with artists such as Massive Attack, Madonna, U2, The Future Sound of London, and Bjork. He has composed for Baz Lurhmann's "Romeo and Juliet", "Moulin Rouge!" and "The Great Gatsby", "The Quiet American", "Ray", "Orphans", Oliver Stone's "World Trade Centre", and "Elizabeth:The Golden Age". He was awarded the OBE (Officer of the Order of the British Empire) in the 2010 Queen's New Years Honours List for his services to the music industry.

Official website of Craig Armstrong: http://www.craigarmstrong.com/

 


キス・オブ・ザ・ドラゴン  LE BAISER MORTEL DU DRAGON

作曲:クレイグ・アームストロング
Composed by CRAIG ARMSTRONG

指揮:セシリア・ウェストン
Conducted by CECILIA WESTON

(仏Europa / 7243 8110032 5)

cover
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「ニキータ」(1990)「レオン」(1994)「フィフス・エレメント」(1997)「ジャンヌ・ダルク」(1999)等の監督リュック・ベッソンが製作したアクション映画。監督はCM界出身でこれが長編劇場映画デビューのクリス・ナオン。出演はジェット・リー、ブリジット・フォンダ、チェッキー・カリョ、リック・ヤン、バート・クウォーク、ローレンス・アシュレイ、シリル・ラファエリ、ディディエ・アズーレイ、ジョン・フォージェハム、ポール・バレット、マックス・ライアン、コリン・プリンス、ヴァンサン・グロ他。脚本はベッソンとロバート・マーク・ケイメンが共同で執筆。撮影はベッソン作品の常連ティエリー・アルボガスト。劇中に何度も登場する激しい格闘シーンの振り付けはベテランのコーリー・ユ ンが担当している。中国からパリにやってきたエリート刑事(リー)が、フランスの悪徳刑事(カリョ)の策略にはまり、無実の罪で追われるはめになる、というストーリー(映画自体のレビューは「Quick! Film Review」をご参照)。

音楽はイギリスの作曲家クレイグ・アームストロングが担当している。この映画には挿入歌を集めたコンピレーションCDとスコア盤CDの2種類のサントラ盤があるが、ここで紹介しているのは後者の方で、「As If You Said Nothing」という主題歌(作曲はアームストロング)と、「Symphony for Isabelle」という全19曲から成る切れ目のないアンダースコアの組曲が収録されている。ただ、この「Symphony for Isabelle」が約68分もあるのでスコア盤としては十分なボリュームである。因みに、このイザベル(Isabell)というのは、劇中で悪徳刑事(カリョ)に監禁されているアメリカ人の娼婦(フォンダ)の娘の名前である。音楽自体はシンセサイザーとオーケストラの組合わせによるアンダースコアとなっており、部分的にストイックなタッチのサスペンス音楽や、アップビートでハイテンションなアクション音楽(ただしあまり激しくない)、アームストロング自身のピアノ・ソロによるジェントルなタッチのラブテーマ等が展開する。全体に明確な主題の登場しない地味めのスコアだが、映画の劇伴音楽としては非常に効果的に機能しており、なかなか手堅い仕事と言える。ただ、アクションスコアの部分も特に独創性があるわけではなく、「器用にこなしている」という感じで、もう少し個性を前面に押し出した方がいいような気がする。合唱にはメトロ・ヴォイシーズが起用されているが、あまり目立たない。尚、このスコアのミキシングはリュック・ベッソンがフランス北部のノルマンディ地方に設立したポスト・プロダクション会社「Digital Factory」で行われている。
(2001年10月)

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インクレディブル・ハルク THE INCREDIBLE HULK

作曲:クレイグ・アームストロング
Composed by CRAIG ARMSTRONG

指揮:マット・ダンクリー
Conducted by MATT DUNKLEY

演奏:ノースウエスト・シンフォニア
Performed by Northwest Sinfonia

(米Marvel Entertainment / 883629561561)

 

2008年製作のアメリカ映画。監督は「トランスポーター」(2002)「トランスポーター2」(2005)「ダニー・ザ・ドッグ」(2005)ルイ・ルテリエ。出演はエドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ティム・ブレイク・ネルソン、タイ・バーレル、ウィリアム・ハート、クリスティナ・キャボット、ピーター・メンサー、ルー・フェリグノ、ポール・ソールス、デボラ・ナシメント、グレッグ・ブリク、クリス・オーウェンズ、アル・ヴリクルジャン、エイドリアン・ハイン他。「スパイダーマン」「X-メン」「ブレイド」「デアデビル」「ファンタスティック・フォー」「アイアンマン」等のキャラクターで知られるマーヴェル・コミックのジャック・カービーとスタン・リーの原作を基に、ザック・ペンが脚本を執筆。撮影はピーター・メンジース・Jr。遺伝子学者ブルース・バナー博士(ノートン)は、科学実験の副作用により、怒りや恐怖の感情が高まると緑色の巨人“ハルク”に変身するようになってしまう。ニューヨークの街を恐怖に陥れる凶悪な敵を倒すため、ブルースは自分を見失ってもハルクとなって街を救うことを決意する……。このキャラクターについては、過去にケネス・ジョンソン製作総指揮/ビル・ビクスビー、ルー・フェリグノ主演のTVシリーズ「超人ハルク」(1978〜1982)が製作されている他、2003年にアン・リー監督/エリック・バナ、ジェニファー・コネリー主演により「ハルク」として映画化されている(その際のプロデューサーだったアヴィ・アラッドとゲイル・アン・ハードは今回の製作も担当している。またTVシリーズでハルクを演じたルー・フェリグノが今回の映画版でもハルクの声を演じている)。

監督のルイ・ルテリエは1973年生まれのフランス人で、父が監督、母のカトリーヌ・ルテリエがリュック・ベッソン監督作「ジャンヌ・ダルク」等の衣装デザイナーだったことから、幼少より映画に親しんできた。ドラマー志望だったが、自ら製作した短編映画がコンクールで賞を獲得。CM制作の見習いを経験した後、18歳で渡米してニューヨーク大学に入学し、映画製作を学ぶ。ジャン=ピエール・ジュネ監督が「エイリアン4」(1997)のロケでバイリンガルのコラボレイターを探していた際に、プロダクション・アシスタントとして参加。フランスに帰国後の1999年には「ジャンヌ・ダルク」のサード助監督を担当。その後フランスで大ヒットしたアラン・シャバ監督作「ミッション・クレオパトラ」のセカンド助監督を務め、現場経験を重ねる。リュック・ベッソン演出の「Club Internet」や「L'Oreal」のCM制作にも参加している。29歳の時にベッソン製作の「トランスポーター」で映画監督デビュー。この作品は2002年の第15回東京国際映画祭で特別招待作品として上映され、プロデューサーのベッソン、ヒロイン役のスー・チーと共にルイ・ルテリエも来日してくれた。皆から親しみをこめて“ルル”の愛称で呼ばれる、実に気さくな映画大好き青年だった。彼とはパリの「ダニー・ザ・ドッグ」の撮影現場を訪問した際にも再会したが、モーガン・フリーマンやジェット・リーが出演する緊張した現場でも丁重に応対してくれた。その後カンヌ映画祭でばったり出会った時に「今度『ハルク』を監督することになったよ」と聞いて、ハリウッド・デビューを祝福したものである。ベッソンを別にすれば、フランス出身でハリウッドで成功した映画監督は最近あまりいないので、ルルにはこの「インクレディブル・ハルク」をきっかけに是非活躍してもらいたい。同じ「ベッソン組」では「アルティメット」を監督したピエール・モレルにも期待している(リーアム・ニーソン主演のアクション映画「TAKEN」が9月に米国公開予定)。

過去のTVシリーズ「超人ハルク」の音楽はジョー・ハーネル、アン・リー監督版「ハルク」の音楽はダニー・エルフマンが作曲しているが、今回の「インクレディブル・ハルク」のスコアはイギリスの作曲家クレイグ・アームストロングが担当(アームストロングはリュック・ベッソン製作の「キス・オブ・ザ・ドラゴン」のスコアも作曲しているが、この作品にルイ・レテリエは関わっていないので、今回マーヴェル製作の「インクレディブル・ハルク」にアームストロングが起用されたこととはおそらく無関係だろう)。ヒロイックさよりも悲劇性を強調したダークでストイックなタッチのオーケストラル・スコアを展開しており、これまでの彼の作品中でも力作と言える。「The Arctic」は、ミステリアスなイントロからフル・オーケストラによるストイックで重厚な主題へ。「Main Title」は、ストイックでややトラジックなメインタイトル。「The Flower」「Ross' Team」等は、オーケストラと打ち込みによるサスペンス音楽。「Mr. Blue」「It Was Banner」「Ross and Blonsky」「Return to Culver University」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Favela Escape」「That Is the Target」「They're Here」「Give Him Everything You've Got」等は、オーケストラと打ち込みによるストイックなタッチのアクション音楽。「Bruce Goes Home」は、TV版のジョー・ハーネル作曲の主題「The Lonely Man」のアームストロングによる演奏で、ピアノをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Reunion」「Bruce Can't Stay」は、ジェントルでややメランコリック。「The Data/The Vial」は、ドラマティックな曲。「First Injection」「Is It safe?」は、ダークでトラジック。1枚目のラストの「Hulk Theme」は、ダークでストイックなハルクの主題で、単純に勇壮なタッチではないところが良い。2枚目の「Grotto」「I Can't」は、ジェントルでメランコリックなタッチ。「Arrival at the Motel」「Bruce Found」「Bruce Looks for the Data」「The Mirror」等は、サスペンス調。「Abomination Alley」「Sterns' Lab」等は、ダイナミックでストイックなタッチ。後半の「Blonsky Transforms」「Harlem Brawl」「Are They Dead?」「Hulk Smash」は、パワフルで重厚なアクション音楽が連続。「Hulk and Betty」は、ドラマティックな曲。「A Tear」「Who's We?」「Bruce and Betty」は、ジェントルなタッチ。ラストはダークなハルクの主題「Hulk Theme (End Credits)」で締めくくる。

尚、このCDは米国の「Amazon.com」限定販売となっており、日本では一部サントラ専門ショップでのみ購入可能(「Amazon.co.jp」では扱っていない)。また、受注生産方式で出荷されているらしく、CD-Rでのリリースとなっているが、2枚組で2時間近い音楽が収録されており、通常プレスのCDでは対応が難しかったのかもしれない。

クレイグ・アームストロングが手がけた作品には
「(未公開/TV)Winners and Losers」(1989)
「(未公開)Close」(1993)
「(未公開)Fridge」(1995)
「ロミオ&ジュリエット(Romeo + Juliet)」(1996)
「(未公開/TV)London Bridge」(1996)
「オーファンズ(Orphans)」(1997)
「プランケット&マクレーン(Plunkett & Macleane)」(1999)
「完全犯罪(Best Laid Plans)」(1999)
「ボーン・コレクター(The Bone Collector)」(1999)
「(未公開/V)Your Country」(1999)
「(未公開/TV)La montagna cava」(2000)
「ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge!)」(2001)
「キス・オブ・ザ・ドラゴン(Kiss of the Dragon)」(2001)
「マグダレンの祈り(The Magdalene Sisters)」(2002)
「愛の落日(The Quiet American)」(2002)
「(未公開)Al cuore」(2002)
「(未公開)Hide & Seek (Vogue)」(2003)
「(未公開/TV)Close Encounters with Keith Barry」(2003)
「ラブ・アクチュアリー(Love Actually)」(2003)
「二重誘拐(The Clearing)」(2004)
「Ray/レイ(Ray)」(2004)
「(未公開)Chanel N°5: The Film」(2004)
「2番目のキス(Fever Pitch)」(2005)
「理想の恋人.com(Must Love Dogs)」(2005)
「ワールド・トレード・センター(World Trade Center)」(2006)
「(未公開/V)Everyone Is Beautiful John Galliano Show」(2006)
「(未公開/TV)Monsters We Met - The Eternal Frontier, - The End of Eden」(2007)
「エリザベス:ゴールデン・エイジ(Elizabeth: The Golden Age)」(2007)
「(未公開)The Day After Peace」(2008)
「インクレディブル・ハルク(The Incredible Hulk)」(2008)
「ウォール・ストリート(Wall Street: Money Never Sleeps)」(2010)
「(未公開)Neds」(2010)
「TIME/タイム(In Time)」(2011)
「(未公開/TV)The Untold History of the United States」(2012〜2013)
「華麗なるギャツビー(The Great Gatsby)」(2013)
「(未公開)Dreamland」(2014)
「遥か群衆を離れて(Far from the Madding Crowd)」(2015)
「(未公開)ヴィクター・フランケンシュタイン(Victor Frankenstein)」(2015)
「世界一キライなあなたに(Me Before You)」(2016)
「スノーデン(Snowden)」(2016)
「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(Bridget Jones's Baby)」(2016)
「(未公開)Mrs Lowry & Son」(2019)
「(未公開)The Burnt Orange Heresy」(2019)
「(未公開)Dirt Music」(2019)
「(未公開/TV)Cine Chalom - EXTRAIT DU FILM "WORLD TRADE CENTER" D'OLIVER STONE... 2006」(2019)
「(未公開)The One and Only Ivan」(2020)
「(未公開)The Most Reluctant Convert」(2021)
「(未公開)The Beautiful Game」(2022)
等がある。

クレイグ・アームストロング
は2001年の「ムーラン・ルージュ」でゴールデン・グローブの音楽賞と同年の英国アカデミー賞の作曲賞(アンソニー・アスキス映画音楽賞)を受賞している。
(2008年6月)
(2022年3月)

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